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第4章 堅実な生活
第1節 絆の強い社会
第1項 大きな世帯
1.世帯規模 ―残る多世代家族―
富山県では単身世帯が少なく、多世代家族が残っており、世帯規模が大きい。このことが、富山県民の生活と地域社会の多くの特徴の背景となっている。
(1) 総世帯数
各都道府県の総一般世帯数は、極めてばらばらである。
富山県は、404千世帯で全体の0.72%にとどまっており、都道府県の中では37番目となっている。
(2) 世帯類型
所属する世帯の類型別に県民の構成を見ると、富山県では二人以上一般世帯の比率が大きい。
これは、県内で就職すれば大概自宅から通えること及び大学等が少ないことから単独世帯が少ないためである。また、歴史的には兼業稲作で、家族での共同作業を続けてきたこともあろう。
全国と富山を比較して世帯類型をさらに詳しく見ると、二人以上一般世帯では、相対的に核家族が少なく、核家族以外の三世代家族、二世代家族、拡大家族がかなり多い。なお兄弟姉妹家族、非親族家族は、実数も少ないが、相対的にもかなり少ない。
施設等については、高齢者の施設入所により、相対的に多くなっている。
(3) 一般世帯
全国の一般世帯の平均規模2.2人(2020年)に対し、富山県では、2.5人で、都道府県の中で山形県、福井県、佐賀県に次いで4番目に大きい。
奈良、埼玉、和歌山など大都市への通勤者が住む県で核家族世帯の構成が大きい。
山形、福井、新潟、秋田、富山など日本海沿岸県では三世代家族の構成が大きい。これらはかつては稲作であり、家業を共同して行っていた経緯がある。
大都市の都府県では、単身世帯が多い。なお北海道、高知、鹿児島などでは、道県庁所在都市などに人口が移動し、都鄙双方で単身が多くなっている。
三世代家族世帯等(核家族を除く親族のみ世帯)に属する人口の構成を取り出して見ると、東北及び北陸で、さらには山陰で特に高くなっている。
逆に大都市地域では低くなっており、東北の宮城、北陸の石川も若干低くなっている。
人口の構成を所属する世帯の世帯人員規模別に見ると、構成比が最も大きい規模は、全国では2人である。これに対して、富山県では2,3,4人が概ね同じ構成比となっている。ちなみに2015年国勢調査では4人世帯が最大となっていた。
また、富山県は相対的に、5,6,7人の多人数世帯の割合が大きく、1,2人世帯の割合がかなり小さい。
富山県の世帯の規模が大きい要因として、生家から職場に通い易かったとともに、稲作兼業のため、人々の社会移動(転居)が少なかったことがあげられよう。
⇒大きな世帯規模の要因
家族と同居したいという意識もあるようだが、これは同居が多い結果として現れている意識とも捉えられる。
⇒同居意識
富山県の大きな世帯規模は、これまでの社会経済的環境条件がもたらしたものであり、結果として同居意識も強くなっていると考えられるが、こうした環境は、次第に変化しつつある。
(4) ライフサイクルと世帯類型
各人のライフサイクルの中では、出生時には核家族あるいはその他の親族世帯に属しているが、10歳代後半から核家族が減少し、単独世帯も現れる。しかし、20歳代後半からは結婚し世帯を持つため再び核家族世帯が増える。その後40歳代からは、高齢の親との同居さらには子どもの家族との同居が増加していく。しかし、50歳代半ば以降は子どもの家族との同居も減少し、一旦核家族(夫婦のみあるいは単身の子どもとの同居)が増える。その後概ね70歳代後半から施設居住者も順次増加していく。
⇒世帯変化の構造
(統計データ)
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(Dec.03,2021Rev.)
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