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医薬品生産の推移
―ジェネリックの展開―

 富山県の医薬品生産はジェネリック医薬品生産によって急速に拡大してきた。しかし、規模拡大に伴う生産組織の改革が適切にできず、承認された生産工程を遵守しない不祥事が、日医工、広貫堂等々幾つもの企業で発覚している。この結果、国内での医薬品供給の不足さえもたらしている。
 これまで、富山県の製造業のメリットは、地場で生まれ育った企業経営者が互いに切磋琢磨し、見識ある事業活動を展開し成果を収めてきたことにあると考えられた。しかし、こうした風土は崩壊してきたのであろうか。

 2021年の富山県の医薬品生産額は、6,204億円であり、全国の6.8%を占めており、都道府県の中では5番目の大きさとなっている。
 なお、企業の生産額の計上都道府県は製造工場か本社か、また原薬バルク受委託の扱いなど煩雑な面があり、2019年統計は集計方法が変更されている。

 我が国でのジェネリック医薬品の利用率は概ね2000ゼロ年代後半から次第に増加してきた。これに伴って、富山県の医薬品生産額は急速に増加してきた。この結果、2015年には都道府県の中で最も大きくなっていた。

 ⇒医薬品関連産業クラスター(第5節第1項)


 県内での医薬品生産額は、個々の県内企業の活動の結果であり、それぞれが着実な努力を続けていくほかないであろう。大手企業の立地を否定する必要は決してないが、富山県では、医薬品生産とそれを支える各種業種の多様な地場企業の集積があり、これら企業が連携・切磋琢磨しつつ着実な事業展開を探っていくことが重要ではなかろうか。

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(Dec.24,2022Rev.)