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第3章 モノづくり指向の産業
第4節 就業環境
第3項 雇用条件

2.雇用形態
―高い正社員比率―

(1) 高い正社員比率
(2) 高い正社員比率の要因
(3) 非正社員化の推移

 富山県では、雇用者の正社員比率が他県に比して高い。また、1990年代後半から続いていた雇用者の非正規化(非正社員化)は2010年代に入って一段落し高止まりとなっている。

 就業者のうちの雇用者について、常用雇用の正規社員(正社員)、常用雇用の非正規社員(非正社員)及び臨時雇用(臨雇)に分けて把握する統計には就業構造基本調査(2007・2012・2017,個人)、経済センサス基礎調査(2009・2014,事業所)、経済センサス活動調査(2012・2016,公務を除く事業所)、国勢調査(2010・2015,個人)があるが、就業者の捉え方に差異があることに留意が必要である。


(1) 高い正社員比率
 2016年経済センサス活動調査によれば、富山の事業所の雇用者中の正規社員の比率(以下「正社員比率」)は65.6%で、全国の59.5%に比して、6.1%ポイント程度高く、都道府県の中で最も高い位置にある。

 ⇒国勢調査での非正規雇用比率


 正社員比率を性別に分けて見ると、男では78.6%で、都道府県の中では78.9%の福島県に次いで高い。都道府県間の格差は、10%ポイント程度に留まっている。
 女では50.4%で、52.1%の山形県に次いで高い。都道府県全体の格差は18%ポイントと大きい。


 富山県の雇用者の離職率が低いのは、正規雇用比率の高いのと関連しているとも思えるが、各都道府県の値については相関が見られない。
 ⇒低い離職率



(2) 高い正社員比率の要因
〇女性の継続就労
 正社員比率を年齢別に見ると、男は、20歳代から50歳代で安定して高く、都道府県の中でも最も高くなっている。
 しかし、60歳代以上の高年層では、大きく落ち込み全国平均以下となっている。これは定年退職後の再就職意欲が高いことにによるものであろう。


 女の正社員比率は、20歳代で最も高く、その後落ち込むが、富山県の落ち込みは都道府県の中でも最も小幅である。60歳代以降に都道府県の中でも特に低い位置に逆転するのは就労意欲が高いためであろう。


 女性の正社員比率の30歳台での低下が小幅なのは、子育て期の労働力率の低下が少なく働き続ける者がより多いためであろう。


〇産業構造
 正社員比率の高い業種の雇用者が多いことも富山県の正社員比率を高くしている。

 製造業、建設業、医療・福祉等の就業者の多い業種で特に高くなっているのが目立つ。




〇堅実な中堅企業

A〜R全産(S公務を除く)、A〜B農林漁、C鉱等、D建設、E製造、F電気・ガス・水道等、G1情報通信(通信等)、G2情報通信(情報サービス等)、H運輸,郵便、I1卸売、I2小売、J金融,保険、K1不動産、K2物品賃貸、L学術研究,専門・技術サービス、M1宿泊、M2飲食店等、N生活関連サービス,娯楽、O1教育・学習支援(学校教育)、O2教育・学習支援(その他)、P医療,福祉、Q1複合サービス事(郵便局)、Q2複合サービス事(協同組合)、R1サービス(政治・経済・文化団体,宗教)、R2サービス(その他)
 さらに全国と富山県の正社員比率を業種別性別に比較しても、富山県では女のみでなく男でも正社員比率の高い業種が多い。特に雇用者全体が多い、製造業、卸・小売などで比率が高くなっており、全体の比率を高くしている。


 男女全体であるが、製造業での正社員比率の高いことなども目立っている。


 業種別性別に細分したも正社員比率の高いものが目立つのは、基本的には、地場で育った、しっかりとした企業が多数あることが大きな要因ではなかろうか。小規模企業では不安定で非正規雇用が多くならざるを得ないであろうし、大規模企業では非正規雇用を躊躇なく行う面があろう。
 これに対し、地場で生きる中堅企業の経営者は、非正規雇用を都合よく活用するような行動は、避けるのではなかろうか。
 ただし、国全体では、中規模事業所の非正規雇用の比率が低いという傾向はない。




(3) 非正社員化の推移
 「就業構造基本調査」で非正規雇用比率の推移を性別に見ると、最近は概ね横ばいで推移している。これは、しっかりと働く人を確保するため若者の正規雇用を増やし、高齢者の非正規雇用を増やすようになってきているということらしい。



(統計データ)

 地場で生まれ育った企業によって地域の雇用がしっかりと支えられていくことが期待される。


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(May.08,2019Rev.)