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はじめに
―夢の転換―

富山の豊かさ
 私は、1970年代の末から富山を考えることを仕事とし始めました。
 当時の認識では、富山は、空間的ゆとりがあり、大きめの家族が互いに支えあって、工場等での働く機会もそれなりに多い豊かな地域でした。これを多少誇張して言えば、都市集中や核家族化、サービス経済化があまり進んでいない、いわば近代化の流れに乗らず、富山なりの豊かさを実現していると捉えることができました。
 そして、社会が大きく変わりつつある中で、むやみに他地域の後は追わず、自らの独自の方向を探れば、我が国の抱える困難を避け、地域なりの豊かな未来があると考えられました。しかし、これは、地域社会として相当の自覚がなければ、不可能な選択肢でした。
 結果としては、次第に人口の都市集中とスプロール化、離婚の増加等を含め家族規模の縮小が進みました。また産業については、バブル経済崩壊以降に急速に第二次産業の比重を落としています。

環境の急変
 インターネットの利用が可能となり、1996年にこのサイトを開設いたしました。
 この時点では、まだ富山を以前からの枠組みで捉えることができました。このサイトの構成、そして多くの記述もこうした発想に基づいたものが残っているかと思います。
 しかし、この約25年間で、我が国、富山を取り巻く環境は大きく変化し、富山自体も一層大きく変化してきました。
 経済のグローバル化の中で日本経済の構造は大きく転換し、また人口の高齢化の下で社会保障の負担が膨大なものとなり、財政事情も一層厳しいものとなってきています。
 地球温暖化等の環境問題が浮上しており、欲望を全開にした先進国は過剰消費に陥っていることが明確になっているのではないでしょうか。
 こうした課題の多くは、いずれも以前から見えていたものですが、対応が遅れ、進路の一層厳しい急旋回が求められています。
 いささか荒々しい市場経済の中で、生きていく必要があるのですが、同時に、新たな地球社会の共生を実現していく必要があります。

夢の転換
 今、こうした環境変化を素直に受け入れ、多少のリスクをおそれず果敢に行動することが求められています。
 そのためには、地域社会に新たな夢が必要と考えられます。
 それは物質主義(マテリアリズム)から脱却したものであるはずです。しかし、活力を削いだ清貧というようなものではありません。経済運営を連続的に転換していくためには、欲望の方向を転換した、活き活きとした夢が必要だと考えられます。
 私なりの願望を述べれば、来るべき時代は、活き活きと楽しく共生する時代(コンビィビィアルな時代)であり、強靭(タフ)に、かつ優しく生きていくことが本旨になると思われます。

富山なりのあり方を探る
 今後は、地域間競争の時代に快活に生き抜いていくことが課題です。
 それは、国際社会での共生とともに地域の人々の共生を前提として、地域なりの生き方を選択していく時代です。
 このような時代に、富山をどう考えていくか。
 予め現時点(2020年)なりの認識を示しますと、現在の社会の課題に対処するため社会を連続的に変化させていくということにはかろうじて言及できるのですが、今後予想される厳しい課題に対処するため社会の大転換を図っていくことまで言及するのはなかなか困難です。しかし、大転換の必要性は日増しに明らかになっており、できる限り触れるよう努力するつもりです。
 地域なりの共通認識を形成しつつ、各自が、多少の危険負担は覚悟して、果敢に挑戦していくことに、少しでも貢献できればと、本サイトを開設し続けています。
 ご意見、ご助言を戴き、また議論を興すことができれば幸いです。


 2020年4月最終改訂(1996年11月初版)    浜松誠二
  


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本サイトの読み方

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内容
把握
概要
把握
章頭掲載事項
問題意識
 
節頭内容要約
課題提起
 
項本文事項説明
 
項枝文事項補足説明
1.まず、関心のある事項について、トピックスを拾い読みすることができます。
2.サイトの全貌として、何が記述されているか知るためには、各章の冒頭のみを拾って読めばよいように整理してあります。ここには問題意識も加えてあります。この場合、各ページ末の「次章」で移動し全て辿ることができます。
3.さらに、内容の要約として、各節の冒頭を用意しています。ここには、課題提起も加えてあります。各ページ末の「次節」で移動し全て辿ることができます。
4.分析的解説を含めた一通りの内容を理解するためには、各項の本文まで読んで下さい。各ページ末の「次頁」で移動し全て辿ることができます。
5. さらに詳しく理解するためには、必要に応じて枝文を拾って呼んでください。本文へは、ページ末の「関連項目に戻る」で戻ることができます。
 ただし、文章中では、枝文以外に他の関係項目にもリンクを貼ってあります。このリンクを辿ると迷子になる可能性がありますが、この場合は、ブラウザー上の「戻る」で戻ってください。表紙等に戻って再度入り込むこともできます。

 なお、本サイトは随時更新しており、ここに述べた整理の方針が歪んでいる部分も多々ありますが、ご容赦願います。

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(Oct.25,2019Rev.)