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第3章 モノづくり指向の産業
第4節 就業環境
第3項 雇用条件

1.雇用の動向
─相対的に低い失業率─

(1) 失業
(2) 労働時間
(3)転職
 富山県の失業率は、都道府県の中では、景気変動の過程を通して相対的に低い位置にある。


(1) 失業
 バブル経済崩壊後の低迷の中でも富山県の失業率は相対的に低めで推移してきた。
 リーマンショックからの回復過程でも富山県の失業率は'09年の4.0%、以降は次第に低下し、2019年半には1.5%までに低下していた。


 しかし、2020年始めからのコロナ禍により、2020年末には2.0%台に上昇している。


 2020年通年の失業率は、富山で1.9%、全国で2.8%であった。中部地方の失業率は概ね2%以下で低い。



 人手不足の指標として、有効求人倍率を見ると、'10年代に入り各都道府県で一斉に増加しており、富山県は2018年平均でほぼ2倍となっていた。


 しかし、2019年半ばから漸減し、2020年に入ってコロナ禍により大きく低下した。ただし2020年半ばには横這いとなり、2021年1月には若干の上昇に転じている。

 地域的には大都市圏等で失業率の傾向と異なる地域もある。


 ちなみに、都道府県の有効求人倍率と失業率の相関はほとんどない。負の相関が予想されるところであるが、流動的と考えられる大都市圏で有効求人倍率と失業率の双方が高い都府県が見られる。これに対して北陸等では有効求人倍率が高く、失業率が低くなっている。
 相関が現れない背景として、@失業率が低下の下限近くになっていること、A求人・求職のミスマッチがあること、B失業率が常住地ベースの統計であるのに対して、有効求人倍率が就業地ベースの統計であることなどが考えられよう。


 年齢別の失業率について、富山県は概ね各年齢で低い位置にある。ただし、10歳代後半については、10%を超え高くなっている。また、高齢者も相対的に高いが、これは働く意欲とも関連しているのであろう。

 ⇒高卒者の就業状況


 北陸3県の年齢別失業率を性別に見ると、いずれも全国よりは低いが、女より男が高くなっている。また、男では60歳代で働く意欲と職場とのギャップから一つの山ができている。


 全体としての失業率は低いとしても、若者さらには高齢者の就業が課題である。
 ⇒高齢者の継続雇用

(統計データ)


(2) 労働時間
 各都道府県が行っている毎月勤労統計地方調査によれば、2018年の富山県の総労働時間は1784時間/年であり、都道府県の中では12番目の比較的大きい位置にある。


 総労働時間は正規雇用者で大きく、都道府県毎の総労働時間はそれぞれの正規雇用者の比率と強い相関を持っている。


 総労働時間の近年の変化については、全国では5年前の2013年から減少していたが、富山県ではこの間概ね横這いが続いており2018年になって減少に転じた。働き方改革の効果というより、時間外労働規制が始まっことにより減少が避けられなかったためと考えられる。


 (統計データ)


(3) 転職
 少ない転職―安定した職業生活―
 過去一年間に転職したことがある就業者の割合は、全国の5.0%に対して、富山県では4.3%であった。これは都道府県の中で9番目に低い位置にある。相対的に安定した職業生活を送っていると言えよう。


 転職率には男女差があり、全国では男女それぞれ4.1%と6.2%であったのに対して、富山県ではそれぞれ3.6%と5.1%であった。都道府県の中では女の転職率の散らばりの大きいことが目立つ。

 なお転職率が急に上がった時期は、'80sのバブル経済期と'90s末からのバブル経済崩壊後の雇用の混乱期に見られる。この2つの時期は、前者はより良い職を求めての主体的転職、後者は解雇等の受動的な転職が多いと考えられ性格が異なるのではなかろうか。


(統計データ)

(Mar.03,2021)


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