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我が国の食料自給率の推移 ―一層の低下が懸念される自給率―
(1) 我が国の食料自給率
日本の食糧自給率の低さは周知のとおりである。
戦後、食糧不足をアメリカの余剰農産物の輸入で取り敢えず凌いだ(小麦・大豆等)。次いで、工業製品の輸出拡大とともに農業産品の輸入を受入れていった(牛肉・果実等)。さらに、WTO(GATT)の下で、米のミニマムアクセス(最低量輸入)を受入れ、関税化へと進んだ。現在は、対地域・対国家間の自由貿易協定・経済連携協定に基づく関税率の動向が関心事となっている。
なお、2000ゼロ年代には品目別に自給率が回復する動きもあったが、'10年代の後半には多くの品目で低下気味に推移しており、今後の動向が懸念される。
我が国は、農産品の輸入拡大をなし崩し的に進めてきた。これまで多様な農業政策が取られてきたが、農家を守っても農業を守らないきらいがあり、自立経営できる農業の産業的な展開を抑制してきた面もあり、その担い手さえ喪失している。
平時における自由貿易の要請はあるが、緊急時における輸出義務があるわけでなく、食料自給率の低さは、世界的な食糧危機に面した際は、危険な状況に陥る。特に、今後の地球温暖化による異常気象の下での混乱の中で、我が国は厳しい状況となるのではなかろうか。
(統計データ)
(2) 都道府県の食料自給率
カロリーベースでの富山県の食料自給率は76%で、都道府県の中でも9番目に高い。
相対的に農業の比重の低い富山県だが、稲作を主体としており、米のカロリーが高い結果である。
富山県の米の生産は長期的には漸減傾向だが、人口減によって、自給率は漸増気味に推移している。
一方、農業生産額ベースでの富山県の自給率は63%で、都道府県の中では28番目に留まっている。
これは、米以外の相対的に価格の高い作物等の生産を殆ど行っていないためである。
ちなみに、農業生産額ベースでの富山県の自給率は、横這いで推移している。
(統計データ)
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(Apr.03,2023Rev.)
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