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第3章 モノづくり指向の産業
第1節 主要業種概観
第2項 第1次産業

1.農業
―非農家経営耕地面積が過半に―

(0) 農業経営体の構造変化
(1) 経済活動としての規模
(2) 水田稲作特化
(3) 農業経営体
(4) 集落営農の展開
(5) 極めて少ない畜産
(6) 第6次産業化の可能性
(7) 漸減する耕地面積
参考;食料需給率(「U富山の舞台_4.国際社会の中で」)


(0) 農業経営体の構造変化
 2020年農林センサスでは、富山県の経営耕地のうち農家以外が経営する面積比率が52.7%で半分を超えた。半分を超えるのは富山県のみで、富山県に続くのは、福井県43.7%、佐賀県43.6%、岐阜県32.7%などであり、また全国は18.9%である。
 最早、富山県の農業経営の主体は農家ではなくなっていると言うこともできよう。


 さらに富山県の経営耕地面積のうち借地の比率は71.4%で自らが所有しない耕地の経営が全国でも最も高くなっている。富山県に続くのは滋賀県68.9%、福井県66.6%、石川県65.3%などであり、全国は38.9%である。


 ちなみに、富山県では、耕作を他者に依頼することによって、自らは農業をしない世帯(土地持ち非農家世帯)が急速増え、2020年には38千戸となっている。


 なお、各経営体の販売額で、米が最大の経営体の比率は、富山県が90.1%で最も高く、滋賀県、新潟県、福井県、石川県など稲作地帯の県が85%以上となっている。

(統計データ)

 このように、富山県の農業は、既に農家が主体ではなくなり、経営の基盤が大きく変化してきている。さらに作物については従来から米に特化している。このため富山県の農業の在り方については、これまでの過去のものではなく、同時に全国一般のものでもなく、新たなあり方を構築していくことが必要となっている。
 特に、非農家世帯の所有する耕地の維持は極めて困難な課題である。また、農家を超えた規模の大きな営農は、それぞれの経営体がそれぞれなりの工夫をして経営効率を高めていく必要があり、そのための体制が整っているか懸念される。
 このような基本的な課題への対処は、日々のマスコミ報道では読み取ることができず、現場にいないと実態が掴めない。例えば、「ふふふ」の導入や、6次産業化への対応の話題などは、富山県農業の新たな方向には沿っていないように見える。
 また、富山県では農業関連投資が極めて大きいが、本当に必要なことに向かっているのだろうか。食糧自給の課題なども含めて未来に続く農業生産の構築のためには、デカップリングによる経営体への助成金支給などが必要とも考えられるが如何であろうか。

(Mar.28,2020Rev.)

 以下の記述は、このような課題には殆ど言及せず、旧来のそして全国一般の分析にとどまっている。

旧記述****************

 しかし、個人経営体(農家)の基幹的農業従事者の年齢構成は極めて高い。


 この結果、農業従事者は急速に減少し、同時に農業個人経営体も急減している。
 特に、北陸3での減少率は全国でも特に大きく、この10年でほぼ半減している。



 これに対応するため、これまで農家それぞれの耕作を集落の営農家に依頼してきている。
 この結果、富山県全体の農業の規模が小さいにも拘わらず、集落営農組織数は兵庫、宮城、秋田に次いで多くなっている。
 また、集落営農が制度化された当初は、積極的な農業経営の体勢は見られなかったが、年を経て様相が変化してきているようである。



 農業経営体の経営面積規模階層を区切って、それぞれの区分での総面積を見ると、富山県は北海道に次いで、大規模経営が多くなっているといえそうだ。

 水稲栽培の大規模経営では、それなりの工夫が必要であり、例えば作付け品種多様化による農繁期の平準化などが求められよう。行政、農協が、作付け時期を一斉にずらすことを求めたり、富富富の作付けを奨励したりすることなどは、大規模経営体にとってどのような意味を持つのであろうか。
 このため個人経営体の農業の集積として、農業の在り方を考えることは実態に合わなくなってきているのではなかろうか。


 本節での以下の記述は、このような観点がなく農家中心の発想でまとめており、今後再検討していく必要がある。

(統計データ)

(Dec.01,2020Add.)

