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第4章 堅実な生活
第5節 価値ある暮らし
第1項 文化
1.文化活動 ―'10年代に若干の回復―
趣味活動をやった人の比率(行動者比率)は、日本の経済社会全般の活力の低下時期と一致して、1990年代、特にその後半に大きく低下した。その後、2010年代に若干の回復が見られる。
ただし最新年(2021年)の調査はコロナ禍の中で行われてお、活動の自粛があった。
(1) 趣味活動行動者率
誰もが何らかの趣味活動をしていると思われるが、過去1年間に趣味活動をした人の割合は、富山県では83%に留まっている。これは、全国の86%を下回り、都道府県の中では33番目であるな。前回調査では、87%、12番目であり、富山のコロナ禍自粛は相対的に大きかったと言えそうだ。
趣味活動の行動者比率は、概して大都市圏で高い。これに対して青森県では77%に留まっている。
なお、人口全体の行動者比率の分布は、それぞれの地域の人口の高齢者比率の分布ともある程度重なっている。
ちなみに趣味活動の年齢別行動者比率の分布は、富山県と全国はほぼ重なっており、高齢者ほど低い。
75歳以上では、富山県で61.5%にとどまっている。
趣味活動の行動者比率の経年変化を見ると、2021年調査ではコロナ禍で大きく低下している。
ちなみにこれまでの経過を見ると、バブル経済崩壊後の1990年代、特にその後半に5%ポイント以上低下しており、その後2000ゼロ年代は横ばい、'10sに回復となっている。こうした動きは、日本の経済社会全般の活力の低下時期と一致しており、スポーツなど各種の生活行動の推移とも共通している。
行動者比率の推移を年齢階層別にみると、'00年代に半ばに、高齢者ほど大きく落ち込み、その後回復している。
若年層では、'90sの落ち込み後、横ばいとなっている。
(2) 活動種目
富山県で行われている趣味行動の種目別の特徴としては、行動者率自体は低いが、全国の率に比してかなり大きいものとして茶道、華道など伝統的なものが目立つ。パチンコも若干多い。
美術鑑賞の比率も若干大きいが、これは充実した活動を展開している美術館があるということであろう。
逆に行動者比率の低いものとしては、キャンプなどがある。
なお、これら種目別行動者率は、調査年によってあまり安定していないようである。
⇒趣味行動者率の詳細
富山県民は、各種趣味活動にどの程度日時を掛けているかについては、CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞(テレビからの録画は除く)について、44%の人が平均149日と最も多く、テレビゲーム等37%162日と続く。いずれにしろ生活の中でスマフォの利用が大きな位置を占めるようになっている。
(3) 文化施設
富山県の各種社会教育施設は、それぞれ人口規模に比して極めて多い。特に図書館の多さなどはよく知られている。
施設の多さの要因として、県土に分散して居住する人々の需要を満たすためということが考えられる。また、文化会館などでは、これまで35あった市町村が競い合って建設したという経緯もあり、市町村合併によって過剰な整備が表面化している地域もある。
一方、施設の利用者数については、必ずしも際立って多いわけではない。ちなみに図書館利用者数は全国平均を下回っている。社会体育施設・生涯学習センタの利用者数については、比較的多くなっている。なお、利用者数の定義が都道府県によって違いがある可能性に留意しておく必要がある。
ちなみに、行政の支出する社会教育費(2016年度)を人口当たりで見ると、全国の12.7千円/人に対し、富山県は倍近くの24.5千円/人であり、都道府県の中では5番目に大きい。
趣味活動は、ことさら誰かが旗を振って活性化を目指すことではない。しかし、各自が各自なりに行動し、仲間ができ、盛り上がり、結果として活き活きとした面白い地域ができていくことが、地域にとって最も大切なことであろうと思われる。
(統計データ)
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(Oct.03,2024Rev.)
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