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結婚詳述
―増加する未婚、非婚―

(1) 未婚
(2) 非婚
(3) 有配偶
(4) 離婚

 国勢調査では、配偶の状況として、未婚・有配偶・離婚・死別に分け各都道府県別・各年齢別の人員数が公表されている。しかし、人口には年齢別の波があり、結婚・離婚等の率も年齢によって異なりさらに経年的に変化している。国勢調査の統計は、これらが複合して蓄積された結果であり、結婚・離婚等の行動が直接掴めるわけではない。
 また、人口動態統計では都道府県毎の離婚数等は公表されているが、これを年齢別に区分したものは公表されていない。
 このような事情から、都道府県ごとの結婚・離婚等の詳細な実態は、意外と把握し難い。以下の内容は、このような限界を持ったまま、統計を整理したものとなっている。


(1)未婚率 ―高まる未婚率―
 富山県の年齢別未婚率を全国平均と比較すると、男では、40歳代まで、富山県の未婚率が高い。また女では、30歳代後半以降で富山県の未婚率が低い。


 男の年齢階層別の未婚率の経年変化を見ると、全国では、25歳以上の層で概ね'00年代まで、上昇し続けていたが、その後低下し始めている。これに対し富山県では、25-29歳層で'20年に横ばい、30歳以上の層では引き続き増加となっており、全国平均を上回る結果となっている。


 女についても同様の傾向が見られ、'20年では20-29歳層で全国平均を上回っている。

 富山県でのこのような変化の要因は定かでないが、今後の動向を注視していく必要があろう。
 富山県にあっては、生活設計の困難から未婚率が他地域より高くなるということは考え難い。逆に、親と同居し続けることが相対的に容易なためということであろうか。


(参考 過去の分析)
 未婚者増加の男女の15年の時間差は、夫婦の年齢差と人口ウェーブに起因している。
 夫婦の年齢差は、若干縮小する傾向にはあるようだが、長期間ほぼ2歳を維持し続けている。
 このため、団塊の世代をきっかけとした年齢別人口数の変化(人口ウエーブ)の下では、人口の減少期には男性に結婚難が生じ、人口の増加期には女性に結婚難が生じる。
 そして、人口ウエーブの1サイクルは、減少期が15年、増加期が10年の合計25年(1世代)となっている。
 男より15年遅れて、女の非婚者の増加が明確化しつつあることは、この人口変化とちょうど重なっている。
 1966年の丙午で出生数が大幅に減少しており、国勢調査時点で概ね39歳に至っている。

 右図は、2014年時点での男女の人口差であり、富山県の男の未婚率が一層高まっている要因と考えられよう。


(統計データ)


(2) 非婚
―生涯非婚率 男30%、女20%─

 5年毎の国勢調査時点毎に、各年齢の未婚率が急速に上昇している。
 仮に、男の初婚終了年齢を45歳とすると、2020年時点で生涯非婚率は30%ということができよう。



 コーホート別の未婚率の推移を見ても45歳以上ではほとんど上昇しておらず、また、結婚後に子供を設け育て上げることを想定すると、この年齢当たりを限度と考えてもよいのではなかろうか。
 ただし、結婚行動はダイナミックに変化しており、この率は今後一層上がっていくと可能性が大きいだろう。


 男の場合と同様にして、女の初婚終了年齢を40歳とすると、2020年時点で生涯非婚率は20%となる。





 社会保障人口問題研究所は、生涯未婚率として45-49歳層未婚率と50-54歳層未婚率の平均用いている。現在の富山の生涯未婚率を全国平均と比較すると女は下回っており、男は上回っている。今後男の率はさらに高くなっていくであろう。
 生涯未婚率の都道府県毎の値については、男では東北関東で高く、女では大都市所在都道府県で高くなっている。


 結婚をするかしないかは個人の自由として考えられよう。しかし、老後に介護保険等の支えを受ける場合は、他人の育てた子供に支えてもらうこととなる。この意味では、非婚者等子育てをしない人は、子育ての費用を何らかの形で負担する必要があるのではなかろうか。
 ただし、経済的困難から結婚できない者には負担の追い打ちを懸けることとなり、こうした考えは単純には受け入れ難い。むしろ子育てを社会全体として行う覚悟をして、消費税などを回していくことが求められるのであろう。これは、子育ての不安から結婚を控える人を支援する効果がある。

(統計データ)


(3) 有配偶―中年以降で高い有配偶率―
 富山県の2020年年齢別有配偶率を全国平均と比較すると、男は概ね40歳まで、女は20歳代半ばまで同水準にあるが、これ以降は、富山が上回って推移している。



(統計データ)


離婚 ─かなり低い離婚率─  富山県の2020年年齢別離婚りを全国平均と比較すると、男は40、50歳代で相対的に高く、それ以降で低くなっている。女は50歳代以降でかなり低くなっている。
 年齢の高い増で有配偶率が高くなっているのは、離婚率の低さも影響していると考えられるが、2020年の統計との繋がりは判然としない。



 ちなみに有配偶者数に対する離婚率を見ても同様の傾向が見られる。






(参考 過去の分析)
 総人口に対する離婚率の推移を見ると、1990年代後半に跳ね上がっている。これは、団塊ジュニア世代の婚姻期に続いた現象であろうが、バブル経済崩壊後の不安定な雇用の中での変動も重なっている可能性がある。


 2018年の富山県での離婚率は、人口千人当たり1.22件であり都道府県の中では新潟県に次いで低い。
 富山県に次いで離婚率の低い県は、秋田、山形、石川、島根、と日本海沿岸県が続いている。
 なお、全国では1.57件/千人となっている。


 離婚件数は、婚姻件数とも関連していることが予想されるが、回帰式の決定係数ベースで0.31となる。
 富山県などの離婚率の低い県は、回帰式の予測値からも乖離したものとなっている。


 婚姻件数に対する離婚件数の比率では、東京都、石川県に次いで富山県が低くなっている。
 東京都が低いのは、婚姻と離婚の住所地の違いが関係しているのであろうか。


(統計データ)

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(Sep.07,2022ReEd./Aug.30,1998.Orig.)