エンジンの限界出力

エンジンの限界出力について

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 EFIテクノロジックで行う高精度オーバーホールやエンジン製作ですが、どのような思想でどのような変更を加えているのか基本的な考え方をご紹介いたします。お客様と一緒に知識や技術を共有することで、ご自身の目指すエンジン仕様には、どのパーツが重要で、どれくらいの予算で強化するかなど知りたい方もおられると思います。長年チューニングカーに乗っていても、エンジンに関しては大まかな知識や、なんとなく見聞きした経験だけで、実は本質を理解していなかったこともあるかもしれません。
オーバーホールや、コンプリートエンジンに手をかける前に一度基礎に立ち返ってエンジンについて理解を深めてみるのもよいかもしれません。


01.エンジンは基本設計で、限界性能が決まる理由。

 自動車メーカーの市販車両エンジン設計では、エンジン設計時に最高出力、燃費、サイズ、コストなどエンジンの利用目的に合わせた基本設計をおこないます。基本設計では目的を達成するために必要となる仕様ギリギリの設計ではなく、多くの場合はより許容範囲の広い設計が行われています。その試作エンジンから一般ユーザーが使用しやすいトルク特性や、コスト、エンジンパーツの摩耗、発熱、金属疲労などの劣化を考慮して、ディチューンを施すことで設計上の性能より低い性能でも、より耐久性を高めた量産エンジンとしてエンジンは完成します。そのため市販エンジンのチューニングの限界は、メーカーのエンジン基本設計の限界点=到達点といっても過言ではありません。
 
さらにエンジンチューニングの超えることのできない壁は知っておく必要があります。
たとえば「軽四エンジンで最高出力640馬力(市販仕様の10倍の出力)を出す仕様にチューニングできるのか?」という問いがあったとして。
 
答えから言うと、それは不可能なのです。
 
 まずはじめに燃焼エンジンの出力が、市販時の10倍を目指すのが難しくなる要因として排気量の限界が挙げられます。原則的にエンジンはシリンダー内に吸入する空気量や密度が増加することによって爆発力が増し出力も増加します。シリンダーの数と1本あたりの容積が大きいほど吸入量が多くなりますので高出力を発揮しやすくなります。しかし気筒数が多くシリンダーサイズが大きいエンジンは、エンジンが大型化するので、自重が重くなり車両全体の重心もエンジン搭載位置へ偏っていきます。軽四のエンジンがどうあがいても10倍の出力を発揮しない最大の要因は、軽四というボディサイズで運動性能を発揮するために、エンジンの基本設計が小さくされている点が挙げられます。
 原則的に燃焼エンジンの場合、大きなエンジン=高出力の図式は、昔も今も日本も世界も変わりません。またエンジン基本設計の時点で素性のよいエンジン(最大出力1000馬力を想定など)は、より高出力を狙えるエンジンと言えるのです。


02.エンジンブロック性能。

 エンジンサイズが基本設計のまま性能アップをはかる場合、そのエンジンのブロック設計に視点が移ります。エンジンの出力向上の原則は、多くの空気を吸って、燃やして、吐くための容積を増やすことです。そのために空気を吸える最大量を増やすことは高出力を得るために効果的な方法となります。シリンダーサイズを大きくすることで大きなピストンを使用して燃焼室に入る吸気量を多くするのです。ブロックのシリンダー周りにサイズを拡張できる厚みが必要であると同時に、拡張したシリンダーで発生する熱エネルギーによるブロック変形が抑えられる耐久性と冷却性能が必要です。冷却水がエンジン内を通り抜けることで発生させる容積は、エンジンブロック設計時の出力設定値によって設定されています。シリンダー容積、気筒数、冷却性能、耐久性を高めていくとエンジンブロックのサイズはどんどん大きくなっていくのです。ですから多くの場合は、小さなエンジンブロックで設計限界を超えた大きなシリンダーを用いることはありません。エンジンブロックはその性質上、金属の一体型成型パーツとなっており、あとから補強をすることが難しく補強部分に強度の綻びが生じるのは避けられないからです。
 
