草叢百菜園
(1) 草叢百菜園の紹介 河川敷農園=神通川千原崎園(国道8号中島大橋・国道149号萩浦橋間の神通川右岸河川敷)で10m四方の農園2区画(計200m2)を借り受け野菜作りを続けています。私が借りている区画はNo.25,27ですので、関心があれば訪ねてください。 ちなみに、区画はまだ余っていますので、関心のある方は、耕作している人に声を掛けてください。なお、1区画年間2000円の借受経費がかかります。 なるべく自然状態に近い育て方を目指しています。 肥料として化学肥料などは使わず、米糠・籾殻・枯葉を近所から無料で調達し、貝殻石灰・籾殻燻炭・鶏糞・油粕を若干購入しています。畝の周辺にはイネ科等の草を栽培し、草マルチとして活用しています。また、農薬は使わず防虫剤、活性剤として酢や焼酎なども使っています。ただし多様な食害を防ぐことは容易ではありません。 各畝は、120cm×450cmで南北方向に長いものとしており、全体で24畝あります。いわゆるコンパニオンプランツの取込み、後作を工夫することなどによって、なるべく各畝を作付毎に崩したりしないことにしています。そして、各畝が、それぞれの作物に相応しい土壌として次第に成熟し、作付が容易になっていくことを期待しています。現在、畝上の雑草(カバープランツ)もヒメオドリコソウやハコベが育つようになってきており、各種の野菜の栽培が安定してきているようです。 栽培手順が見えてくると支柱等資材の使い回しも容易になります。 野菜は、なるべく色々なものを育ててみたいと思っています。 夫婦2人の世帯で食べる野菜はわずかで、キュウリなど一度に沢山採れても処理しきれなくなります。もちろん人に分けてあげることもできますが限度がありますし、虫食いが多く控えてしまいます。ただし、そのまま保存できるタマネギ、ジャガイモ、サトイモなど、収穫期間を長くできるダイコン、ネギなど、さらに冷蔵貯蔵ができるマメ類などはある程度まとめて作ることができます。 ヤーコンや空心菜など近年普及し始めた野菜も取り入れています。さらにトマト、ピーマン等の新しい園芸種や多様な葉菜類を取り入れると、年間総数100品種近くになります。このため畑を「草叢百菜園」と呼んでいます。ちなみに自宅の庭を同様の趣旨で「花果百樹園」と呼んでいます。 以下の内容は、私自身の若干の経験と多様な指南書の知識から考えた私なりの作付計画・記録です。私自身の備忘録としてHTMLで整理しているものです。内容は実際に検証済みといったものではなく、これでうまくできるという保証は、全くありません。特に、積雪地帯の指南書は書店には出ておらず、富山なりの経験を積んでいく必要があると思っています。 (草叢百菜園の経過) 本メモはかなり取り繕ったものとなっていますが、実態は試行錯誤の連続です。 農園は10年前2013年に1区画(1a)から始めています。最初は、いわゆる慣行農業で、化学肥料、農薬を使っていました。その後、野菜の生態などを知り、次第にいわゆる有機農業に切り替えてきました。しかし、土壌はなかなか育たず、栽培方法も未熟です。 2023年末の実情を白状しますと、果菜は何とか育っていますが、葉菜はようやく育つようになってきました。芋類以外の根菜はまだうまく育ちません。有機農業では、どうしても野菜の育ちが遅くなり、収量も限られがちとなるようです。 なお、10年近く耕作を続けてみて、どうしても苗の初期の育成が遅れ収穫が少なくなる傾向があるため、一部の野菜については、定植時に若干の化成肥料を施すようになりました。また。トウモロコシのアワノメイガの被害を避けることができないので、スミチオンの散布を若干しています。 以上のように、2023年まで定義の曖昧な有機栽培をやってきました。 不耕起栽培 しかし、このような有機栽培では、土壌の変化(団粒化、深化)には限界があります。これまで、輪作の中でのイモ類の栽培は、3,4年に1度、土壌を転換するので好都合と思っていました。しかし、これでミミズ等の土壌生物がリセットされてしまいます。 このため、2024年から、土壌の転換を伴わない、茄子類、瓜類、葉菜類を1つの輪作グループとして畑の北半分(1a/合計12畝)にまとめて、不耕起栽培を徹底してみることにしました。 残りの南半分(1a)は、その都度土を転換するイモ類(ジャガイモ、里芋、長芋)のグループ(合計5畝)、越冬栽培が入る玉葱・苺のグループ(合計4畝)、毎年同じ畝を使う薩摩芋、大根(合計3畝)です。 茄子類は晩秋まで収穫ができるように果実の早期収穫、夏季の養生などに配慮します。瓜類は後作として結球野菜などを用います。 (2)2024年耕作計画作物図解 不耕起栽培を取り入れた2024年の配置↓ |
