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第2章 富山の舞台
第1節 自然と生活の舞台

第1項 地形
―二極化した地形―

(1) 地形
(2) 標高

 富山県の生活空間は平坦な複合扇状地・沖積平野で構成され、山間部は急峻で人が住まないため、結果として過疎地の少ない豊かな県となっている。


(1) 地形
 日本列島は、4つの地殻のせめぎ合いで形成されている。富山の地形の成り立ちもこの地殻運動で理解できる。
 富山は地殻の褶曲で最も激しく隆起・沈降した斜面に位置し、険しい山岳地帯が存在する。一方、山岳地帯の浸食土石の堆積により形成された平野が広がっている。


 富山県は、中央に富山平野という舞台があり、背後に山岳地帯の屏風を控え、前方には富山湾が広がっている劇場である。

 具体的には、東部、南部には山地が、北部の臨海部には扇状地及び潟埋積地の平野が広がっており、その中間に帯状に台地・丘陵地がある。


 平野部は、数多くの河川による複合扇状地が主体で、一部に沖積平野(潟埋積地)等がある。


 都道府県の地形別面積構成の比較でも、富山は、丘陵地・台地等の中間的な地形が少なく、山地が多い一方で低地も多いことがわかる。
 富山県の地形的特色は、気象条件と共に、日本海沿岸地域にある程度共通したものである。このため、開けた平野に水田農業が展開されていることなどを介し、様々な面で日本海沿岸地域に共通した特徴が形成されている。


 地形を傾斜度別の面積の構成で見ると、30゜以上の急峻な地域が極めて多い。また同時に、3゜以下の平坦地も比較的多い。これに対して、3゜-20゜の地域が極めて少ない。
 このように傾斜度で見ても、県土が急峻な斜面と平地を主体に構成され、中間の緩傾斜地が少ないことが分かる。


(2) 標高
 地形を標高で見ると、平均標高が 600mを超える都道府県は、本州中央部の富山県、岐阜県、長野県、群馬県、山梨県の5県である。
 このうち富山県が唯一臨海県であり、傾斜が急であることを物語っている。


 山地は概ね 500m以上、平野部は概ね 100m以下であり、台地・丘陵地は概ね 100-500mとなっている。


  ちなみに、北陸3県の標高別面積を見ると、富山県は1000m以上が30%と広く、逆に石川県は100m以下がかなり広く、福井県は全国平均にかなり近いものとなっている。



(統計データ)

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(May.03,2015)