****************


(1) 経済活動としての規模
◎生産所得
 2020年の富山県内での生産農業所得は、377億円であった。都道府県の中では、10番目に小さい。
なお、産出額では、629億円で、都道府県の中では、東京、大阪、兵庫、福井、石川、京都に次いで7番目に小さい。


 また、2018年度の富山県のGDPに占める比率は0.98%に留まり、都道府県の中では17番目に小さい。


(統計データ)


◎就業者数
就業
者数
増減

65歳
以上
比率
197584,509-38.118.3
198065,551-22.426.2
198549,575-24.432.0
199036,702-26.040.8
199532,576-11.255.0
200021,683-33.461.8
200523,039 6.364.0
201017,095-25.858.5
201516,095-5.864.9
 2015年国勢調査による富山県の農業就業者数は16,095人であった。

 ただし、農林業センサス(2010年)での農業経営者・雇用者実人数の合計では、45,520人であり、全国の1.9%で都道府県の中では24番目と中ほどである。これは農業を主な業としない兼業者が多いことを意味している。

 また、2010年に比較して、1千人、5.8%の減少に留まっている。




 2010代前半には、団塊の世代の退職者が就農し、65-69歳が急増している。
 同時に30歳代も若干増加している。
 この増加が他産業からのはみ出しでなく、主体的に農業をやろうとする者かどうかは検証していないが、産業的農業経営の展開を期待したい。





(2) 水田稲作特化
 富山県では耕地の中での田の比率が96%であり、都道府県の中で最も高い。全国での田の比率は、54%に留まっている(北海道を除くと67%)。
 富山県を含む北陸地方、さらに日本海沿岸県で田の比率が高いのは、日本列島の形成過程で、この地域に河川の氾濫により田に相応しい広い平野が形成されたこと、さらに多雨の気候条件が重なっていることによるといえよう。
 特に富山県については、50万年前頃から北アメリカプレートとユーラシアプレートが衝突し、飛騨・木曽・赤石と続く山脈が隆起する中で、複合扇状地が 形成され、周囲が急峻な山岳に囲まれているため、居住空間がほぼ平野部に限られていることによって、耕地中の田の比率が極めて高い地域となっている。




 農業産出額のうち耕種についての構成比を見ると、富山県は野菜も果樹・花卉も殆どなく、専ら米の生産に頼っている。米の生産の構成比は80%で全国で最も大きい。類似した県としては、福井、秋田、滋賀、新潟、宮城、石川が並ぶ。
 米の生産に特化しているのは、平野が広がり、水利に優れた地域で日本海沿岸の県が多い。さらに北陸3県については、他の働き口としての工業の立地もあり、兼業農業が展開されている。
 野菜の構成比が大きいのは、大都市とその周辺の都府県、及び四国・九州の県などである。
 果樹・花卉については、各種品目の特産地が並んでいる。



 さらに畜産を加えて、米、その他耕種、畜産生産の構成比を見ると、富山県では鶏卵等が若干あり、米の比率は69%となるが、米に特化していることについては変わりはない。
 畜産生産の構成が大きいのは、概ね農耕不利地で産地を形成している県といえよう。



 農業産出額のうち米作のウエイトは全国では19%であるが、富山県は69%と極めて高い。
 これに次ぐのは、野菜(9%)、鶏(6%)などであり、いずれも限られたものとなっている。
 さらに米作の実態は、大多数が兼業農家であり、農業生産で生計を建てていこうとする農家は極めて限られている。


 2020年の農林業センサスによれば、米が農産物販売金額の中で最大の経営体は、富山県では90.1%を占め、都道府県の中で最も大きくなっている。富山県に次いで、さらに滋賀県、新潟県、福井県、石川県と稲作県が並んでいる。

 このように、新潟を含む北陸地方の農業経営は極めて稲作に特化しており、他地域では、稲作が相当部分を占めているとしても経営の実態がかなり異なることを理解しておく必要がある。


 作物種類別の作付け面積の構成では、富山県では、稲の他に麦類、豆類がある程度あるが、これは、転作に対応しているもので、農地の活用にそれなりに努力している様子が見られる。


(統計データ)

