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参考 地域創りの意思決定
第5節 共通認識の形成 ―熟議―
第1項 合意形成制度の機能不全

1.社会的合意形成過程の課題

 地域社会のあり方について、制度的には、議会制民主主義の場と市場によって合意形成が図られていくこととなっている。このため、市民は、選挙による投票と消費における購買行動によって、評価を表明していく。

議会
 しかし、地域社会のありようを検討していく地域の諸計画の策定については、極めて狭義には、行政の計画策定過程が主要な関心事となっている。
 具体的には、知事等(行政府の長)の命により、自治体職員が計画策定の情報整理・調整を行い、審議会等での議論を経て策定されていく。
 現在、この過程を公開することが要請され、また、合意形成のために、それが不可欠になりつつある。
 このような過程は、首長の行動として正当であるが、一方で、議会の役割が、蔑ろにされている懸念がある。行政が議会を蔑ろにしているということでは決してなく、議会自らがその機能を果たせる体制がいろいろな意味でない。
 議会こそ、地域の諸課題の合意形成を担う立場にあり、行政と議会との役割分担・協同体制の明確化が大きな課題となっていると言えよう。
 また、地域の意思決定において、国の諸制度や予算措置が足枷となることも多く、地方分権の促進も課題となっている。

市場
 一方、市場機構についても、その機能不全がつとに言われている。特に、市場のルールの設定は、議会・行政の役割であり、世界標準化(グローバルスタンダード化)を目指して、諸規制の緩和、透明化等が求められている。
 一方、企業の社会的責任についても議論されているが、これは市場のルールの課題に解消するか、あるいは企業の行動に対する消費者の評価が制御していくものであり、ことさら精神論を振りかざすものではないであろう。
 ただし、企業と議会・行政との関係については、その距離の取り方について、難しい問題があるといえよう。

市民等の参加
 他方、市民・労働組合等の社会参加は、社会的合意形成の課題においては、補完的役割を担うこととなっているが、その重要さが増しつつある。  ボランタリな市民が多様な役割を担っていくことによって、社会の多くの課題に対応していくことが可能であるが、議会制民主主義とどう調和させていくか、それなりの責任体制をどう確保していくかなど、困難な課題が多い。なお、現在、国会で、NPOへの法人格付与が審議されているところである。
 この点については、新しい社会機構が模索されているところといえよう。

      参考文献 『総合社会政策を求めて 第4章』

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(Feb.13,2016Rev.)