平成26年度富山市一般会計歳入歳出予算等 反対討論 2014.3.24 mon.i
 ただいま議題となっております54件のうち、議案第1号 平成26年度富山市一般会計歳入歳出予算、及び議案第3号、第11号、第14号から22号、第30号、第32号、第38号から42号、第44号、第45号、第49号、第51号、以上23件について、一括して、日本共産党の反対討論を行います。

 新年度予算の中で、私たちが一貫して求めてきた、子ども医療費助成の通院費中学3年生までの拡充、10月から実現することになったことは、大きな前進と受け止めています。
 生活保護世帯などで福祉関係に進学する人への給付制の奨学金制度導入を歓迎します。が、当初予算は「一人分」です。今後、県内でも他の市や町が行なっているように、高校生や大学生への給付制奨学金の創設を求めます。スクールソーシャルワーカーの増員配置、救急や消防の人材と施設の充実、公共事業では橋の維持や補修など、市民の安心安全、要求にこたえる個別の政策の前進面は評価するものですが、予算全体として賛成できない理由を述べます。

 新年度は、4月から消費税8%への引き上げで約8兆円の大増税、年金支給額1%の削減、生活保護の生活扶助費2.5%削減(3段階で削減する2段階目)、6月からは年1000円の住民税の復興増税(10年間)がスタート、10月には厚生年金保険料引き上げなど、安倍自公政権による、大増税と社会保障の切り下げが押し寄せようとしています。
 「みずほ総研」の試算では、夫婦と子ども2人、年収500万円の世帯で消費税と厚生年金保険料あわせた2014年度の負担増は「子育て世帯臨時特例給付金」を考慮しても約7万円。高齢者無職世帯では年金減少を合わせて約10万円にもなります。「臨時福祉給付金」も1万円が1回きりです。  さらには、「新農政」により米の直接支払い交付金の半減で、富山市では約5億2500万円の農家収入の減が見込まれます。
 大手製造業を中心に何年ぶりかでベースアップに踏み出しましたが、トヨタでも0.7%。増税で物価は4%上がり、ボーナス含めても賃金は0.5%程度。差し引き3.5%もの所得低下は戦後最大と言われています。
 さらには、4月は生活必需品の値上げラッシュ、電気・ガスなどの公共料金も、JRや私鉄の運賃も一斉に値上げです。円安や原材料高による値上げも加わり、家計への打撃は深刻だと言われています。
 共同通信社が昨日と一昨日(3月22、23両日)実施した全国電話世論調査では、消費税増税後の日本経済の先行きに「不安を感じているとの回答が「ある程度」を含め計76.5%に上りました。
 各種世論調査で、増税後は家計の支出を今よりも「減らそうと思う」と答えた人が半数を大きく超え、節約するのは外食費、水道光熱費、美容理容、ファッション・洋服費、食費、日用消耗品費などが高くなっています。
 所得の低い人ほど負担の重い消費税増税ではなく、大企業や富裕層に応分の負担を求め、税金のムダ遣いをなくすことで、社会保障の財源は生まれます。日本共産党は、今からでも消費税増税の中止を求めます。
 富山市政は、これまでにない、激しい影響が出ることが予想される新年度を前に、住民生活をいかに守ろうとするのかがもっとも大事ではありませんか。

① 消費税引き上げを筆頭に、安倍内閣が国民に押し付けるものを無批判に具体化した予算。手数料・使用料への消費税5%から8%への引き上げ分の上乗せに反対!
 消費税率引き上げに伴う富山市の影響額は、歳出で一般会計、特別会計、企業会計あわせて約18億1千万円の負担増となる一方、地方消費税による歳入増加は約4億円で、差し引き14億1千万円もの負担増になります。
 こういう悪政が国から降りて来たときに、富山市として少しでも抵抗する努力があったかと言えば、消費税引き上げを筆頭に、安倍内閣が国民に押し付けるものを無批判に具体化した予算となっています。地方自治体は、国の悪政の防波堤となって、住民を守る役割を発揮するべきです。
 いま提案されている、富山市の原則すべての使用料・手数料94項目にわたる消費税率引き上げ分を上乗せ徴収すると、約4億6千万円もの市民負担増になります。市民の暮らしや営業にさらなる打撃を与えるものであり、転嫁の中止を求めます。(これらの負担増の根拠となる条例案、及び引き上げ分を含んだ予算案の議案第1号、3号、11号、14号から22号、30号、38号、39号から42号、44号、45号、49号、51号に反対です。)

