第4章 堅実な生活 第3節 健やかな暮らし 第2項 医療 1.医療費―病床数が要―
(1) 医療費総額 ![]() 北海道と四国、九州、中国で、人口当たり国民医療費が大きくなっている。これに対して関東周辺で小さくなっている。 ちなみにこの地域分布は後期高齢者医療事業費での一人当たり診療費とある程度の相関がある(R2=0.51)。 ⇒後期高齢者医療事業の診療費 人口当たり医療費は、経年的には、人口の高齢化が進む中で、20世紀末で次第に増加してたが、2000ゼロ年代に入って介護保険の導入により一旦減少し、その後再び緩やかに増加している。'20年の減少はコロナ禍の緊急事態宣言(4月)によるものだろう。 ![]() ![]() 人口の高齢化、新たな医療技術の導入などによって、国民医療費は著しく増している。このため、健康保険制度での医療費の抑制が求められており、病床の削減、診療報酬・薬価の切下げなど多様な対策が重ねられている。 団塊の世代が後期高齢者になる段階に向かって、医療資源の配分の在り方を今後一層大きく変えていく必要があり、いわゆる高度医療などは抑制し、さらに療養の主体を在宅(家庭)で担うことが画策されている。 しばしば行われる制度改革が適正かどうかは、慎重に判断されなければならない。しかし、制度の多くは国全体の枠組みであり、地域の考えを入れることは難い。富山県は国の方針に即応している面があり、いろいろな支障を招いていないか、地域なりに慎重な配慮が必要である。 厚生労働省は、我が国特有の医療費増加要因として、@病床数が多い、在院日数が長い、A薬剤価格が高い、薬剤使用量が多い、B医療材料価格が高い、C検査が多いを上げている。 (2) 医科診療費 ![]() 都道府県毎の医療費の分布は、医科診療で西高東低の様相がさらに目立っている。ただし、北海道は大きい。 ![]() ![]() ![]() ![]() (3) 歯科診療費 ![]() 2022年度の人口一人当たり歯科診療費は、全国の25.8千円/人に対して、富山県では21.9千円/人であり、都道府県の中では、43番目でかなり小さい。 歯科診療費についても増加の傾向にある(図省略)。 (4) 薬局調剤費 ![]() 都道府県毎の分布では、北海道を除きやや東高西低の傾向があると言えそうだ。つまり、東北等では薬に、中国・四国・九州等では医科診療により依存する傾向があると言えそうだ。 経年的には、ゆっくり増加している(図省略)。 薬剤費の抑制については、医薬分業の実施により、多くの処方箋薬局が新設されている。 また、ジェネリック医薬品の利用推奨の中で、富山県の医薬品産業の生産が伸びている。 (5) 入院食事生活費 ![]() 都道府県によってかなり大きな差があり、特に九州等で大きくなっている。 経年的には、他の医療費と異なり、減少の傾向にある(図省略)。 (6) 訪問看護費 ![]() ![]() (7) 療養費等 ![]() 2022年度の人口一人当たり療養費等は、全国の3.67千円/人に対して、富山県では3.71千円/人であり、都道府県の中では、11番目と大きい位置にある。 ![]() なお、この医療費については、別途介護保険制度との関連を検討しておく必要がある。 (統計データ) (Nov.27,2024ReEd.) |