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第2章 富山の舞台
第4節 国際社会の中で

第2項 我が国の貿易の変化
─'20年代半ばは円安で急増─

(1) 総額
(2) 国別

 富山で通関する貿易は把握できるが、富山県の産業に関連する貿易の動向を直接把握できる統計はないようだ。しかし、富山県の産業も当然ながら貿易の動向、国際環境に影響を受けて変化している。このため、わが国全体の内容ではあるが貿易の動向を理解しておく必要がある。

 貿易動向全般については、近年、リーマンショック、コロナ禍による減少、そして'20年代半ばの円安による増加といった変化があった。


(1) 総額
 我が国の貿易額は、2000年代に入って急速に拡大し、2008年には輸出入それぞれ80兆円にまで達した。しかし、2008年9月に発生したリーマン・ショックにより、2009年の貿易額は急減した。
 その後、輸入については、一旦2008年を上回るまでに回復したが、2014年をピークに円高の中で再び減少している。
 続いて、'20年代の初めには、コロナ禍による景気低迷の中での減少が起こった。
 さらに、'20年代の半ばには、円安の影響で、貿易額は大きく増加している。

 このように、貿易額の変化は、景気動向とともに、為替レートにも留意しておく必要がある。


 貿易額のGDP比の推移では、これまで、長期間にわたり10%前後で推移していたものが、2000年代に入って急速に上昇し、一旦は15%を超えることになった。この率もリーマンショックで一旦落ち込んだが、その後、15%超までに回復している。
 さらに、'20年代半ばの円安で、貿易額のGDP比は、輸出入ともに20%を超えるようになっている。

 こうした貿易の拡大は、国内の産業構造に大きな変化をもたらしている。


 為替レートは、バブル経済崩壊以降かなりの変動はあるが、概ね110円台前後で推移してきていた。しかし、'20年代半ば、2024年後半には150円台となっており、今後の動向を注視していく必要がある。


 なお、貿易額のGDP比について、韓国では、'10年代の初めに50%を超えるまでに上がったが、現在は幾分低下している。
 また、中国では'00年代後半に30%前後にまで上がったが、現在は20%前後となっている。これはかつての専ら貿易に依存した経済成長から、それなれに内需で回転する経済に移行しているということであろう。

 我が国については、韓国・中国の動向に比べて、グローバル経済の動向が一層強く影響する方向にに移行している。



(2) 国別
 輸出額の動きを国別にみると、まず、'00年代に中国への輸出が急速に伸びている。ちなみに香港経由の輸出も多いことに留意が必要である。
 アメリカへの輸出は、2006,2007年に17兆円近くまでに拡大したが、2008年から大きく落ち込み、その後ある程度の回復を見せている。
 さらに、'20年代の半ばには、円安の影響で、中国、アメリカ両国への輸出は急拡大している。


 その他の各国への輸出については、概ね、リーマンショックの影響により、2008年に既に減少に転じ、2009年に大きく落ち込んだ。その後'20年代半ばの円安で、一斉に大幅の増加を見せたいる。


 輸入に関しては、中国からの急増が目立っている。アメリカからの輸入は概ね横ばいで推移しており、2002年以降は中国を下回っている。
 さらに'20年代半ばには円安で、大幅の増加となっている。


 輸入についても韓国、台湾とともにインドネシア、タイ、マレーシアなどからの拡大が著しい。しかし、いずれの国についても、2015年から大きな落ち込みを見せている。
 また原油を主とするサウジアラビア、アラブ首長国連邦からの輸入は変動が激しい。
 '10年代半ば以降は円高により再び減少し、さらに'20年代半ばには円安による大幅の増加が見られる。

 ⇒対中国貿易の推移(全国)

(統計データ)

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(Nov.21,2024Rev.)