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第2章 富山の舞台
第2節 人口動態の転換

第3項 年齢構成
―特に多い団塊の世代―

(1) 人口ピラミッド
(2) 年齢階層別人口
(3) 年齢階層別人口の推移
(4) 市町村人口の年齢分布

団塊の世代の急増
 2023年10月の人口推計では、富山県の団塊世代の人口比率は19.0%で都道府県の中では、8番目の高さである(ただし、計算では18.97%であった)。
 2020年の国勢調査では、16.8%の14番目であったものが急増した。
 これは、団塊の世代が後期高齢者に入り込んだ結果であり、富山県は他地域に比して、団塊の世代の比率が高いことが影響している。
 ちなみに後期高齢者比率が高いのは、順に秋田、高知、山口、島根、和歌山、徳島、岩手、富山と並ぶ。いわゆる過疎県で若い人が減少し、相対的に高齢者比率が上がっていられる様子が見られるのだが、富山県はこうした要因に加え団塊の世代の比率の高いことが加わっている。

(Apr.15,2024)




(1) 人口ピラミッド
 人口ピラミッドから人口動態の歴史的経緯を見ることができる。
 戦後の高い出生率による団塊の世代の誕生により、人口ウェーブが形成された。その後1970年代半ばからの出生率(合計特殊出生率)の低下により、団塊の世代の形成は2代で終わった。15歳前後で人口のピークがあるが、これは第三の団塊の世代ではなく、大学進学期の人口が転出のため窪んで、一時的にピークが形成さているものである。団塊3代目は人口減少過程での踊り場にとどまっている。

 こうした経過で、人口ピラミッドは、もはやピラミッド型でなく、壺型となっている。さらに言えばコマ型に向かい、高齢者の重みで倒れかねない危うい構造となっている。


 2020年国勢調査での各都道府県の人口の年齢構成を見ると、富山県は70歳代前半の団塊の世代が都道府県の中でも特に多い。この団塊の世代の年齢移動により2010年代前半に65歳以上の高齢人口比率が急速に上がった。また、2025年の国勢調査では後期高齢者人口比率が急速に上がることとなる。
 団塊ジュニア世代に当たる40歳代後半は、富山県では大都市圏の都府県に次いで多い。
 これに対して、大学学齢期の20歳前後の構成比は極めて小さい。このような形となっているのは、従来から、県内での大学の収容力が小さく、県外への転出者がかなり多いが、県内には就職先があり、相当程度の者が戻ってきているためといえよう。
 また、出生率の低下による人口減少は大きく、10歳以下の若い世代の人口は、大学学齢期の人口の窪みをかなり下回るようになっている。




(2) 年齢階層別人口
 富山県の高齢化人口比率32.2%は都道府県の中では、14番目の大きさである。
 2015年の国勢調査では都道府県の中でも構成比が高い団塊の世代が65歳を超えることによって大幅に順位を上げ9番目となったが、5年で若干順位を下げた。
 ⇒高齢者の活力


 ちなみに、75歳以上人口比率を見ると、16.8%で、都道府県の中ではやはり14番目である。
 ただし、2015年では、19番目であった。


 富山県の年少人口比率11.1%は都道府県の中では、小さい方から7番目であり、年少人口の減少は早く進んでいる。


 15〜64歳の労働力年齢人口比率は、54.9%であり、都道府県の中では中ほどの27番目の大きさである。



高齢人口(65以上)比率の階層区分
高齢化社会 7%〜14%
高齢社会 14%〜21%
超高齢社会 21%〜
 この区分は、国連の報告書(1956年)等に由来するとされているが、定かではない。
 また、「高齢化社会」などは、一般に使われる用語であり、この定義との齟齬を逐一誤りとすべきではないだろう。

(May.03,2004.)




(3) 年齢階層別人口の推移
 富山県の年齢階層3区分別人口の推移については、1990年代半ばに転換点があり、労働力年齢人口が減少し始めると同時に、高齢人口と年少人口の比率が逆転している。


 2020年国勢調査の年齢階層別構成比については、15歳未満11.1%、15-64歳54.9%、65歳以上32.2%であった。


 以上のような人口変動の結果、団塊の世代の高齢人口への移行期である2010年代半ばに、富山県の労働力年齢人口の減少が、相対的に速く進んだ。


 高齢者と年少者を合わせた従属年齢人口の比率は2020年に43%となった。これは労働力年齢人口4人に従属年齢人口3人の比率である。
 ⇒従属人口指数



(4) 市町村人口の年齢分布
 人口の年齢分布について、県内15市町村を明確に区分することは難しいが、全人口の平均年齢を目安として仮に分けると次のとおりとなる。

【49歳未満】
 相対的に若い層の多いグループである。中でも舟橋村は平均年齢43.1歳で最も若い。その他に射水市、富山市、砺波市、滑川市が加わるが、県全体の中で、富山市に向かって緩く移動する人口が居住している場所である。砺波市については非線引きの都市計画区域で住宅建設が進んできた面がある。
 このグループでは、団塊ジュニア世代のピークが団塊世代のピークと同程度の位置に留まっている。


【49歳以上-52歳未満】
 中間グルーブであり、前のグループを地理的に取り囲み県内の中間的な位置にある。
 このグループでは、団塊ジュニア世代のピークが団塊世代のピークに比して若干低い。


【52歳以上】
 県内で最も高齢化が進んだグループである。特に、朝日町は平均年齢が59.6歳と高くなっている。いずれも県内の周辺部に位置する市町である。
 このグループでは、団塊ジュニア世代のピークは、一応あるが、かなり低くなっており、団塊ジュニア世代を含めかなりの人口が他地域へ抜け出している。

(統計データ)


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(Apr.14,2024Rev./Feb.20,2015ReEd.)