(田畑比率と稲作経営の相関分析)
 都道府県毎の耕地中の田の比率と稲作単一経営の経営体の比率は、相関が高いが、この相関から乖離して、稲作単一経営の経営体の比率が低いのは、佐賀、福岡、高知などであり、逆に高いのは石川、新潟、茨城などである。
 こうした乖離は、気象条件がさらに影響しているとともに、地域のその他の産業の状況(就業環境)などが影響しているものと推測される。

(統計データ)

(Mar.10,2014)


 ちなみに、食料自給率を見ると、富山県ではカロリーベースでは8割を超え都道府県の中でも8番目に高いが、生産額ベースでは、約6割で都道府県の中では30番目となっている。これは富山県での生産が稲作に特化している結果であり、福井も同様の位置にある。

(統計データ)

(Nov.11,2017)




(3) 農業経営体
 2020年の富山県の農業経営体数は12,317で、都道府県の中では、8番目に少ない。富山県より少ないのは大都市圏の4都府県(東京、大阪、奈良、神奈川)と石川、福井、沖縄である。


 農業経営体の組織形態としては、都道府県の中では家族以外がかなり多い。
 これは、後述の集落営農への転換が進んでいることも一因である。


 現在、農家数は急激に減少しており、土地持ち非農家が急増している。
 こうした非農家が土地を手放さない中で、集落営農が多くなっていることは理解できるであろう。


 富山県では、農家及び土地持ち非農家全体の中で土地持ち非農家がほぼ60%を占めており、都道府県の中では最も多い。

(Mar.29,2016Add.)



(統計データ)

 農業センサスによれば、2015年から2020年の5年間に販売農家数は、全国で22.7%減少している。都道府県別では、福井県で35.9%減、これに次いで富山県が32.4%減となっている。


(統計データ)

(Nov.24,2017)


兼業農家
 農家の形態等は、もはや大切な話題ではなくなっているように思える(Mar.28,2022Add.) 。
 この米作の実態は、大多数が兼業農家であり、農業生産で生計を建てていこうとする農家は極めて限られている。2015年2月現在の富山県での主業農家数は、1,207世帯であった。これは、福井県に次いで少ないものである。


 さらに、主業農家のうち、65歳以下で農業を主としてやっている者がいる農家は、777世帯に留まっている。

 2015年2月現在の富山県での主業農家数は、1,207世帯であった。
 これは、福井県に次いで少ないものである。


農家数 富山県

主業農家準主業農家副業的農家合計
2005年1,567
968
5,825
935
13,80921,201
2010年1,244
674
5,658
711
15,01221,914
2015年1,207
777
3,487
808
12,05016,744
下段は65歳未満専従者のいる農家
  農林水産省 「農林業センサス」
 さらに、2015年農林業センサスの結果であるが、主業農家のうち、65歳以下で農業を主としてやっている者がいる農家は、777世帯に留まっている。

 ただし、5年前に比べ、65歳未満専従者のいる主業農家、準主業農家は、それぞれ100世帯程度増加し、副業的農家は3,000世帯程度減少するなど、次第に構造が変化してきている様子もうかがえる。



 一方、生産年齢人口(-64歳)の基幹的従事者はわずか2,952人(全体の19%)に留まっている。
 さらに-59歳とすると1,262人(全体の8%)である。
 これらの比率は、福井県と並んで都道府県の中では最も低いものである。水田稲作で労力が相対的に少なくて済むこと、他方で近隣に勤めることができる場があること大きな要因であろう。





(専業・兼業、主業・副業の区分)  富山県の農家は、第二種兼業が74.9%を占め極めて多い。
 逆に専業農家は、16.2%の2,711に留まっている。



【専業・兼業の区分】
世帯員中に農業以外に就業している兼業従事者のいない農家
・専業農家 全収入が農業収入
世帯員中に1人以上の兼業従事者がいる農家。
・第一種兼業農家 農業収入が全収入の50%以上
・第二種兼業農家 農業収入が全収入の50%以下
 専業農家の中には、高齢者のみの世帯が相当程度含まれると見られる。
 