軽度身体障害者医療費の有料化に反対

 議案第32号「富山市老人医療費助成条例の一部改正は、65歳以上75歳未満の軽度障害者の医療費助成の減額で、前年度予算と比べて約6千万円削減です。
 国で凍結されていた、70歳以上75歳未満の医療費窓口負担を1割から2割への順次引き上げについて、国に引き続き凍結を強く求めます。
 また、県に対しては、市が県へ要望した窓口無料制度を維持・継続するための、制度追加「県の重度心身障害者等医療費助成事業金の現状維持はもちろんのこと、政府方針により新たに70歳になる方への1割補助凍結に併せた軽度障害者への1割補助(県0.5割、市町村0.5割)」の実施を、強く求めるものです。  その上で、2月に障害者団体5団体のみなさんが市に提出した、市の助成の引き上げで、65歳以上75歳未満の軽度障害者の窓口負担を、せめて0.5割とする要望に、市は応えるべきです。それに必要な予算額は、新年度分は約590万円、5年後にも約4400万円でできるのです。
 富山市が、全国一の水準である手厚い助成制度全体の枠組を維持・継続しようと努力されることは歓迎しますが、65歳以上75歳未満の軽度障害者の医療費助成を、これまでの「医療費の心配のない」窓口無料から、1割負担とすることには賛成できません。

各地域のし尿汲取手数料、高い富山市料金への統一

 議案第39号については、消費税増税分に加えて、合併前の地域ごとに異なるし尿汲取手数料を、高い富山地域に合わせるもので、現行に比べて大沢野地域では174%、大山190%、婦中142%、細入171%などの大幅値上げとなるものです。このような負担増ではなく、市民生活に欠かせない業務を事業者が継続できるよう、市が責任を持つべきです。
② 新幹線開業を1年後に控え、「新幹線対策に事業が集中」した予算
「新年度事業の中心は、北陸新幹線開業に向けての総仕上げ」と言われます。
 新幹線開業に備えることは常識的な範囲で必要ですが、それが主人公で、「住民の福祉の増進を図る」自治体の基本の仕事が圧迫されるようではいけません。基本に立ち返るべきです。
 日本共産党は、市民の所得を増やし、家計をあたためる施策こそが求められると提言してきました。市民一人ひとりのくらしが安心できてこそ、「将来に希望を持てる」ようになるし、豊かな文化も生まれます。
 消費税増税の激しい影響が予想される新年度、富山市独自の市民の負担軽減策にもっと配慮すべきであり、固定資産税や市民税の増収を見込み、3年ぶりに約37億円(2.5%)増額した予算であるならば、市民が納めた市税収入の増えた分は、市民のくらしや福祉や教育に使うべきです。
③しかし「厳しい財政状況のなか」中心部の大型事業にますます偏重し、市債残高は過去2番目に高い水準で、市民一人当たり約60万円の借金となり、「市債なお高水準 点検必要」と新聞各社も指摘しています。
 地域住民の多様な要望、公民館の耐震化や人口比で狭い公民館の建て替え、学校耐震化や建て替え、普通教室へのクーラー設置、市営住宅の維持管理・改修などなど、市民にとっては今すぐにも必要な、優先度が高いのに、「財政状況がきびしい」ことから実施の見通しが立っていないものや、職員の人件費削減のために子どもや教育現場にしわ寄せなど、
④ 市民生活にはいっそう厳しく、様々なところに影響が出ています。

今度は芸術文化もまちづくりも「呼び込み方式」「都市間競争論」!

