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県民総合計画(1981年)での人口推計
─県人口は30年前の人口予測と一致─

 中沖豊前県知事時代の最初の県政総合計画(県民総合計画)策定時の1981年に富山県の人口の将来予測を行っており、その中位推計では、2010年時点の総人口は1,093千人としており、今回の国勢調査の人口と一致している。
 実は、いろいろな要素の誤差が打ち消し合い、たまたま一致したと説明した方が正確であるが、人口推計は偏見なく行えば、かなり正確な推計が可能である。

 1981年時点での富山県の人口の将来推計は、1980年国勢調査結果の人口を基礎として、厚生省人口問題研究所(現在の社会保障人口問題研究所)の人口推計で利用された合計特殊出生率及び死亡率の想定を参考にして行った。ただし、この想定には、偏りがあるとの指摘が既になされており、富山県の推計では、合計特殊出生率を高位推計では横ばいとし、中位、低位推計では漸減すると仮定した。また、年齢別死亡率については、概ね人口問題研究所の仮定を利用した。
 実は、合計特殊出生率については、諸外国の推移に鑑みさらに大きく低下するものと予想し、他方、死亡率についても統計の推移に鑑み一層低下するものと予想していた。しかし、国の想定と異なる想定を提示し、他者を説得するには、詳細な内容までに入り込んで議論する必要があり、到底困難であった。
 このような考え方を用いると、現在の人口はさらに少なくなり、実際と乖離することになるが、この間に外国人労働者の受け入れ制度が変わっており、1万人以上の人口が想定外に積み増されている。
 この結果として、たまたま実績と中位推計値が近似したものである。


 上述のように総人口の推計については、ある程度当たっていたといえようが、その背景で、人口の年齢構成については、大きな差異がでている。
 2010年の高齢人口比率は26.2%であるが、かつての推計では、22.7%としており、3.5%ポイントの差である。
 これは、出生率、死亡率の想定に偏りがあったための当然の結果である。
 小生の穿った憶測では、厚生省は、総人口はある程度確実に推計し、なおかつ高齢者比率については、年金制度で想定している枠組みが正当性のあるものとなるように、出生率、死亡率を設定したように思える。
 いずれにしろ、このような人口推計の結果、現時点に至って、年金問題が極めて厳しくなっている。


 なお、1981年推計で、2000年代に入り人口が大きく減少していくことを県民総合計画で確認していたのだが、果たして、社会基盤施設の整備等をこの推計に即して行ってきたか否かについては、どう判定されるだろうか。多分、富山県だけでなく、日本の政府全体で、先見性に欠ける政策展開を図ってきたのではなかろうか。

(統計データ)

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(Feb.21,2015Rev./Jul.21,2006.)