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第2章 富山の舞台

第3節 経済構造の変革

 富山県の諸活動を考える基礎として、「県民経済計算(県民所得統計)」を中心に、その経済構造について検討する。
 統計発表の時期や当方との対応の遅れ等によって、記述の基礎となる統計の年次が不揃いとなっていることに留意してください。

第1項 所得勘定の枠組み
  県民所得統計は、国民所得統計の体系に準拠した勘定体系を定義し、各種の統計指標を用いて推計されている。

第2項 部門別所得循環
 企業の生産活動によって生み出される付加価値額が、家計と企業に分配されるとともに政府活動によって必要な分配調整が行われ、家計・企業・政府それぞれが消費・投資を行う。

第3項 富山県の位置
 富山県の1人当たり県民所得は都道府県の中でも大きい。

第4項 近年の動向
 2008年度・2009年度にリーマンショックがあり、各種指標の長期的趨勢と景気後退による落込み・回復の動向が重なっている。単に一定期間の両端の統計値の変化を比較するだけでな、その間の変化の過程を同時に見て、構造の長期的変化を把握することが必要である。

第5項 富山県の財政運営
 現在、県債残高の積み増しは、抑制しつつあるが、景気浮揚の要請と社会保障費等の増加の中で、厳しい財政運営となっている。


 本節の内容は、県民所得統計をめぐる分析、解説にとどまっているが、地域を理解するためには、こうしたことの意味を十分に理解している必要があろう。
 生産の課題としては、経済のグローバル化の下で、一方で先端的産業の展開が首尾よくできず、一方で安価な労働力等を持つ発展途上国に追い上げられ、地域なりの方向性が見出せない時代が続いている。実態としては、所得の国際的平準化が進んでいる。
 所得の分配の課題としては、公的債務が個人の貯蓄を使い込んでおり、殆ど破局を経ないと解決できない状況に近づいている。低迷する景気に対してはセフティネットを一層充実し、債務の削減に耐えていくことが求められている。
 支出については、個人消費の低迷が嘆かれるが、むしろ欲望の解放により世界全体が限界に来ていることに気付き、方向修正が必要となっている。
 わが国経済は、このような環境の中で、地球社会で共生できるシナリオを描き、それに向かって改革を遂げていく必要がある。


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(May.04,2015Rev.)