貧困の概念の拡大

「志賀信夫著『貧困とは何か』ちくま新書2025年」を読んだ。
 学術的に貧困とは何かを整理した書である。

 以下、私見を含めて内容を紹介。

(貧困の概念の推移)
・ブース 暴動が起こらない最低ライン 絶対的貧困
・ラウントリー 肉体的能率を保持できる家庭
・タウンゼント 社会参加ができ、当然とみなされる生活様式が可能
・ベヴァリッジ 労働者階級の社会的統合(戦争参加) 社会保障に発展
・セン ケイバビリティ(潜在的能力の保有)
・欧州委員会 社会的排除の否定
・宇沢他 社会的共通資本(ベーシックサービス、コモン)

 貧困の自己責任論が生活保護パッシングに繋がっている。
 子供の貧困を論じる背景には大人の自己責任論があり留意が必要である。

 貧困が増加する中で、人々の分断が起こる。そして、移民・難民排除に繋がっていく。
 これは、アメリカ、ドイツなど世界中で起こっており、日本でも近い状態になっている。

 このような現象の中で、資本主義の再考が求められている。
 生産手段の共有などの工夫が必要。
 売れる財サービスを作るのでなく、必要な財サービスを作る。

 こうした資本主義の切替えは極めて困難でる。
 しかし、総体として、人々全体を支える包容力はあり、それを分け合う工夫が大切である。
 これは、日本国内でも世界全体で言える。

Feb.25,2025

目次に戻る