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第2章 富山の舞台
第4節 国際社会の中で

第2項 我が国の貿易の変化
─'10年代後半は横ばい─

(1) 総額
(2) 国別

 富山県の産業に関連する貿易の動向を直接把握できる統計はないようだ。富山で通関する貿易は把握できるが、これで富山県の産業に関連した貿易を理解できる訳ではないだろう。
 しかし、富山県の産業も当然ながら貿易の動向、国際環境に影響を受けて変化している。このため、わが国全体の内容ではあるが貿易の動向を理解しておく必要がある。
 (本ページは、2020年3月に書き直しており、今後コロナウィルス感染による影響が大きく出てくると予想される。)


(1) 総額
 我が国の貿易額は、2000年代に入って急速に拡大し、2008年には輸出入それぞれ80兆円にまで達した。しかし、2008年9月に発生したリーマン・ショックにより、2009年の貿易額は急減した。
 その後、輸入については、一旦2008年を上回るまでに回復したが、2014年をピークに再び減少している。また、輸出については、回復が過去のピークの水準に戻っていない。総じて'10年代後半は横ばいで推移しているといえよう。


 貿易額のGDP比の推移では、これまで、長期間にわたり10%前後で推移していたものが、2000年代に入って急速に上昇し、一旦は15%を超えることになった。この率もリーマンショックで一旦落ち込んだが、その後、15%超までに回復している。
 こうした貿易の拡大は、国内の産業構造に大きな変化をもたらしている。


 ここでは、言及しないが、貿易額の変化についは、為替レートの変動による影響も大きい。


 なお、貿易額のGDP比について、韓国では、'10年代の初めに50%を超えるまでに上がったが、現在は幾分低下している。
 また、中国では'00年代後半に30%前後にまで上がったが、現在は20%前後となっている。これはかつての専ら貿易に依存した経済成長から、それなれに内需で回転する経済に移行しているということであろう。


 まず、21世紀の我が国の貿易の動向を概観すると、概ね'00年代は速い拡大を見せていたが、リーマンショックによる大きな落ち込みの後、'10年代前半に若干回復し、'10年代後半は横ばいが続いていると言えよう。



(2) 国別
 輸出額の動きを国別にみると、まず、'00年代に中国への輸出が急速に伸びている。ちなみに香港経由の輸出も多いことに留意が必要である。
 アメリカへの輸出は、2006,2007年に17兆円近くまでに拡大したが、2008年から大きく落ち込み、その後ある程度の回復を見せている。


 中国とともに、'00年代には、韓国・台湾への輸出も拡大しており、我が国での景気の緩やかな拡大をもたらした。しかし、リーマンショックの影響により、2008年に既に減少に転じ、2009年に大きく落ち込んでおり、その後2010年には反転したが、その後横這い気味で推移している。
 東アジア各国との輸出に次いで、タイ、シンガポール、マレーシアなどASEAN諸国への輸出は、着実に増加している。


 輸入に関しては、中国からの急増が目立っている。アメリカからの輸入は概ね横ばいで推移しており、2002年以降は中国を下回っている。

 輸入についても韓国、台湾とともにインドネシア、タイ、マレーシアなどからの拡大が著しい。しかし、いずれの国についても、2015年から大きな落ち込みを見せている。
 また原油を主とするサウジアラビア、アラブ首長国連邦からの輸入は変動が激しい。

 ⇒対中国貿易の推移(全国)

(統計データ)

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(Mar.29,2020Rev.)