 現在の区分として使われている主業農家は7.2%の1,207に留まり、福井県に次いで少ない。
 ちなみに、これは、総世帯数の0.5%を割っている。



【主・副業の区分】
 1995年の農業センサスより、
従来の分類が以下のように改められている。
65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家
・主業農家 農業収入>農外収入
・準主業農家 農業収入<農外収入
65歳未満の農業従事60日以上の者がいない農家
・副業的農家
 この定義では、専農主婦がいれば主あるいは準主業になる可能性がある。


(経営規模)
 経営耕地面積の規模では、他地域に比較して、0.5ha未満の零細が少ない。ただし0.5〜2.0haに集中しており、これを超える大規模経営が多い訳でもない。


 年間販売額別では、50万円未満が相対的には少ないが、概ね200万円未満に集中している。



「家政」
 家庭内の仕事を処理する手段や方法
  (「新潮日本語漢字辞典」)
 以上のように、富山県では、相対的に零細農家も少ないが、大規模経営も少ないといえよう。
 そして、親から受け継いだ農地をそれなりに維持しているが、水田稲作が太宗を占め、産業としての積極的な経営は展開していない。
 いわば、「産業的農業」に対して、「家政的農業」と呼べるようなものが多数となっているのが実態ではなかろうか。
 そして、多くの農業政策は、この家政的農業を支えるものとなっているのではなかろうか。集落営農、戸別補償は、この典型であろう。
 また、既存の農業組織は、こうした農家に支えられており、このような施策を指向する利益団体となっている。
 さらに、耕地の転用転売期待もあり、土地の流動化が極めて困難になっている。
 ただし、こうした実態は、富山の豊かな生活を支える要素ともなっていることにも留意が必要であろう。

 農業の産業的展開の必要性が主張されているが、それを真剣に進めていく主体が見出されない。どうも第三者が声を出して、農地保全とその流動化を叫び、起業家の出現を促し、新しい産業的農業の形成を図っていかなければならないのかもしれない。

(統計データ)

(Mar.29,2016Rev.)



(4) 集落営農の展開
 集落営農の実態は、集落の農家が集まって一緒に農業を展開するのではなく、特定の者に営農を依頼してしまうということらしい。
 富山には、集落営農体が736あり、兵庫、宮城、秋田に次いで多い。
 このうち集落の中心経営体と位置付けられているものは、623で、都道府県の中で最も多い。これは地域の営農のなかで、この集落営農組織がしっかりと位置付けられていると言えよう。


 集落営農の法人格について見ると、非法人が38%、農事組合が61%、その他の法人は1%である。
 その他法人が少ないのは、会社等を設立し、永続的な事業活動を展開するには至っていないということであろうか。


 また、各組織の従事者については、全体の18%に主たる従事者がおらず、さらに主たる従事者が1以下の組織は82%くとなっている。
 都道府県の中でも営農態勢が弱いということであろうか。
 この部分は、さらに、集落営農数の多寡と関連させて分析する必要がある。


 ただし、各集落営農を面積規模別に分け、それぞれの総面積を見ると、例えば10ha以上が面積で85%を占めており、全国で最も多い。これは企業的経営として確立すれば、自立の可能性は十分にあるだろう。


 集落内での集積率集積率も都道府県の中ではかなり高くなっている。


 参加農家数については、20-39戸がほぼ半数である。


 経年的には、集落営農数は横這いだが、法人化が進んでいる。


 農家戸数は漸減しているが、これは背景に農家の非農家化があるのだろう。


 面積では、2010年代に入って緩やかではあるが増加が続いている。
 また、農作業受託面積は減少しており、直接の経営耕地面積に入れ替わっている。


 集落営農については多様な統計が公表されているが、統計数値だけからは実態が見え難い。
 しかし、集落内で集落営農の位置づけは次第に大きくなってきているが、産業的農業を発展させようとするものとはなっていないようである。
 全国では、耕作放棄地の拡大を防ぐための次善策となっているようだが、富山県では、土地持ち非農家及び第二種兼業農家を維持していくための手立てとなっているようである。
 産業としての農業の展開を助長するためには、大規模経営を目指す事業者に耕地を長期的に集約していく必要がある。しかし、富山県では、耕地の転用による現金収入の期待もあり、長期的に集約させることを拒む傾向があるようだ。
 さらに現在の農家戸別所得補償制度はその運用によっては、農地集約に対する貸し剥がしも生じる懸念がある。

 いずれにしろ、兼業農家の温存を目指すのか、産業的農業の展開を目指すのか、地域としての姿勢を明確にして、地域づくりを進めていく必要があるようだ。

(統計データ)

(Apr.01,2020Rev.)



