食糧戦略システム

  「アマンダ・リトル著『サステナブルフード』2021年(原書2019年)インターシフト」を読んだ。
  世界各地で行われている持続可能な食糧確保に関する様々な試みについてのルポルタージュである。
  ・気候変動と生育の関係の分析による対応
  ・遺伝子組み換え
  ・AIロボットの利用
  ・精密農業
  ・垂直農場(屋内の多棚式育床)
  ・魚類の養殖
  ・培養肉
  ・食品ロス対策
  ・屑・規格外食料のパイ化
  ・水危機対応(遺漏対策・再生利用・海水淡水化)
  ・危機管理
  ・古代植物の復活
  ・3Dプリンター(戦闘食・非常食)
 現実的には、どれか一つの方法でなく、様々な方法を組み合わせて実践していく必要がある。個々の農家・企業、地域、各国それぞれ、さらには世界全体としての危機管理こそ重要ということだ。

 農水省は、「食糧戦略システム」を2021年に策定した。
 可能性のある手段を羅列した、総花的なものとなっていると思われる。ただし、組み換え遺伝子による耐性種の開発は抜けているようだ。また、有機農業などといっても、安価にそして量的にどれくらい対応できるのか。農薬の使用量削減といっても、どのように可能なのか。等々、個別具体的に検討していくべき課題が山積みである。
 そして、持続的な食糧確保のための危機管理としての、骨太の戦略が描かれていないのではなかろうか。主食、その他食料をどう確保していくか。誰が、どのような耕地等で、どんな資金で担うのか。こうした内容を中心に描くとともに、関係者全員で議論して、内容を詰めて、それぞれの努力を重ねて実現していく必要があろう。

 単に、関係する事業に補助金を出しますという政策だけで、持続的食糧供給が実現するものではない。

Feb.19,2025

目次に戻る