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第4章 堅実な生活
第1節 絆の強い社会
第2項 豊かな世帯所得

1.世帯所得
―相対的に低下する富山の家計所得―

(1) 富山市の家計の諸指標
(2) 大きな実収入
(3) 近年の相対的位置の低下の収入項目別検討

 富山県の世帯の所得(実収入)は、幾つかの収入源があり、都道府県の中でも特に大きい。2010年代末は横ばい気味に推移し相対的位置が低下させていたが、2020年代に入って再び位置をかなり上げている。

世帯類型別実収入 全国家計構造調査

  円/月 (2019年)
実収入富山県
/全国
富山県
順位
全国富山県
総世帯勤労者世帯448,693480,0001.070 4
無職世帯235,330360,2841.531 1
二人以上の世帯勤労者世帯531,382560,5541.055 7
無職世帯298,928450,1061.506 1
単身世帯勤労者世帯305,004280,3980.919 28
無職世帯141,740168,7821.191 5
 家計調査に回答するためには詳細な家計簿の記載が必要であり、家計調査のサンプル数を増やすことは容易ではない。また、勤労者世帯か否か、単身か二人以上世帯か、非農家か農家かなど世帯によって家計の内容が大きく異なるため、家計の実態を検討するには世帯の類型を明確に区分する必要があり、さらにサンプル数が小さくなる。このため、都道府県(県庁等所在都市)レベルで扱えるサンプル数は極めて少なく、例えば、富山市の集計世帯(勤労者世帯で二人以上)数は約50世帯に留まっている。このため、統計抽出に伴う振れから、年々の変動が激しくなるが、何年かの統計に目を通しながら利用することによって、凡その傾向を捉えることは可能であろう。ただし、細分した分析には限界があることは言うまでもない。
 なお、2008年統計からは非農家世帯と特に明記しないこととなった。以下の統計では、2007年までは非農家世帯である。



(1) 富山市の家計の諸指標
家計調査での富山市の位置
2020〜2022年平均

16201 富山市全国富山市
全国
都市
順位
世帯人員【人】3.34 3.28 1.02 12
有業人員【人】1.94 1.79 1.09 2
持家率【%】93.17 79.73 1.17 1
平均畳数(持家)【畳】46.53 38.57 1.21 1
実収入【円】681692 610835 1.12 5
平均消費性向【%】57.73 62.70 0.92 43
黒字率【%】42.27 37.30 1.13 5
平均貯蓄率【%】43.13 34.33 1.26 2
エンゲル係数【%】25.57 25.50 1.00 20
 まず、2020年〜2022年の各年の調査結果を平均した指標で富山市の家計の概要を整理する。
 2人以上勤労者世帯で捉えれば、富山(市)の世帯規模は全国平均とほぼ同じ程度(1.02倍)となる。
 しかし、有業人員数は若干大きく、これが都道府県の中でも大きい実収入に繋がっている。
 また、持ち家率が高く、その広さも大きいが、これは高い光熱費などに繋がっている(後述)。ちなみに、借家に限ればむしろ全国平均より狭い。
 大きい実収入により、平均消費性向は低くなっており、黒字率は高い。特段の消費をしないので、エンゲル係数は必ずしも低くない。



(2) 大きな実収入
 富山市での2020年〜2022年の二人以上勤労者世帯月平均実収入は、682千円であでった。これは、全国の611千円に比して71千円大きく、都道府県庁所在都市の中では5番目に大きい。
 なお、'20年には全国と同じように跳ね上がったが、'22年には減少しておりており、今後の動向を注視したい。

 最近年の経過を見ると、'90s後半は、団塊ジュニア世代が働き始めたがまだ親と同居していた時期であって、富山市の実収入は突出した大きさとなっている。'90s末以降、世帯の実収入は、次第に縮小したが、これは、勤労による所得自体の縮小とともに、団塊ジュニア世代の世帯分離による世帯規模の縮小が大きな要因になっていると考えられる。
 世帯分離が一段落した2010年代に入って、実収入は概ね横這いとなっている。
 これに対して全国平均では'00s半ばから横這いであったが、'10s末には増加に転じている。

 人口変動のサイクルを25年とすると、1990年代半ばからの変化が再現される可能性がある。しかし、団塊孫世代は、人口減少の趨勢の中で山ではなく踊り場となっており、このような効果がでるか定かではない。


 各都道府県庁所在都市の世帯当たり実収入については、大きい市区から、さいたま市、東京都区部、千葉市、岐阜市と続き、次に富山市がある。


 (参考) 全国家計構造調査 2019年


 富山市の家計の実収入が多いのは、世帯主の所得が高いのではなく、配偶者、他の者の勤め先所得があるためであり、さらに年金収入も大きいためである。
 ⇒公的年金加入状況


 (参考) 全国家計構造調査 2019年



(3) 近年の相対的位置の低下の収入項目別検討

実収入の順位の変化
 富山市の実収入の順位は'16年から低下気味に推移し、'19年には、全国に比して1.2%大きいものに留まり、47市区の中では、17番目の大きさになっている。
 富山市の標本数は39世帯にとどまっており、この水準を即座に実態とは捉えられないが、近年相対的位置が低下気味に推移しており、今後の動向を注視していく必要がある。
 ちなみに2019年の富山の位置が相対的に低下したのは、世帯主勤め先収入が、全国比84.3%で69千円少なくなっているためである。


近年の実収入の項目別変化
 家計調査での二人以上勤労者世帯の実収入の推移を富山市について見ると、'00年代当初は都道府県庁所在都市の中で最も大きく突出していたが、'00年代末から'10年代前半では概ね最大の位置で横ばいで推移し、その後'10年代後半には相対的に低下し、'19年には全国値とほぼ同じで19番目となっている。その後'20、'21年には5,4番目となっている。
 家計調査で都道府県庁所在都市の二人以上勤労者世帯まで絞ると標本数が極めて少ないことに留意しておく必要がある。


 世帯の実収入の推移をその構成要素別にみると、まず全体の2/3程度を占める世帯主の勤め先収入は、富山市では、'00年代及び'10年代後半に大きく低下し、'19年には41位へと大きく低下している。
 これが世帯実収入の'19年の減少をもたらしているが、この背景ははっきりしない。


 ちなみに、賃金構造基本調査ので決まって支給される現金給与・男の富山県の推移は、都道府県の中で20番台にあり、2018年は29位、2019年は22位であった。家計調査での世帯主の勤め先収入の低下の原因は判然としない。


 次いで世帯主の配偶者の勤め先収入の推移については、全国でも富山市でも次第に増加しており、概ね同じ差が続いている。


 その他の世帯員の勤め先収入については、富山市では'00年代に大きく低下している。これは、団塊ジュニア世代の世帯から独立によるものであろう。


 他方、社会保障による収入については、富山市は全国の中でも最も大きいが、他地域が次第に大きくなってきており、その差は縮小傾向にある。これは、他地域では、富山より遅れて、会社勤め(厚生年金加入者)が多くなったためといえよう。


 以上のように富山市の二人以上勤労者世帯の実収入は、21世紀の初めには、突出して高かったが、世帯主の勤め先収入は漸減し相対的な位置を下げており、さらに、その他の世帯員の勤め先収入は世帯員自体の減少から全国との差が小さくなっており、また社会保障収入についても年金の成熟(厚生年金受給者の増加)の中で差が小さくなっている。
 世帯主の勤め先収入の相対的な低下の要因は判然としないが、富山市の二人以上勤労者世帯の実収入の相対的な位置の低下は間違いないであろう。

(統計データ)

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(Feb.08,2023Rev)