排気量アップはブロックの基本性能との兼ね合いもあるのです。
こうした点でも基本設計から大きなブロックを持っている大きなエンジンほど、チューニングによって高出力を得られる余裕があることがご理解いただけると思います。


03.アフターパーツの限界。

これはどんなエンジンにも言えることですが、エンジンチューニングはエンジン主要パーツであるピストン、コンロッド、クランクシャフトが専用部品としてマーケットに存在していることが前提になります。基本設計を大きく超える2倍~3倍の出力を安定して得るためには、それに耐えられるエンジン強化パーツの使用は必須です。人気のエンジンであればアフターパーツもそろっていますが、不人気車だとパーツを探すのも大変な苦労を伴います。世界を見れば国外メーカーでもアフターパーツが取り寄せられる時代ですがコストが増大していくことは避けられません。
 エンジンの基本設計、ブロック設計、アフターパーツの種類や性能を加味すると、国内自動車メーカーで販売している国産エンジンでは2JZやRB26などが、高出力エンジンのチューニングベースに向いている理由となっています。それでも耐久性を考えた場合は、メーカーのエンジン基本設計時の最大出力を大きく超えるのは望ましいことではありません。
市販車両の場合は、アフターパーツが揃っているエンジンでも3倍が最大出力の壁となるのではないでしょうか。


04.限界性能とチューニング思想の違い。

アメリカなど海外では、ランサーエボリューションなど排気量の少ない4気筒エンジンのマシンが1000馬力を超えるという動画を配信されていますが、エンジン基本設計の基礎であるブロックの性能以上の出力を発揮する際には、エンジンが性能を発揮できる時間に限界があります。多くの場合は熱によるパーツの劣化が原因になります。
 たとえばドラッグレースなど直線を短時間で走るための車つくりが定番の場合は、エンジンを何年も使用することを前提にチューニングは行われていません。走行何本でエンジンオーバーホールや、毎レースオーバーホール、その場でエンジン乗せ換えなど使い捨てが当たり前で行われます。近年人気になっているオーストラリアのWTACなどでも同様の発想のチューナーやメーカーが競い合っています。
 
そういったチューニング思想は、日本ではまだ一般的ではなく一度エンジンを作ったら長く使用することを前提にしています。さらにエンジンブロックの耐久性に関する根本的な解決方法として、海外では人気のエンジンのブロックを自分たちで作ってしまうチューナーやメーカーもあるくらいです。


05.ターボで高出力を引き出す方法。

エンジンの性能を向上させるもう一つの方法としてターボがあります。
ターボやスーパーチャージャーと言われるエンジンの補機類は、エンジン出力向上のための基本要件である吸入空気の密度を増やすことを可能にします。双方ともにエンジンが吸気を行う前に、空気を圧縮し1気圧以上の圧力で吸気をおこなうため、自然吸気エンジンの酸素量の何倍も多くの酸素をため込みます。その結果、圧縮された吸入空気は効率よく燃焼するために出力が増大します。このとき発生する熱量やエネルギーと比例して、高出力を受け止めるエンジンパーツには大きな負荷がかかりますので、エンジン本体の強化をせずにターボだけで高出力を発生させた場合は、エンジンパーツの耐久性および性能劣化が激しくなります。その結果、多くの場合は短時間でパーツの変形、歪み、曲がり等が発生し、運動バランスを崩し破壊されることで、エンジン全体に被害が拡大しエンジンブローとなります。こうした補機類によるチューニングは、エンジン自体に基本設計以上の過度な負荷をかけない適度なECUセッティングが必要になります。
 多くの場合、サイズの大きなターボは高出力を発揮しますが、タービンサイズの大きさに比例して高出力=高回転化しますので、エンジンの排気量など特性にあったものを選択する必要があります。また大型のタービンはブレードや回転軸にかかる負担も大きくなりますので、定期的なメンテナンスやオイル管理の頻度も多くなります。
 
 EFIテクノロジックでは、ターボの交換に伴う高精度ECUセッティングもおこなっておりますので、お気軽にご相談ください。
 

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