政治姿勢「橋本努/金澤悠介著『新しいリベラル』ちくま新書2025年」を読んだ。本書は社会調査から人々の政治姿勢を解明したもの。ただし、著者自身は新しいリベラルを指向しており、自ずと偏りがあることに留意が必要。 以下は、本書を引用しつつ私の考えを整理したもの。 ◎道徳的基礎 @ケア、A公正、B自由、C権威、D忠誠、E権威 それぞれにどの程度の重きを置くか多様な異なる心情の人がいることを認める必要がある。 ただし、「正直」は共通の前提である。ちなみに自民党は一部の人がこれを犯したため凋落した。 ◎人々の政治的価値観6つのグループ(意識調査から抽出) @旧リベラル 現在の弱者の支援 A新リベラル 将来世代への投資 B成長型中道 それなりの成長の中での弱者等支援 C福祉保守 弱者支援、経済発展と防衛 D市場成長 経済発展と防衛 他者支援は不要 E無関心 ◎為政者の姿勢 政党が特定のグループに対応するわけではない。 しかし、為政者は自らの立場を普段から詳細に表明しているべき。 そして個々の政治判断を説明すべき。 ◎私なりの整合性のある政治姿勢 今日提示できる整合性のある施策について私の考えを整理すると次のようになろう。 〇医療・介護・年金等の社会保障は限界を宣言 (財政的限界) 〇将来世代への投資は困難者に絞る (財政的限界) 〇経済成長(活動の維持拡大)は困難 (温暖化ガス排出削減) 〇限られた軍備と平和形成への努力 〇防災は被災時の対応を事前的に明らかにし準備 〇農業生産の確保 (温暖化による混乱への対応) 〇産業構造・職業構造の転換 (地球温暖化ガス排出削減、ケア産業への移行) 〇所得税・相続税の累進引上げ、企業所得課税・消費税引き上げ (一人当たり消費(温暖化ガス排出)の許容量にも配慮) 〇地方からの政策展開 (現場が総合的に見える位置からの発想) 以上のような政治姿勢は、従来の発想を続けていては、総じて魅力のないものに見えるだろう。むしろ個別の政策では、個々人が反対したくなるものも多い。 為政者は票のためにポピュリズムに走ってこれから逃げてはいけない。 このため対外政策(軍拡)に走るのは歴史的に何度もあり、現在もこの道に入りつつある。こうした中で道徳的基礎も忠誠・権威の方向にシフトしていく危険な状況に陥っている。 Sep.11,2025 目次に戻る |