 西町南地区市街地再開発ビルには、補助金と保留床取得費あわせて142億円を超える税金が投入される巨大事業です。この中に整備するガラス美術館に、なぜ海外の著名作家に依頼して「大掛かりな」空間芸術作成なのか?との私の質問に、市長の答弁で、「金沢の21世紀美術館にも負けられない」と言う趣旨の発言がありました。
 かつて正橋旧富山市長が「金沢に負けない芸術文化のまちづくり」と言って、桐朋学園の舞台芸術学部誘致構想に突き進んだ、あの時、盛んに叫ばれていた「都市間競争」論といっしょの考え方ではないですか。
 地域も人も内なる力(能力)を発揮するのが基本です。外部から借りてきたもの(ガラスや自転車等々)では、富山オリジナルな文化は根付きません。
 新年度予算にガラス美術館整備費用に合併特例債も使って約5億円が計上されていますが、「グラスアートガーデン」のインスタレーションは内容も制作方法も制作費用もわからないまま、膨らんで行くとしたら見過ごせません。
 総曲輪西地区市街地再開発事業は、総事業費約80億円のうち補助金36.5億円、その他に、市が自転車200台分の駐輪場のために320㎡を周辺の土地の検討もなく再開発ビルの床を7500万円で買う方針が納得できません。
 新年度の小中学校保健室や幼稚園保育室へのクーラー設置予算2688万2千円の約3倍です!

大型開発事業最優先から、身近な生活関連公共事業重点に転換を!

 「新幹線開業」に向けてクライマックスの大型事業予算が、市民生活を圧迫していることは明らかです。緊急性、優先度の高い、市民要望の多い、身近な公共事業の発注で、地域経済が潤う仕事をさらに重点にすえるべきです。
学校給食の「単独校調理場の調理・洗浄業務の民間委託」拡大に反対です。
 今年度、初めて3校に導入され、新年度は新たに小学校3校。なによりも給食の安全性のために、きびしい文科省の衛生管理基準の遵守や、調理の熟練度が必要なのに、給食室の中の民間企業の従事者8人中6人までを「経験不問」のパートで新規募集しているというのに、「企業の競争上の地位を守るためと、保護者にも市民にも情報公開できないことは問題です。学校給食の現場に市場主義・競争原理を持ち込むことは不適切です。この民間委託をやめ、正規職員の採用を再開すべきです。

フラワーハンギングバスケットに6351万3千円

 市が中心部で特に力を入れている「フラワーハンギングバスケット」は、289カ所で6351万3千円、1カ所当り約22万円。
 給食調理は6校分の民間委託で人件費を中心に年間約3000万円削減「効果」と言いますが、「フラワーハンギングバスケット」の予算の半分以下です。
子どもを最優先にすべきではないですか!

議会費の「国際交流事業費」「会議出席費用弁償」について

「市の財政状況はきびしい」と言って、市民の負担増にはすべて賛成してきた議員・会派のみなさんが、なぜ、いまだに公費で海外視察費を確保しようとするのでしょうか。議会費には、国際交流事業費として201万2千円が計上されています。全国市議会議長会主催の「欧州都市行政調査団」は、行き先も未定、“視察”の必要性や目的も、これまでの効果も、はっきりしません。予算から外すよう改めて求めます。
 会議出席「費用弁償」は、月額60万円の議員報酬とは別に、会議に出席すると、議員1人1日一律4,000円支給されるもので、「報酬の二重取りではないか」「民間ではあり得ない」など、市民の批判は厳しいです。全国でも見直しが当たり前であり、日本共産党は、廃止または交通費実費程度に見直しをと主張してきましたが、見直しなく、6488千円計上され、反対です。
 そのようなお金があったら、議会のネットやケーブルテレビでの中継や、議会報の点字版・音声版の作成、委員会記録の全面公開など、市民に開かれた議会改革に有効に使うべきです。
 みなさん、このような予算案及び関連条例案には、見直しを求め、地方自治の本旨に立ち返り、市民のくらしに寄り添い、市民の願いにこたえる市政と議会への大転換を求めます。議員のみなさんに呼びかけ、以上、日本共産党の反対討論といたします。


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