次頁節目次章目次表紙

第2章 富山の舞台
第3節 経済構造の変革

第3項 富山県の位置
―大きい県民所得―

(1) 一人当たり県民所得
(2) 所得配分
(3) 産業構成

 各県の県民所得統計がまとめられるのは、当該年度の統計が出そろう翌年度のさらに後で、翌々年度末となる。近年はさらに遅れるようになっており、2018年度の県民所得統計が、全国の一覧表として提示されたのは2019年9月末であった。


(1) 一人当たり県民所得
 富山県の一人当たり県民所得の水準は、リーマンショックのため、2009年度はかなり落ち込んだが、長期的に見ると都道府県の中でかなり大きい位置にあり、2018年度は5番目の大きさとなっている。

 ⇒都道府県順位


 都道府県の中で一人当たり県民所得が大きいのは、東京都を別格として、東海、北関東そして富山県を含む北陸の各県などである。
 一方、一人当たり県民所得が小さいのは、沖縄そして南九州の諸県である。奈良県が小さいのは、大阪府等への越境通勤があり、企業所得が抜けているためであろう。



(2) 所得配分
 県民所得の構成を全国と比較してみると、富山県で特に大きいのは、民間法人企業の所得であり、これに加えて雇主社会負担、そして持家の帰属家賃も大きくなっている。
 これらに対して、賃金・俸給、財産所得は相対的に小さくなっている。


 県民所得を県民雇用者報酬、財産所得、企業所得に分けて、その構成について各都道府県の様子を見ると、富山県では、企業所得の割合が比較的大きい。これは、県内に大企業、中堅企業が多く立地しているためといえよう。また持ち家の帰属家賃が個人企業所得となっていることにも留意が必要である。
 これに対して、大都市圏の住宅地がある県などでは、雇用者報酬の割合が大きい。



 都道府県毎の雇用者一人当たり雇用者報酬を比較すると2018年度富山県の順位は25番目であった。


 雇用者一人当たり雇用者報酬は、関東、関西、さらに山陽と太平洋メガロポリス地域で大きい。


 一人当たり企業所得は景気変動に伴って変化してきているが、富山県は相対的に大きな位置で推移してきている。2018年度は都道府県の中で7番目の大きさとなっている。


 一人当たり県民所得の大きさを総人口(居住地)当たりの就業者数(就業地)及び雇用者数(居住地)で展開して見ると、東海、北関東、北陸などで大きい。これは、県民の就業地各県内にあり、企業所得がそれなりに大きいためである。これに対して、大都市圏の住宅地となっている千葉、埼玉、神奈川、兵庫などでは企業所得が小さく県民所得全体も小さくなっていることが分かる。



 このことは、国勢調査での県境を越えた通勤者の状況によっても分かる。常住者の勤め先が県外にあれば、それに見合う企業所得が小さくなるのは当然であろう。


 ちなみに富山県では一人当たり財産所得も大きく、2018年度では3番目となっている。ただし、県民所得全体の中での構成比は小さい。



(3) 産業構成
 各都道府県の県内総生産の産業別の構成についてを見ると、富山県では第二次産業が39%を占め、全国の28%に比して極めて大きいものとなっいる。これに対して、第三次産業の構成比は小さい。



 産業大分類での富山県の生産の構成を全国の構成と比較してみると、製造業、電気に特化している。これによって、我々は、富山県を「ものづくり県」と自称している。なお、これまで建設も大きかったが、2018年度では全国の構成比を下回っている。
 第三次産業では、電気・ガス・水道が高いがこれは北陸電力の本社が富山県にあるためであろう。保健衛生・社会事業の構成比も全国平均を上回ている。また、不動産業が全国水準にあるのは持家の帰属所得が貢献しているのであろう。これらに対して、都市的産業とされる。専門・科学技術、業務支援サービス及び情報通信産業の構成比はかなり低い。
 なお、2016年度統計から産業分類が変更され、これまでのサービス産業が細分されている。



(統計データ)

次頁節目次章目次表紙

(Oct.14,2021Rev.)