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第2章 富山の舞台
第1節 自然と生活の舞台

第3項 生活の舞台
―少ない自然―

(1) 平地に住む県民
(2) 居住空間の自然


(1) 平地に住む県民
 富山県の県土は、急峻な斜面と平地を主体に構成されており、ほとんどの県民はこの平地に居住している。この結果として、平地で平らな地域に住む人の割合が、都道府県の中でも最も高くなっている。

 富山県の総面積に対する可住地面積の割合は30%で、都道府県の中では13番目に多い。
 急峻な山地が多いというイメージがあるが、それ以外の殆どが平野部であり、いわゆる中山間地が少ないことを意味している。


 地形を平地、台地・丘陵地、山地に分け、それぞれに居住する人の割合を見ると、富山県では平地に住む人が80%を超え、都道府県の中でも最も高い。
他に高いのは、新潟、福井、山形、石川などである。
 これらの地域はいずれも日本海沿岸で、地形的には富山県について説明したものと同様の成り立ちを持ち、我が国の水田稲作地帯となっている。


 また土地の傾斜度で見ると、1度未満の地域に住む人の割合は、80%を若干下回るが、埼玉・東京・千葉に次ぐ位置である。ちなみにこれら3都県の居住は台地・丘陵地が多くなっている。


 富山県民の居住する平地は扇状地と海岸線の沖積平野で構成されコンパクトにまとまっている。さらにこの地域で人々はかなり分散して住んでいる。こうした居住状況が県民生活、経済活動、基盤施設整備に多様な影響を与えている。

 標高区分で居住人口の割合を見ると、富山県では、5-10m、10-20mの地域が、それぞれ約20%で最も多い。


 富山県で10m以下、20m以下の地域に住む人の割合はそれぞれ約40%弱、60%弱となっている。

 今後、地球温暖化による海水面の上昇がどの程度進むか。海岸線の堤防がどの程度の高さまで可能か不明だが、一旦浸水すれば水が引かなくなる。このため標高未満人口の割合は今後転居せざるを得なくなる人口の割合を意味している。



(2) 居住空間の自然
 民有地の地目別面積の構成を見ると、富山県は田畑牧場の比率が都道府県の中で最も大きい。これは、山林原野が極めて少ないためである。
 居住住空間が農耕地に囲まれていることとなるが、農耕地は人工的空間であり、居住空間の自然度の評価には議論があろう。


 富山県の自然が豊かだという理由を挙げる場合、しばしば植生自然度9,10の範囲の面積比率を用いる。しかし、これは非可住地の植生であり、日常の生活空間は、水田が主体の植生自然度2に囲まれている。
 ⇒植生自然度詳述


 自然公園の面積比率も高いが、これも富山県では、非可住地が主体である。
 なお、この比率が東京都などでも高いが、これは都道府県指定公園が各都道府県の意向で定められているためである。


 なお、生活空間に近い、海岸線については、自然海岸がほとんどない。


(統計データ)

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(Apr.13,2019)