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第3章 モノづくり指向の産業
第1節 主要業種概観
第1項 産業の構成
1.付加価値から見た産業構造 ―モノ造りに特化した産業―
富山県の産業は、製造業、建設業の構成が大きく、モノ造りに特化している。
我が国の経済関連統計(企業調査統計)の体系化のために「経済センサス」が開始された(基礎調査;2009・2014・2019.2020・2022・2023年、活動調査;2012・2016・2021年)。
従来の統計との接続に不安があるが、全産業を通して統一的に把握できることで、今後、統計が蓄積されて有意義に活用されていくことが期待される。
例えば、産業別の付加価値額統計については、従来、国民経済計算統計で推計されていたが、都道府県統計ではかなり曖昧な推計であった。これも、より確実な統計が利用できるようになろう。
ただし、政府関連及び農林水産業での個人経営などが含まれていないことに留意する必要がある。
(1) 業種別付加価値額
産業大分類別付加価値額の構成をみると、富山県では、製造業が最も大きく31%を占め、さらに卸・小売業が17%、医療・福祉業11%、建設業が10%などとなっている。
これに対して、全国では、医療・福祉業が最大で22%、次いで卸・小売業、製造業がそれぞれ21%でほぼ同じとなっている。
なお近年、医療・福祉業が急拡大している。
(2) モノ造り型構成
都道府県毎の産業別付加価値額を産業3分類の構成で図示すると、第一次産業の構成比がいずれの地域でも極めて低く、第二次と第三次で引き延ばされた分布となってしまう。
経済センサスの産業大分類を物的生産型、対事業所サービス型(都市型)、対生活サービス型に仮に分類すると地域毎の特性が見えてくる。
語弊がある言い方だが、この分類によって、都道府県をそれぞれの産業構成からみて大都市地域、工業地域とその他地域(過疎地域)に分けて捉えることができる。
付加価値額の産業別構成比について富山の特化度を見ると、モノ作り産業である製造業、建設業で高くなっている。他に、電気・ガス・熱供給・水道業が特に高いが、これは北陸電力の本社があるためといえよう。これらに対して、富山で特化度が低いのは、都市型産業である。
(3) 就業者当たり付加価値額
産業全体で就業者当たりの付加価値額をみると、富山は、445万円/人で、都道府県の中では26番目と中程の位置にある。
全国では、大都市圏、太平洋ベルト地帯で高く、その他で低いパターンがはっきりしている。特に、東京は、1,233万円/人と極端に高い。
ちなみに、近年第3次産業の付加価値が伸びており、第2次産業に特化している富山県の相対的地位はかなり低下している。
どの地域にあっても、基礎として対生活サービス型産業があり、互いに生活を支えると同時に所得を循環させる必要があるが、他地域との交流で所得を得るには、対事業所サービス型(都市型)あるいは、物的生産型が欠かせない。
富山については、都市型が困難であればやはり物的生産(モノづくり産業)が必要ということになるといえよう。
もちろん、それぞれの事業経営者が、それぞれの分野で努力することを否定するものではない。
2002年3月日本標準産業分類が改訂され、大分類が19項目に増えている。
具体的には、従来の「サービス業」の拡大に対応して、分類を「飲食店・宿泊業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉、教育・学習支援業、複合サービス業、サービス業(他に分類されないもの)」に分割したものである。このうち、「その他サービス業(他に分類されないサービス業)」には、事業所支援各種サービス、文化・宗教・政治など多様なものが含まれる。また、人材派遣業は「民営職業紹介業」として「その他サービス業」に、「請負等」については業務の実態に合わせて分類されることとなるが、実態は極めて曖昧であろう。
なお、飲食店はこれまで「卸・小売業、飲食業」となっていたものから「卸・小売業」と分割され、「飲食・宿泊業」となっている。
またこれまでの「運輸通信業」は「情報通信業」、「運輸業」に分割されている。
ちなみに、これ以外では、「製造業、卸・小売業」が大きな項目であるが、これらはそれぞれ「工業統計表」、「商業統計表」があり、産業中分類、さらには小分類で統計が整理されている。ただし、商業統計表は経済センサスに吸収されている。
なお公務は従来どおり、「公務(他に分類されないもの)」である。
また、県民所得統計については、運輸通信業以外は従来の分類を改めていない。
(統計データ)
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(Nov.13,2024Rev.)
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