(5) 極めて少ない畜産
―畜産業の縮小―

 畜産農家は次第に減少しており、肉用牛・乳用牛はそれぞれ約40戸、豚・採卵鶏はそれぞれ約20戸となっている(2018年)。
 なお、県内には、これ以外に養蜂や山羊等の飼育農家もある。


 農家戸数とともに飼育頭数も漸減している。
 ただし、採卵鶏は、1百万羽強で横這い気味となっている。


2017年
2月
乳牛採卵鶏
(千羽)
ブロイラー戸数計
富山戸数44 45 19 20 0 128
頭数2,070 3,490 30,100 1,218 0 -
全国戸数16,400 50,100 4,670 2,350 2,310 75830
頭数1,323,000 2,499,000 9,346,000 176,366 134,923 -
構成比戸数0.3%0.1%0.4%0.9%0.0%0.2%
頭数0.2%0.1%0.3%0.7%0.0%-
都道府
県順位
戸数44453538-43
頭数43423532--
 富山県畜産業は、全国の中でも構成比は極めて小さい。ただし、採卵養鶏は辛うじて1%弱となっている。


 このように県域全体としては、畜産業が縮小し、農家も極めて少数となってきているが、残存する個々の事業者及びその集団は、地域ブランド化を図り、一層の発展を期している。

(統計データ)

(Apr.02,2020Rev.)



(6) 第6次産業化の可能性
第六次産業化推進のロゴマーク
 農業経済学者今村奈良臣が、農業の多角化経営へのキーワードとして第六次産業化を提唱しており、農業者が食品加工や流通販売にも主体的に関わり農業(農村)を活性化させようと主張している。第六次とは、第一次+第二次+第三次(あるいは第一次×第二次×第三次)による。農林水産省もこのキーワードを使って、農山漁村の活性化施策を展開している。
 この考えのもとで、「農業・農村の六次産業化総合調査」が2010年から行われている。


 富山県の第6次産業の販売額(2019年)は、105億円にとどまり、都道府県の中で最も小さい。



 さらに事業別には、直売所の販売が71%と太宗を占めている。

 事業の従事者については、総数で41百人であるが、雇用が24百人に留まっている。



加工直販観光・飲食・
宿泊
販売額(百万円)11,2492,1838,140926
従事者(百人)4119175
従事者当たり販売額
(万円/人)
274115479185
 富山県の従事者当たり販売額について見ると、直販でも430万円にとどまっている。

 利益率等を勘案すると、マクロ統計では企業的経営をしている産業として見えてこないといえる。
 この産業の在り方を考慮するには、事例の研究が大切であろう。また、第6次産業での独立した経営体でなく、他事業との複合的経営として捉えていく必要があろう。


 ちなみに、年間販売金額の推移を見ると、漸増しているようにも見られるが、第一次である農産物生産自体が容易には伸びず振興はなかなか難しいのではなかろうか。


 以上のことは、富山県の農業生産は、稲作に特化しており、第6次産業が育つ基盤が、殆どないことを物語っている。
 富山県で、こうした施策を導入するには、その担い手、事業環境に鑑み、担い手主導の事業として展開していくことに十二分に留意する必要があろう。

 富山県での第六次産業化を具体的に進めるには、まず稲作経営を耕地の集約によって大規模化し、稲作の農作業の平準化、機械利用の効率化等を図っていく必要がある。さらに、水稲の品種を広げ、農作業の平準化等を一層進める。次に、裏作、転作等を組み合わせて、生産の多様化、労作業の年間を通じた平準化を実現していく。このような手順で、まず農業自身の深化を図り、この基盤の上に初めて、第六次産業化が展開できるのではないだろうか。(この記述は、技術的に可能かどうか十分な知識を持っていないので、小生の取り敢えずの思いを述べたものです。)

(統計データ)

(Apr.02,2020Rev)



