経済活動を考え直す
ー虚業の抑制ー

 資本主義市場経済のもとで多様な産業活動が行われている。
 そして、環境制約や労働力不足について多様な議論がなされ、経済の拡大が模索されている。
 しかし、エネルギー消費的財・サービスの産業活動を抑制する必要がある。これには各種エネルギー関連産業はもとより、交通関連産業、観光産業、自動車製造産業などなど幅広い産業が含まれる。このため、経済成長を求めること自体が誤りであろう。本メモでは、このことにはこれ以上言及しない。

虚業の抑制

 いろいろな考え方があろうが、現在の経済活動には、価値ある財・サービスの生産を伴わない虚業がかなり多いのではなかろうか。ここを改めれば、必ずしも経済成長(GDPの拡大)を求めなくてもいろいろと対応できよう。

@金融業・不動産業
 他人の活動から収益を横取りしている面の多い虚業である。金銭の流通に必要不可欠な核となる部分のみを残し、情報システムでうまくシステムを構築すれば大幅に縮小できるのではなかろうか。また、所得格差とこれによる分断も解消できよう。

Aコマーシャリズムに乗った財・サービス
 超加工食品(ジャンクフード)などは、一見選択肢が多いようにみられるが、実質は差が少ない。さらに健康に望ましくないモノも混ざっている。また、小売店の売り場空間をかなり占めており、無駄が多い。しかし、多様なメーカーが利益を得れるとして、コマーシャルで余計な欲求を喚起している。また各種のポイント制度なども、顧客にとっては使わないと損をするということになろうが、このような仕掛けなどに手間をかけない方が、包括的にみれば、顧客の利益となるはずである。

B推し活を盛り上げる財・サービス
 多様な推し活を盛り上げるための各種興行等も見方によっては無駄と見ることができよう。

  これらの産業活動の削減のための具体的な手法としては、@金融取引税、Aコマーシャル税、B興行税の引上げなどが考えられよう。
 以上のような産業活動が削減されGDPが縮小しても不都合はない。そして労働力は、食糧生産、ケアワーク、その他のエッセンシャルワークに回していくことができる。
 ただし、これらはなくても生活できるだろうが、生活自体が面白くなくなる側面もある。


所得・資産格差の是正

 国民の分断をもたらしている所得・資産格差の是正も喫緊の課題である。
 賃金は、各自が子供の養育まで含め生活の再生産が可能な水準以上でなければならない。グローバル経済の中で非正規雇用の拡大など、このケジメが失われている。資本主義市場経済のこの限界を最低賃金の引き上げなどによって改めていく必要がある。
 所得については、累進課税を再検討し、取り敢えずかつての税率(1986年所得税70%、住民税18%、現在45%+10%)への復活があってもいいであろう。
 相続税についても 現在最高税率55%を大幅に引上げ、資産格差を和らげていく。
 給付金の配分は、バラマキでなく最貧層に限定する。なお、多様な消費への助成は、最貧層に流れず逆進的で格差の拡大をもたらす可能性がある。


社会保障制度の再構築

 現在の年金制度の限界は、制度設立時から明らかであったが、本格的な改定に着手されていない。多様性を許容していくためには、個人単位に改めていく必要がある。世代間の不公平是正のためには、既存の支払い年金も引き下げが必要である。ただし、予定された所得が削られることは、極めて厳しい状況をもたらす。このため負債の返済を予定している人への対応等工夫が必要である。
 医療保険については、高額医療の導入は、現在、保険適用の是非で制御されているが、その限界を宣言する必要があるのではなかろうか。


Jul.06,2025

目次に戻る