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内水災害の事例
―都市型自然災害増加の懸念―

 富山県では昭和40年代半ばを最後に、豪雪は別として、大きな自然災害は途絶えている。
 これは治山治水事業等の成果であり、事業はさらに継続していく必要がある。
 しかし、この一方で、新しい都市型自然災害が増加してくる可能性がある。
 これは、第一に雨の強さによるものだが、地球温暖化の中で、このような異常気象が常態化していく可能性が十分にあり、覚悟して対策を講じていく必要があろう。
 これとともに、近年の都市周辺の宅地開発には、自然災害への配慮を著しく欠くものがある。
 浸水被害に遭っている地域それぞれの原因については、個々具体的に調査しなければ、小生に確かなことは言えない。
 しかし、地図を眺める限り、起こるべくして起こった災害のようにも見受けられる。
 まず、かつては河川の氾濫原で居住が避けられていた地区までに宅地化が進んでいる。
 また、水田の宅地化は降雨の流出係数を著しく引き上げ、わずかの降水で、下流域の排水路の容量を容易に超えることとなる。

最近の浸水被災地


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高岡市井口本江
 南部でイオンモールなどの都市開発が行われており、降雨がそのまま流出してくるようになっている。
 対応策として河川を整備したそうだが、新幹線駅の整備などもあり気掛かりである。



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富山市五幅
 五福公園東側で井田川が神通川に合流する左岸である。
 富山大学南西部から西富山一帯にかけて急速な宅地化が進んでおり、下流域の排水路の容量に懸念が感じられる。
 (このような広範囲な課題でなく、五幅公園の整備が直接の原因との報道も見かけた。)

 さらに婦中では大規模な都市開発(農地の宅地化)が進められてきている。降水の流路を確認していないので、どこに影響がでるかは知らないが、いろいろと懸念される。



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富山市向新庄
 富山地方鉄道荏原駅北部、常願寺川左岸である。
 上流域(南部)の広い範囲で、長期間にわたり宅地化が進んでおり、集中豪雨には脆弱になって当然と思われる。



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魚津市布施川流域
 布施川と片貝川に挟まれた地域で、明らかにかつての氾濫原だった地域である。
 新川女子高校の建設を先鞭に、宅地化が進んでいる。


 これらの災害の責任は、宅地化を進める事業関係者それぞれにあろう。
 単独事業者の大規模開発であれば、調整池の設置などが当然なされる。しかし、多くの事業が重なるとその責任は非常に曖昧になってしまう。
 災害防止のために行政で水路の整備を促進せよという要請もあるかと思うが、乱開発の責任を税から支払う発想ばかりでは困りものである。
 このため、適正な土地利用計画とその遵守が強く求められる。

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(Feb.24,2015Rev./Aug.14,1998Orig.)