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第2章 富山の舞台
第2節 人口動態の転換

第7項 将来人口
―4割に近付く高齢化比率―

(1) 総人口
(2) 年齢構成

 2024年2月、社会保障人口問題研究所は、都道府県・市町村の将来推計人口を発表した。これは、5年間隔で推計・発表されているものである。
 内容的には、これまでの推計と軌を一にしており、5年間延長し、2050年まで推計したものとなっている。
 ⇒人口推計モデル


(1) 総人口
 富山県の総人口については、2020年の1,035千人から、2050年には16%減少し762千人になるとしている。

 2020年を基準として2050年に全国では83.0%、東京都のみが増加で102.5%、最も小さい秋田では58.4%となっている。
 富山は、小さい方から16番目となっている。


 人口の減少率を地域別にみると、北東北地方の減少が特に大きくなっている。
 減少が少ないのは、東京を中心とした1都3県、愛知、滋賀、福岡そして沖縄などとなっている。国全体での一極集中、各地方での中枢都市所在県集中が目立っているといえよう。


 高齢化比率の推移について全国・北陸3県を見ると、当面の富山の率の伸びが極めて大きい。これは、2010年代は団塊の世代が高齢人口に入る期間であり、富山で特に団塊の世代の比率が特に大きいためである。
 これと同じように、2030年代後半に高齢化比率が再び急速に上がり4割に近付くが、これは、団塊ジュニア世代が高齢者となるためである。



(2) 年齢構成
 各都道府県の年齢階層3区分の構成比の推移をみると、若年人口比率は当面漸減し2030年代に至って横ばいとなっている。
 労働力年齢人口は2010年代後半から横ばい気味となるが、2030年代に入って再び減少が目立つようになっていく。
 高齢人口は当面の急増の後、漸増となるが、2030年代後半に再び急増する。


 2045年の高齢人口比率を地域別にみると東北、四国、北海道等で高く、逆に沖縄・愛知・滋賀・東京等で低い。



 以上のような人口の減少、高齢化比率の上昇に対して、社会の在り方を大きく変えていく必要があることは間違いない。
 まず、人口の減少については、各種施設設備の過剰な整備を避け、一定のまとまった範囲に収斂させていく必要がある。このため例えばコンパクトシティの形成が提唱されているが、都心に集合住宅を建設するような発想には錯誤があるように考えられる。既存の施設(住宅等)をいかに効果的に活用していくかこそ重要であろう。
 高齢化の中で、安心できる社会を築くことについては、資本主義市場経済の社会自体を改変しようとする向きもある。
 取り敢えず、資本主義市場経済社会の枠内で検討するとすれば、所得の再分配(所得移転)を大幅に拡大せざるを得ないことは明らかであろう。家庭や地域でのボランタリィな支え合いに期待する発想もあるが、これを強調し制度化することは、強制された所得移転となり、必ずしも望ましいとは考えられない。例えば、在宅福祉の強調は、一見望ましそうだが危うさを孕んでいる。所得の再分配の拡大に際しては、まず年金制度の統一化、最小限水準までの引下げが必要である。現在の職域を基本とした年金制度は設立時の都合で形成されたもので、社会全体としての整合性が欠けている。また、雇用者負担が伴うため正規雇用と非正規雇用の差別を生み、雇用の流動性を阻害するものともなっている。ただし、雇用の流動性の議論は、解雇を自由にすることが先行し、再就職を容易にすることが遅れがちであることに注意する必要がある。
 これらの問題については、いろいろと課題があり、かつ対応に時間を要し、先を見越して着実に対処していくべきことは間違いない。ただしこうした問題の所在は、1980年代の初めには認識されていたし、1990年代の初めには明白に見えていたが、我々の社会は対応する能力を持っていないようである。

 ⇒富山県民総合計画での人口推計(1981年)
 ⇒過去の国による人口予測
 ⇒地方創生での人口ビジョン

(統計データ)

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(Feb.19,2024Rev./Mar.28,2013)