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第3章 モノづくり指向の産業
第4節 労働の課題

第1項 労働力人口
―さらに浅くなるM字カーブの窪み―

(1) 労働力年齢人口
(2) 女の労働状況
(3) 男の労働状況
(4) 外国人労働力

 概ね'10年代半ばには団塊の世代が65歳を超え、少子化が続く中で、労働力人口が急速に減少している。また、女の年齢別労働力率に見られるM字カーブの窪みがさらに浅くなってきている。

(1) 労働力年齢人口
 富山県の労働力年齢人口(15歳〜64歳)人口は、1990年頃にピークであった。また、総人口は1990年代末にピークであった。
 今後は、急速に減少していくことが予想されており、2015年〜2045年の間に労働力年齢人口は、概ね2/3になると予想されている。これに対して総人口は概ね3/4である。


 ちなみに、総人口に占める労働力年齢人口の構成比は1970年頃がピークであった。これは高度経済成長時代の最終段階と一致している。
 なお、2015年〜2045年の間に概ね57%から50%までに減少する。



(2) 女の労働状況
 女性の年齢別労働力率は、30歳代の子育て期に窪みを持つ、M字型カーブとなっている。この窪みには、休業者もある程度見られる。
 富山県では、M字の肩となる20歳代前半と50歳前後のピークは、双方とも80%を超え肩を並べている。全国でのこの肩の高さは、70%台である。
 ただし、50歳前後のピークでは、「家事のほか仕事」とする者が多く、形式的な区分はともかく、いわゆるパート労働者層を形成している。
 退職後は、「家事」を仕事とする者が多いが、それ以外の「その他」の比率が次第に増加していく。
 年齢別の労働状況を実人口で見ると、団塊の世代が70歳代前半に達したため、労働力人口は、団塊の世代によるピークは完全に消え、団塊ジュニア世代をピークとする山型となっている。また、30歳台半ばをボトムとする子育て世代の窪みがあるが、人口減少世代と重なり、ごく浅いものとなっている。
 なお、20歳代前半の人口については、学齢期にあって、一時的に県外に流出している者が含まれていることに留意が必要である。


 都道府県毎の年齢別労働力率の比較では、富山県ではどの年齢でもかなり高い位置にあり、M字カーブの窪みも浅い。


 女の年齢別労働力率の経年変化を見ると、全年齢層で労働力率が次第に上昇している。
 また、M字カーブのボトムは、次第に浅くなってきており、80%を下回らないようになった。
 この変化の背景には、子育てのための環境がそれなりに充実してきていることが考えられるが、逆に厳しい経済情勢の中で、世帯形成・子育てを断念する者が増えていることも考えられ、慎重な評価が必要である。

 ⇒共働きに関する意識

右図は不詳を除いて計算した率



(3) 男の労働状況
 男の年齢別労働状況については、全国と富山県に大きな差は見られない。
 ただし、男女を比較した場合、男には、M字カーブがないとともに、退職後の高齢者は家事ではなくその他としている者が太宗を占めている。
 男の年齢別の労働状況を実人口で見た場合は、団塊の世代が70歳代前半に位置し、年齢別労働力人口のピークが消え横這いの高原状態となっている。今後まもなく年齢と共に減少する型となり、団塊ジュニア世代のみがピークの山型に変形していくであろう。


 都道府県毎の年齢別労働力率の比較では、男についても、富山県はどの年齢でもかなり高い位置にある。



(統計データ)

(4) 外国人労働力
 「技能実習」称して外国人の受入れが図られている。
 しかし、技能実習という名称は偽りであり、労働力不足への対応が主眼であり、適切な受入れ体制が整備されておらず、多くの問題を抱えている。
    ⇒技能実習の課題(「富山の舞台_人口動態の転換_外国人」の項参照)
 行政としての雇用の管理は、地域労働局が担当しているが、真摯に対応しているようには思えない。導入企業自らが襟を正すことは当然として、県としても、そして関連経済団体としても姿勢を改め、しかるべき対応を取っていく必要がある。

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(May.29,2022Rev.)