(7) 漸減する耕地面積
 富山県では、かつて団塊の世代、団塊ジュニアの世代が自らの世帯を形成する時期に、耕地が宅地が、年々極めて大規模に進んだ。これに比べれば、現在の年々の耕地の減少面積はわずかであるが、それでも100ha台が続いている。
 食料自給率の極めて低い我が国が、地球温暖化の中で生き抜いていくためには、食料の潜在的生産力の形成・維持は極めて重要な課題であり、耕地の温存は不可欠である。

 富山県の耕地面積の変化については、田の減少に対して、若干ではあるが畑が増加しているのが特徴である。2018年に畑は2.4%増加しており、他に、全国で増加したのは山形県、大阪府のみであった。
 富山県ではもともと畑の面積が極めて少なく、ほとんどが大きく広がった平野部の田である。そして生産調整等で田での耕作を中止しても、耕作放棄することは好ましくなく、畑として利用されていると見られる。
 また第6次農業の掛け声とともに野菜の作付が大幅に増やされている面もあろう。
 実態を周知していないが、畑の増加が、今後、各農家が自立していける動きであるのか注視していきたい。


 2018年の耕地の減少率をみると、全国では0.5%とかなり大きく、全ての都道府県で減少となっている。
 東北から北陸にかけての米作地帯で、少なくなっており、富山県は0.19%の減少で、北海道、鳥取県に次いで少ない。


 (統計データ)

(Nov.03,2019)


2015年農業センサス
 他方、農業経営面積については、同じ5年間に、全国で5.0%減、富山で4.5減であり、富山の面積の減少は都道府県の中では少なめである。秋田から福井へと続く日本海沿岸の諸県等で減少率が相対的に小さくなっている。
 ただし、富山での5年間の減少面積は、2392ha(年当たり478ha)と、絶対値としてはかなり大きい。「耕地及び作付面積統計」での耕地面積の近年の減少は、年当たり100ha台であるが、この差は休耕であろうか。
 

2020年農業センサス


(統計データ)

(Dec.02,2020)



 富山県では、兼業農家が極めて多く、今後の農業の在り方を考えるに当たっても、地域なりの対応が求められている。また、こうした農業が形成されたきた歴史的経緯が、農業はもとより富山県の生活全般を基礎付けており、住宅、都市など広範囲の状況にも深く関連している。
 このような稲作兼業農業に特化した地域で、今後の農業をどのように展望すればいいのか。
@優良農地の温存・集約
 まず大切なことは、優良農地の温存であり、このために土地の集約化を図り労働生産性の飛躍的向上を目指す必要がある。しかし、土地の集約については、個々の農地所有者の思惑もあり容易には進まない。そのため、まず、県土利用の全体方針を確認し、それを守っていく体制が整備される必要がある。しかし、行政にしろ、農協を含む農業関係者にしろ、これを主張する主体はない。
 同時に、人口減・高齢化の中で都市をまとめていくことが切実な問題として現れてきており、富山市ではコンパクトシティの提唱さえしている、この意味でも、市街地周辺部の農地の都市的展開を終息させることが求められている。
A経営体
 次いで、新たな農業のあり方の観点からは、その経営体についての検討が必要である。
 富山県の各農業経営体の経営規模は1ha前後が極めて多く、兼業経営に手ごろである。このため経営を放棄することもなく、かつ他者に委ねるでもなく、新たな展開が極めて難い状況となっている。
 全国と比して集落営農が極めて進んでいるが、これも農地所有(兼業)をより容易なものとするための手法であり、本格的な農業経営を永続的に行う仕掛けとして組織されている訳ではないように見られる。この点も農地所有による所得期待が災いしていると考えて間違いないであろう。
 いずれにしても、農地の保全とともに適切な新しい農業経営のイメージを描き、これを共有し、地域の関係者の努力をしかるべき方向に収斂させていくことが急務である。
 やる気と能力のある若い主業農家が主役となる必要があり、その他の農家は、この主役となる農家の活動を妨げないようにする必要がある。
 現在、TPPに関連して、農業保護の在り方が問われているが、こうした根本問題を解決しない限り、主役ではない多くの農家にバラマキが行われるだけで、産業としての農業が育つことは期待できないであろう。

(Apr.28,2015Rev.)


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(Apr.01,2020Rev.)