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V.転換の概要
1.生活

(1) 温暖化ガス排出のゼロ化
(2) 地域社会に開かれた生活

◎消費生活での温暖化ガス排出のゼロ化
 排出の多い消費生活を改める。特に、交通・冷暖房・物の消費などを削減する。
◎地域社会に開かれた生活
 我々一人ひとりの生活を社会に開かれたものへと変えていき、日常生活での繋がり合いを楽しい活動として形成していく。こうした中で、自ずと形成される支え合いを実現していく。


(1) 消費生活での温暖化ガス排出のゼロ化
 人類が温暖化ガスを排出することによって、異常気象が増えつつある。
 これに対処するためには、我々一人ひとりが排出を止める必要がある。
 現時点での削減については、一人当たり排出許容量を意識して行動することが有効であろう。具体的には、まず、現在の人類全体の排出量を人口全体で割ったものが目安となろう。日本人の平均で言えば、まず即刻半減することが求められる。さらに、先進国としてこれまで排出した分を考慮すれば、短期的な目標としてその半分を掲げることとなろうか。そして中期的にはゼロを目標としていく。
 これを実践するためには、エネルギー・物財の消費の削減に努めざるを得ない。
 また再生可能エネルギーの利用も工夫していく。
 さらに、徹底していくためには、総人口の削減も視野にいれる必要があるのであろう。

排出行動の改革
 温暖化ガス排出の多いものとして、住生活、交通が挙げられる。また、生活の安全確保として食生活も切り替えていく。
 住生活では、特に、冷暖房が課題であり、断熱構造等を徹底する。また、人口減少の中で、無暗な建設は抑制し、中古住宅を積極的に利用していく。
 交通については、日常での自動車利用を抑制し、公共交通を利用する。同時に無暗な移動を削減していく。特に、飛行機の利用は温暖化ガスの排出が多くできる限り避ける。
 食生活については、まず無駄な廃棄を削減する。また肉の消費の削減や季節外れ・遠隔地の食品を敢えて求めない。
 これらの事柄については、家計消費と温暖化ガス排出の関係を提示し、人々が消費生活の意味合いについて自覚し、それを削減していく必要がる。富裕な人がより多くを排出する権利をもっている訳ではない。


(2) 地域社会に開かれた生活
 家族機能が脆弱になり、市場を自由に活用できず、政府の十分な支えを期待できない社会では、我々一人一人が参加した地域での活動が重要となっている。このため、かつての人々の参加を義務付ける地域社会(狭義のコミュニティ)の繋がりではなく、自発的な(ボランタリィな)集まり(アソシェーション)による活動を増やしていく。
 こうした活動の可能性については疑義も多い。しかし、人と人の多様な繋がりは社会的資本と呼ばれ、この厚い蓄積があってこそ、多様な困窮者を排除しない、安心して生活できる地域社会ができよう。

地域ネットワークの形成
 生活時間を専ら仕事と睡眠その他生活必需時間だけでなく、生活自体を楽しむことにも向けワークライフバランスを実現していく。その活動は、地域社会の中で、多様な仲間を求めて展開し、多様な人と人との繋がりを形成していく。
 各人の生活のありようは各人の自由であるが、我々が共に楽しく生きて行くためには、それぞれの立場に応じてそれなりに公共圏での生活が求められていることは間違いない。

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(Apr.18,2021)