不耕起栽培の要点 不耕起栽培では、春先にライ麦を播いて、草マルチ等に活用していくことがポイントとなります。 また、この時点で、茄子類、瓜類の作付け場所は、前作の脇とし、コンパニオンプラントとなる九条葱を添えた鞍築を準備します。 苗植付け、播種の際はその部分の除草を丁寧にします。特に播種の際は、種が土壌に密着するよう、表層の土を篩にかけるようにします。 これ以外の除草は、作物に比べて伸びすぎた草を刈り、草マルチとするだけです。 また、畝を作物、マルチのない裸状態にすることは極力避けます。 コンパニオンプランツにインゲン、クリムソンクローバー等を使い、窒素の確保に努めます。これは、草マルチによる炭素過多への対策になります。 その他、病虫害の予防のため、作物毎のコンパニオンプランツを活用します。各果菜のマリーゴールド、茄子のナスタチウム・韮、瓜類の廿日大根などです。 初秋のアブラナ科の結球野菜では、ハムシやモンシロチョウの青虫等の排除が必要ですが、寒冷紗を用いるとともに捕獲に努めます。 収穫後は、次作の準備の時点で、根を残して前作の残渣を取り除きます。 以上のような工夫で、フトミミズが増え、耕土が深くなっていくことを期待しています。 (3) 2024年耕作計画作物名 表は2024年の配置です。 各畝は、南側から1,2,3,4列、西側から1,2,3,4,5,6行とコードを付けており、特定の畝を列行コードで表しています。 園芸品種名で分かり難い物もあるかと思います。 各畝について、必要に応じ春作と秋作に分けて表示しました。越年作物は、主たる育成期間が当年にある畝に掲げました。 主作物、従作物、併行作物の分類は適宜行いました。 併行作物はいわゆるコンパニオンプラントで食べない花も含んでいます。花は畑の景色に彩りを添えてくれます。
葉菜;コマツナ、キョウナ、カラシナ、チンゲンサイ、タアサイ、シュンギク、ホウレンソウ、フダンソウ (4)輪作一覧連作障害を避けるため、年々各畝の作物を切替えていくのが輪作です。しかし、一つの畝に年間を通して多様な作物を重ねて植える有機栽培であれば、一般に連作障害の心配はないようです。 むしろ作物の植え替えのタイミングや作土の管理の面から、結果として輪作を展開することとなります。 固定 同じ畝での連作が好ましい作物。
Q⇒R⇒Q 2年輪作 越冬する作物で、植え替えのタイミングが合致する作物。
U⇒O⇒V⇒P⇒U 3年輪作(12年輪作) 瓜類・茄子類・葉菜類で輪作。 茄子類の連作回避。
I⇒L⇒S⇒M⇒B⇒G⇒J⇒C⇒T⇒N⇒F⇒H⇒I 晩秋にGピーマンの間にJ豌豆を播種。 5年輪作
D⇒K⇒X⇒E⇒W⇒D (5) 各作物栽培概要 ⇒各作物栽培概要及び各畝別概要 年間作業スケジュールは、Excelファイルで見ることができます。 ⇒※ 各作物毎の元肥、蒔種・植付・埋込、防虫・防鳥、追肥・土寄、収穫などの時期を示しています。 ちなみに各月6区分(上中下旬,前後半)で年間全体で72区分であり、2月上旬後半を立春とすれば、 各区分はほぼ72候に対応した歳時記となっています。 (6) 草叢百菜園植物一覧 |
