平等とは何か「田中将人著『平等とは何か』中公新書2025年」を読んだ。平等について基礎的で理論的な考察が包括的に整理され、原論となっている。 また、意見が分かれることについては、著者自身の考えもはっきりと述べられている。 現在、能力主義という考えがまかり通っているが、この発想だけで律することは危ういとの指摘はしっかりと検討してみる必要があろう。 本書について、十分に纏め切れないので、メモを残して置く。 不平等の問題点 剥奪、スティグマ化、不公平なゲーム、支配 具体的な問題点 窮民問題、寡頭制問題、健康格差問題 平等主義の立場 充分主義、優先主義、運の平等主義、関連の平等主義 三つの不平等 差別、格差、差異 平等と能力主義 能力主義は的確に機能するか 能力の測定、青天井 能力の不平等を問わないのか これらはエリートの傲り 制度の正しさが功績の概念に先行すべき この観点から機会の平等の制度を設計すべき 能力主義と平等を切り離して考える 経済上の平等 r>g ピケティの指摘 アンダークラスの出現 富と所有を分散させる 事後的対応でなく 事前的に 政治上の平等 クォーター制 ロトクラシー 評価上の平等 複数性 複数のコミュニティに所属する 財産と富の区別 アーレント他 自己の内なる体制 プラトン「国家」 「正義に適った社会」を考え、 「正義に適った人生は善い人生となるか」これを肯定的に捉える 平等についての6つのテーゼ @不平等は組合わさることで一層の悪影響をもたらす A平等の要点は「局所的な平等化」を超えた支配の不在にある B公正な能力主義は平等主義を意味しない C事後の再分配ではなく、事前の分配が重要である D私的利益が公的利益にとって代わるのを見過ごしてはならない E一元的な基準から距離をおき、多元的な価値を配慮すること Apr.13,2025 目次に戻る |