第1章 地域を捉える
本章では、地域を総合的に捉える方法論を紹介しつつ、富山県の包括的な理解を試みる。 |
豊かさ指標の試算の多くで富山県は上位に位置している。 これは、富山県民が、平坦に広がった富山平野に分散しゆとりを持って居住し、大きめの家族で互いに支えながら生活し、日本の中央部に位置し先人の努力ともあいまって産業のそれなりの集積があるためといえよう。 ただし、これまでの富山県の豊かさについては、その根底から崩壊しつつあるという懸念がある。産業構造が大きく変わる中で、モノ造りを指向した企業群には弾力的な対応ができていない懸念がある。大きめの家族は急速に縮小しており、支え合う気風も放棄されつつあるが、これを補う県民の意識、質の高い制度の整備が進んでいない。ゆとりある郷土は、都市集積のないまま無原則な土地利用を展開させ、弊害の多い自動車社会を出現させている。 富山県の豊かさについて、どのような評価を下すにしろ、社会が大きく転換していく中で、新たな富山県の方向をしっかりと探っていく必要があろう。 |
(Jan.14,2014Rev.)