次頁節目次章目次表紙

第4章 堅実な生活
第4節 学び続ける暮らし
第1項 教え育てる

2.学力
―高い偏差値―

(1) 小中学校での学力
(2) 高校生の英語力
(3) 教員の英語力

 いろいろと議論のある統計だが、富山県の結果は概ね良好な位置にあるといえよう。


(1) 小中学校での学力
 2022年度の小学校6年生、中学校3年生を対象とした、国語・算数(数学)・理科についての「全国学力・学習状況調査」の結果が発表された。都道府県毎の結果が毎回似たものとなっているということから、統計の信頼性はある程度あると考えられよう。妥当性については、この調査によって何を求めるかに掛かっており一概に議論し難い。また、高い成績を得るために特に努力するケースなどが混ざると実態が分かり難くなる。

 都道府県の順位については、富山県は概ね高い位置にある。
 しかし、いずれの科目でも石川県・福井県を下回っていることは気になる。


 結果は各科目の正答率で示されているが、意味が分かり難いので、右図は各科目について47都道府県の標準偏差を1として偏差値を求め表現した。いずれの科目も概ね北陸3県ともに高い順位となっている。また秋田が同様に高く、東京などが次にある。

 富山県の学力を科目別に見ると、小中とも算数・数学、理科は高いが、国語が相対的に低くなっている。


(統計データ)

 児童生徒に関連することを全て学校の責任として問い、子供を取り巻く多様な環境、そしてそれを形成する地域住民の責任を棚上げにしがちであるが、もっと総合的な見方が必要なのではなかろうか。学力テストについても、同時に各人の学習状況も調査されており、学力との相関を注意深く検討する必要がある。
 幸い、富山の成績は相対的に高い位置にあるが、家族・地域社会組織の崩れは全国同様にそれなりに進んでおり、こうした課題を十分に注視しておく必要があろう。



(2) 高校生の英語力
 富山県の高校3年生の英語力について、英検準2級相当以上の生徒の比率は55%であり、全国の40%よりかなり高い。都道府県の中では、2番目の高い位置にある。


 ただし、英検準2級以上を取得している生徒の比率は28%に留まり、全国でも21%である。都道府県の中では7番目にある。
 ちなみに福井は、高校でも全国で最も高くなっている。


 他方、都道府県毎の中学3年生と高校3年生の英語能力には相関は見られない。
 このように本統計には一貫性がないようだが、福井、そして富山・石川の北陸3県の生徒の英語力が相対的に高い位置にあることは間違いないであろう。


 (統計データ)


(3) 教員の英語力
 他方、英語教員の英検準一級以上の教員比率は、富山県では、49%であり、これは全国の30%に比してかなり高く、都道府県の中でも福井県に次ぎ2番目の高さとなっている。
 北陸3県いずれも高いが、これは各県の教育委員会の方針(制度)によって英検受験を促している結果であろう。そして実態としても、教員の能力がそれなりに高いことが期待される。


 ちなみに教員の能力と生徒の能力については、それほど強い相関はない。
 こうした中で、富山は教員の能力が高い割には、生徒の能力がそれほどでもないことになっている。

 教え方、生徒の英語学習を促す仕掛けなど工夫が必要であろう。

  ⇒ICT活用能力(第5章第4項)
(統計データ)

(Apr.19,2019Rev.)




(Jul.29,2022Rev./Jan.23,2009Re-Ed.)

次頁節目次章目次表紙