(7) 事項詳説 自然状態に近い育て方 「自然状態に近い育て方」といっても、これは印象のいい言葉として使っているだけで、内容はありません。 自分は何をやりたいのか。いろいろと美味しい野菜を作り食べたい、自然の営みをいろいろ見たい、適度な運動をしたいというところです。 産業としての農業は、慣行農業と呼ばれ、単一の作物を化学肥料、農薬を使って効率的に栽培していく方法をいいます。これは、作物の生育が最適になるよう、肥料分や水分さらには気温等の管理を的確に行い、市場に必要な野菜を大量に供給することができ大切な営みです。 これに対して家庭菜園では、化学肥料や農薬を使うことをなるべく避け、自然が本来持つ力を生かして美味しい(味のある)野菜を育てていくことができると言われています。 化学肥料や農薬を忌避するのは、土壌環境を急変させ微生物の作る環境を破壊する恐れがあるためです。このため有機肥料等の利用を主体とする有機栽培やむやみに土壌を掘り返さない不耕起栽培をやろうということになります。具体的には、広葉樹の林床にあるようなフカフカの空隙を持つ団粒構造の土作りを目指し、野菜を育てていきます。このような土壌は環境変化に緩衝力があり、施肥、灌水が自然にできるようになっていきます。 このため、畑を始めた初期として、現在は、腐葉土を一生懸命漉き込んでいます。しかし、いつまでも土壌を掘り起し続けることは、野菜の根がせっかく作ってくれた土壌の空隙を潰し逆効果となるので、次第に、草マルチを活用するとともに米糠等の有機肥料の施肥は、畝の上に軽く撒くように切り替えつつあります。このためには、腐葉土を核にしたボカシなどが好都合と思われます。ちなみに野菜の残滓の根を敢えて掘り返さずそのままにしていると、畝に支柱を建てるとかなり深くまで潜るようになってきます。 また、できる限り野菜栽培・施肥の履歴を記録し、各畝の肥料分の状況を把握している必要があります。しかし、pH(酸性度)以外の計測は容易でなく、野菜の葉の色などを見ながら対応できるよう、試行錯誤していくこととなります。 ちなみに「有機農法」と「自然農法」を敢えて区分すると、後者は有機肥料の投入をしないで、ゆっくり育つのを待つ方法になるようです。ただし、この場合、1年の間に多様な作物を育てるということは難しくなるようです。 肥料 野菜に好ましい土壌ができてくれば、追加的肥料は殆ど不要になります。収穫する野菜以外を畑の外に持ち出さないようにすれば、畝の表面に米糠を若干撒く程度で済むようになると思います。また、豆類の栽培は窒素の、草マルチはカリウムの補給になり、安価な鶏糞を使えばリンを補給することもできます。 未成熟な土壌や果菜等あるいは品種改良された作物の栽培ではある程度の肥料が必要で、ナス、ピーマン、トマト、ウリ、カボチャ、キャベツ等では鞍築が効果的です。ただ、肥料でそれなりの効果がでても土壌破壊の恐れがありますし、味が落ちることなどにも覚悟が必要です。(ここまで感じ取れるようになるには相当な経験が必要でしょうが・・。)
米糠 街角の精米所で入手できます。 大概、「自由にお持ちください」と掲示されています。糠部屋を汚さないようにして持ち出してください。 籾殻 神通川左岸のなの花農協のカントリーエレベターの脇の籾小屋で入手できます。 礼を尽くす必要がありますが、逐一断らないで持ち出してもよいとのことです。 籾殻収納用のビニール袋が市販されており、結束バンド(幅のある輪ゴム)を使うと容易に作業ができます。 枯葉・腐葉土 枯葉は、蓮町の馬場公園で手に入ります。腐葉土に相応しいケヤキが沢山あります。サクラ、イチョウも沢山ありますがこれは避けます。 私は、11月末以降で風が吹いた後の晴れた日に出かけ、籾殻収納用のビニール袋に集め、口を輪ゴムで止めて運んでいます。農園が近いので、三輪自転車で2袋ずつ、時間のある時に気分転換と運動を兼ねて作業をしています。 腐葉土作りは、積框に米糠、若干の貝化石、鶏糞、乾いていれば水を混ぜて積込み、当初は1週間おき程度で切替しています。切替しをしっかりやれば、春には利用できるようになります。ただし、現在は、積框をやめて野積みで枯草で覆う安直な方法を取っています。 食害 効果的な対策はあまりなく、こまめに見て回ることが基本のようです。 自然を模した栽培方法が進むとミミズが増えますが、それを食べるモグラが増え、その穴を伝ってネズミが悪さをするのが難点です。
