推し活「渡部宏樹著『ファンたちの「欲望」を深める10章』河出新書2025年」を読んだ。2部構成で、推し活の事例をいろいろと紹介しながら、第1部は、推し活(欲望・快楽)を素直にそだてることを、第2部はコマーシャリズムや政略に支配されない自律的な推し活を説明している。自律的な推し活では、自らの手による二次創作を勧めている。多様な推し活の事例については、興味深いものがある。 著者は、人の活動をどうあるべきと決め付けないように注意深く説明しながら、倫理(正義)に沿うことについてもいろいろと言及している。しかし、この倫理は、一般にこうだろうという著者なりの徳論に基づいており、好き勝手な物言いになっているような気もする。どうも著者は資本主義のコマーシャリズムや政治におけるポピュリズムを批判したかったようだ。 Jun.16,2025 目次に戻る |