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第3章 モノづくり指向の産業
第4節 就業環境
第2項 就業機会
1.産業構造・職業構造 ―多いモノづくり従事者―
富山県の就業者については、産業では製造業、職業では生産工程従事者が相対的に多い。
(1) 産業構造
各業種の男女別構成比について見ると、規模が大きい業種の中で男性が特に多いのは、建設業、製造業である。
これに対して、女性が太宗を占めているのは医療・福祉である。
富山県の就業者の産業大分類別構成比を全国の構成比と比較した場合、製造業及び建設業が大きく上回っている。これに対して、飲食店・宿泊を始めとする多くのサービス業で全国を下回っている。ただし、医療・福祉は全国とほぼ同じである。
(Apr.30,2012)
2020年国勢調査で、富山県の就業者総数中の二次産業就業者数の構成比は、33.3%であり、都道府県の中で最大であった。
二次産業就業者数の構成比の大きい県は、富山に次いで滋賀、静岡、岐阜、愛知などが並び、30%以上の9県はいずれも中部(滋賀を含む)と北関東の県である。
全国各都道府県の就業者の産業構成は、地理的な位置で大きく規定されている。
具体的には、大都市圏のサービス業等の卓越した都府県、大都市圏周辺の製造業の卓越した県、その他の農業が比較的多い県、及びこれらの中間に位置する地方中枢都市の所在県の概ね4つのグループに分けるることができよう。
このような産業構造は地理的位置のみによって自ずと形成されてきている訳ではなく、富山県については、発電や築港、企業誘致といった明治期以降の先人の努力に負うところが大きい。また、戦後では、新産業都市やテクノポリスなどの事業の展開が貢献しているといえよう。さらに、これまで公共事業によって支えられてきた建設業の大きさも寄与している。
一次、二次、三次の産業分類は産業の特性によって区分したものであるが、産業立地の地域特性によって構成した産業分類により都道府県を位置づけると、各地域の性格が一層明確になる。
⇒就業構造による地域分析(多変量分析)
なお、富山県で二次産業の比率が大きいのは、製造業及び建設業双方の比率が大きいからである。
製造業の構成比の大きいのは、東海・北陸及び北関東の一帯である。
また建設業の構成比の大きいのは、東北地方の各県と日本海沿岸の一部の県である。
富山はこの双方の範囲の重なった位置にあり、結果として、第二次産業の構成比が全国で最も大きくなっている。
ちなみにこのような位置付けは、日本の中央地域及び日本海沿岸地域といった二つの豊かさの交差点の視点とも重なっているといえよう。
就業者の産業構成については、年齢別の変化はあまりないが、高齢者では農林漁業従事者の構成の増加が見られる。
⇒経済センサスによる詳述
(2) 職業構造
性別での職業構成については、建設・採掘従事者、輸送・機会運転従事者の殆どが男であり、生産工程従事者については、2/3程度が男である。また、管理的職業従事者も殆どが男となっている。
男と比較して、女が特に多いのは、サービス職業従事者であり、事務従事者も多い。
有業者の職業を大分類でみると、富山県では、製造工程従事者が最大で20%を占め、次いで、事務従事者が18%であり、以下専門的・技術的職業従事者、販売従事者、サービス職業従事者が並んでいる。
これに対して、全国では、事務従事者21%が最大で、以下専門的・技術的職業従事者、生産工程従事者が並んでいる。
職業大分類で、富山県の職業構成の全国に対する特化度をみると、生産工程従事者の多いのが目立つ。
職業中分類(2012年統計)での特化度をみると、製造工程従事者では、金属、検査が特に高いが、非鉄金属も比重が大きい。また、専門的・技術的職業従事者の保健医療も特化度が1を超えている。
都道府県の有業者の構成を仮に右図のように@シンボリックアナリスト、Aインパーソナルワーカー、Bマニュアルワーカーに分けて見ると、インパーソナルワーカの構成比については、地域による差が管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者を含むシンボリックアナリストは大都市圏で圧倒的に多く、マニュアルワーカーはその他の地域で多くなっている。。
統計は有業者の常住地ベースで集計されていることに留意が必要である。
年齢別の職業構成には、各年齢層で大きな差はないが、20歳未満では当然ではあるが、専門的・技術的職業従事者、事務従事者は極めて少ない。
また、管理的職業従事者は年齢とともに漸増している。
農林漁業従事者は、60歳以上で拡大している。
(3) 産業と職業の繋がり
産業大分類別の職業構成では、自ずと特徴がはっきりしており、生産工程従事者が多いのは製造業、販売従事者が多いのは卸小売業、専門的・技術的従事者が多いのは医療福祉及び教育学習支援、サービス職業従事者が多いのは宿泊飲食、生活関連及び医療福祉であり、事務従事者はほぼ全業種に一定程度いる。
富山県には工場をはじめとしてマニュアルワーカーが多いが、どのような職場にあっても、専門的技術的能力を高めていく必要がある。
(統計データ)
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(May.31,2022Rev.)
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