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第4章 堅実な生活
第5節 価値ある暮らし

第2項 スポーツ
―若年層で漸減する活動人口―

(1) スポーツ行動者率
(2) スポーツ種目
(3) スポーツ施設

 スポーツをする人が若年層で次第に減少しているようである。また、集団競技が苦手なようである。


(1) スポーツ行動者率
 1年間の間にスポーツをした人の割合は、全国で69%である。富山県では68%で全国より若干低く、都道府県の中で18番目の高さで中ほどにある。
 スポーツの行動者比率は、概して大都市圏で高く東京都で76%、逆に最も低い青森県では56%に留まっている。



 スポーツの年齢別行動者比率の分布について富山県と全国を比較すると、年齢層によって若干の違いはあるが、全国平均と概ね同じものとなっている。



 スポーツの行動者比率の経年変化を見ると、'90s後半から以降大きく落ち込んだが、'00s代後半には、富山県を含め一部の地域では横這いないし回復を見せ、'10s前半ではっきりと回復している。
 こうした動きは、日本の経済社会全般の活力の低下時期と一致しており、趣味など各種の生活行動の推移とも共通している。


 行動者比率の推移を年齢階層別にみると、若年層の落ち込みが大きい。これは高齢層の落ち込みが大きい趣味の場合と異なっている。
 趣味での鑑賞やゲームなどとは異なり、スポーツの場合は多少とも改まって取り組む必要があり、就業環境の厳しさで精神的余裕がなくなっているということであろうか。



(2) スポーツ種目
 富山県で行われているスポーツの種目別の特徴としては、野球やバレーボール、サッカーなど集団競技を行う人の比率が低い。これは勝手な推論だが、富山県民は自発的に集まって活動することが苦手なのだろうか。
 また、スキー・スノーボードをする人が多いが、これは積雪地として当然であろう。卓球、バドミントン、さらにはボウリングなどの室内スポーツもこれに準じた意味を持つのであろう。
 なお、行動者率自体は低いが、全国の率に比してかなり大きいものとして柔道があり、これは伝統的な趣味の場合と同様である。
 ⇒スポーツ行動者率の詳細



 富山県民が各種スポーツにどの程度日時を掛けているかについては、41%の人が平均91日行うウォーキング・軽い体操が特に大きく、全体(人日)の46%を占めている。これに次ぐのは機器を使ったトレーニングで12%であり、合わせれば58%と半分を超える。
 柔剣道、バスケットボール、サッカーについては、やっている人はほぼ年間70日を超え、熱心に取り組んでいる。




(3) スポーツ施設
 スポーツ庁「体育・スポーツ施設現況調査2018年度」では、富山県内の施設総数は853であった。
 各種運動場が211、体育館が148などで、公共施設が極めて多い。
 民間施設が過半を占めるのはゴルフ場、ダンス場である。
 人口当たり施設数を全国値と比較すると、相撲場、体育館など多い施設がかなりある。しかし、都道府県順位では、トレーニング場の3番目が目立つ程度であり、施設数が特に多いとは言い難い。
 ちなみに、トレーニング場に関しては、ごく最近、全国ベースの民間チェーンのジムがかなり増えているようだ。

 体育施設の統計として文部科学省の「社会教育調査」があるが、スポーツ庁の調査と民間施設の数は一致しているが、公共施設の数は齟齬がある。


 人口当たり施設総数を見ると、大都市圏で著しく低い。これは住民の身近に規模の大きい施設があるということであろう。これによって全国での人口あたり施設数を大きく下げている。

 地域の値を全国と比較する場合、人口当たりなどに換算して見ることが必要である。この場合、全国の総数と比較する方法と都道府県値の平均値と比較する方法があるが、人口規模の大きな都道府県が著しく偏った値になっている場合、2の比較の内容がかなり異なってくることに留意が必要である。


 スポーツは各自なりの身体状況、生活状況にあった活動をすればいいので、他者がとやかくいうことはない。しかし、集団競技の活動が少ないことは若干気掛かりである。
 なお、スポーツについては、競技スポーツで全国の中で覇を競うものがあるが、富山県の成績は概して振るわない。集団意識を高揚させ、県威発揚の好手段ではあるが、県の人口規模、ハングリー精神の乏しさからみればやむを得ない面があろう。


(統計データ)

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(Jul.18,2017Rev.)