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第3章 モノづくり指向の産業
第1節 主要業種概観
第4項 第3次産業

6.その他のサービス業
―求められる企業経営的視点―

(1) 教育学習
(2) 医療
(3) 福祉
 教育・医療・福祉等の業種は、通常は産業として捉えられなくても、雇用の場等として重要な意味を持っており、健全な経営が求められる。


(1) 教育学習
 教育については、その多くが公的機関によって担われており産業としては意識されない。
 現在、学齢期人口は急速に減少しており、今後この事業活動の規模は縮小せざるを得ない。
 大学等については、インターネットによる授業のオープン化や生涯学習の支援などの事業をどの程度展開できるかが、その消長を決めていくであろう。
 ちなみに、団塊第二世代の出産期通過により、団塊第三世代の出生のピークは概ね'97〜'99年にあるはずであった。しかし、富山県での年々の出生数は、1990年代の初めまでの低下の後、10年以上にわたりほぼ1万人水準の横這いで推移し、次いで2003年には1万人を割り始めた。今後、出生数は、急激に減少していくことは間違いない。つまり、団塊第三世代は幻に終わったことが確定したと言えよう。現在、この出生数横這いの世代は、大学の年代と重なっている。




(2) 医療
 医療福祉に関する事業は、その多くが社会保険によって支えられていため、産業として捉えられないことが多い。しかし、多くの人を雇い、所得を生み出しており、地域にとって大切な産業であることは間違いない。
 さらに、高齢化の中で一層その重要性が増してきている。
 しかし、社会保険の限界から、拡大を抑制しようとする政策が矢継ぎ早に展開されており、その制度的枠組みによって、事業活動も様々な影響を受けている。
 人口当たり国民医療費の推移をみると、21世紀に入って、その伸びが緩やかになっているが、これは、その一部を介護保険制度に移行させたためである。


 医療では、大規模な病院、中小規模の診療所、歯科に加えて、数多くの零細な療術所がある。


 人口当たり療術所事業所数は、富山県は極めて多い。



(3) 福祉
 高齢者に対する20世紀中の社会福祉政策は、措置として展開されていたが、2000年度に制度が導入され、介護保険として展開さるようになった。
 施設の定員数については、制度の変更に伴って激しく変動している。
 また、現時点では、経費抑制のため、施設介護から在宅介護へと移行するよう様々な手段が講じられている。ちなみに富山県では他地域に比して、施設介護の比率がかなり高い。
 

 今後、雇用が拡大していく場であるが、産業として健全に発展していくためには、長期的展望を持った関連制度の確立が求められる。この制度の多くは全国共通ではあるが、地域なりにあり方を検討工夫していく必要がある。

(統計データ)


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(Apr.12,2020Rev.)