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第2章 富山の舞台

第1節 自然と生活の舞台

 県民の生活空間の環境を規定する自然条件について確認する。

 今後は、温暖化のみならず激しい気象変動が起き、厳しい災害に見舞われるだろう。さらに長期的には、海面の上昇により、平地の相当部分が失われる可能性もある。
 災害に強い土地利用に改めていくとともに、防災のための的確な基盤施設の整備も求められる。これは各地域毎の課題であり、富山なりに展望を持って対応していかなければならない。
 また、海進の課題については、居住地域を次第に移動させていかざるを得ないだろう。

第1項 地形
 日本列島は地殻の衝突によって形成された島弧である。富山はこの造山運動により最も激しく変形した地点に位置しており、これが富山の急峻な山岳と平野を持つ自然を決定している。
 また、この特色は、北陸から東北あるいは山陰へと続く日本海沿岸地域に共通することも多い。

第2項 気候(気候の現況進む気候変動
 暖流により緯度に比して温暖な環境が提供されている。
 また日本海を挟んで大陸の外縁に位置するため、冬季の降水に恵まれている。
 なお、地球温暖化の中での気象の変化が確実に進んでいる。

第3項 生活の舞台
 地形が急峻な山岳と沖積平野に明確に区分されており、人々の生活の場はほぼ平野部に限定されている。
 このため、生活空間は、中山間地部分が少なく、大部分は複合扇状地として大きく開けており、県民生活の環境水準を高いものとしている。
 ただし、平野部に限れば、かえって自然環境に乏しい事実は、あまり省みられていない。


 本節から導かれる課題の多くは、次章以降の話題である。しかし、2点について言及しておく。
 地球温暖化については、地域なりの対応も必要であろう。まずは、温暖化防止に貢献するため、自動車社会の再検討など、自らの生活・産業のあり方を変えていくことが必要である。また、温暖化に伴う異常気象等による様々な被害に対して地域づくりの脆弱な側面を改めていくことも当然であろう。さらには、温暖化により世界の食糧事情等に大混乱が起こると予想されるが、できる限り自立できるよう、農地の保全、その他必要な予防策を心掛けていくことも重要である。
 また、県全体としての豊かな自然のイメージに溺れ、かえって日常生活空間の環境保全がおろそかになっている面があるが、県民が共通認識を持ったけじめのある土地利用規制の確立等が急務である。


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(May.03,2015)