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第2章 富山の舞台
第1節 自然と生活の舞台

第1項 地形
―二極化した地形―

(1) 歴史
(2) 地形
(3) 標高

 富山県の生活空間は概ね平坦な複合扇状地で構成され、山間部は急峻で人が住まないため、結果として過疎地の少ない豊かな県となっている。


(1) 歴史
 富山県は、中央に富山平野という舞台があり、背後に山岳地帯の屏風を控え、前方には富山湾が広がっている劇場である。このような地形となっているのは、日本列島形成の長い歴史がある。
 日本列島の地層の多くは、大陸(中国)への付加帯から始まっている。しかし、富山は大陸の大地自体が剥がれたもので、日本でも古い起源を持っている。例えば日本で見出されている最も古い鉱物は、宇奈月の花崗岩中のジルコンである。また、恐竜の化石等も見つかっている。
 日本列島が大陸から割けた際には、幾つかの浅い堆を持つ深い日本海が形成されている。
 その後、フォッサマグナが形成され日本列島自体が東西に大きく分かれ回転した際には、富山湾には、深い海谷が形成された。また、地上では地層の褶曲が進み日本アルプスが形成された。
 その後、浸食により深いV字渓谷が形成され、一方で、幾つもの扇状地が形成されている。



(2) 地形
 現在の地形は、東部、南部には山地が、北部の臨海部には扇状地及び潟埋積地の平野が広がっており、その中間に帯状に台地・丘陵地がある。


 平野部は、数多くの河川による複合扇状地が主体で、一部に沖積平野(潟埋積地)等がある。


 都道府県の地形別面積構成の比較でも、富山は、丘陵地・台地等の中間的な地形が少なく、山地が多い一方で低地も多いことがわかる。
 富山県の地形的特色は、気象条件と共に、日本海沿岸地域にある程度共通したものである。このため、開けた平野に水田農業が展開されていることなどを介し、様々な面で日本海沿岸地域に共通した特徴が形成されている。


 地形を傾斜度別の面積の構成で見ると、30゜以上の急峻な地域が極めて多い。また同時に、3゜以下の平坦地も比較的多い。これに対して、3゜-30゜の地域が極めて少ない。
 このように傾斜度で見ても、県土が急峻な斜面と平地を主体に構成され、中間の緩傾斜地が少ないことが分かる。


(3) 標高
 地形を標高で見ると、平均標高が 600mを超える都道府県は、本州中央部の富山県、岐阜県、長野県、群馬県、山梨県の5県である。
 このうち富山県が唯一臨海県であり、傾斜が急であることを物語っている。


 山地は概ね 500m以上、平野部は概ね 100m以下であり、台地・丘陵地は概ね 100-500mとなっている。


  ちなみに、北陸3県の標高別面積を見ると、富山県は1000m以上が30%と広く、逆に石川県は100m以下がかなり広く、福井県は全国平均にかなり近いものとなっている。



(統計データ)

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(Sep.27,2024Rev./May.03,2015)