※一時、畑に猫が住んでいました。 防虫剤・活性剤 ・元気丸 防虫剤 週1回程度散布 原液;焼酎1gにトウガラシ50本、木酢液1gにニンニク4球、酢 使用時に各原液5CCを水1gに調合 ・ストチュウ 苗の移植時などポットを一晩漬けておく 酢、焼酎、木酢各1CCを水1gに調合 草マルチ 草マルチは、イネ科等の草を育て、刈り取って畝の上に置くことによって、畝の乾燥を防ぐとともに、土壌の改良を促すものです。また、根が畝以外の土地を耕してくれる効果もあります。チェルノーゼムやパンパのようになることはありえないのですが、気長に続けることによって次第に安定した土壌ができていくことが期待されます。 草の種類としては、エンバク、オーチャードグラス、イタリアンライグラス、クリムソンクローバ、ソルゴーの種を播いています。 このうち、イタリアンライグラスは宿根草です。暑さに弱く、草がなくなった部分がでても株分けで維持できます。 クローバーも越年し残っています。 基本的には畝と畝の間の作業道の中心に植えるのですが、作業が不都合になるので私は畝の直ぐ外側に植えています。ただし、この場合、作物に影響を与えないよう、根の切り離しに留意する必要があります。 カバープランツ 野菜を育て続けていると畝上に生えてくる雑草(カバープランツ)の植生が変化してきます。当初畑を引き継いだ時はチガヤやスギナが多く生えていました。その後次第にカラスノエンドウなどが増え、現在は、ヒメオドリコソウやハコベが芽生えて、時には畝上で盛り上がるようにもなっています。土壌が栽培に相応しい状態に変わり安定してきているようです。 ただし、畝の外から土を入れたり、枯草で覆ったりすると、スギナやその他の単子葉の草が一斉に伸びることなどもあります。 コンパニオンプラン 自然状態では、いろいろな植物が競い合い、共存し合い生きています。畑でも、互いの生育が良くなる方向で多様な野菜を混生させることによって一層安定した栽培が期待されます。この際の相性のいい植物をコンパニオンプランツといいます。 私もコンパニオンプランツとの混生にいろいろと工夫しています。 例えば、生育を促進するものとして、窒素を取り込むエダマメ、インゲン等のマメ科の植物との混生はその代表例でしょう。また、病原菌の繁殖を抑えてくれるネギ、ニラ等のユリ科の植物も果菜の添植えに使われます。病害虫が忌避する植物としては、シュンギク、レタス等のキク科の植物、ニンジン、パセリ等のセリ科の植物、バジル等のシソ科の植物があります。多様なハーブと呼ばれる植物には、病害虫忌避効果を持つものが沢山あります。この中には必ずしも食物とはしませんが、カモミールやマリーゴールドなど畑に彩を添えてくれるものもあります。 また、イネ科の植物は、害虫の天敵の住処ともなり、バンカープランツとも呼ばれています。
支柱等 組支柱 ・棒型・・・ブロッコリー類、芽キャベツ、ズッキーニー ・柵型・・・茄子、ピーマン類 ・直立型(ネット壁)・・・長芋(アーチ支柱利用)、苦瓜、南瓜 ・櫓型(四方囲み)・・・トウモロコシ、空豆、アスバラガス ・テント型(四角錐)・・・豌豆、トマト、胡瓜、隠元 トンネル・べた掛け ・防虫・防寒ビニール・・・葉菜 ・防虫ネット・・・大根、葉菜、白菜、キャベツ、ブロッコリ ・防虫・防鳥不織布・・・大根、葉菜、空豆、豌豆 ・防乾燥不織布・・・苗床、人参、葉菜 その他ネット ・防鳥ネット・・・トウモロコシ、トマト、苺、甘瓜 ・防風網・・・空豆、豌豆 その他 ・波板(底板)・・・長芋・牛蒡 富山なりの栽培等 12月〜2月の間は殆ど作業ができなくなっています。 特に、土が濡れており耕起は好ましくありません。 越年栽培となるソラマメ、エンドウ、タマネギ、イチゴ、ニンニクは雪害が心配になりますが、意外と耐寒性があります。ただし、苗は小さ過ぎないよう、かつ大き過ぎないよう注意が必要です。 ニンジン、ダイコン、カブ、ハクサイ、各種葉菜(イタリアンパセリ、パセリを含む)は生育が止まった状態で収穫を続けることができます。 ブロッコリー、メキャベツ、カキナ、その他葉菜は、雪解け後にさらに成長したものを収穫することができます。 花果百樹園 植栽後20年以上経ち、かなり様子が変わっています。 特に、栴檀は大きく茂り一時は木陰を作っていましたが、その後伐採し、切り株の腰掛になっています。
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