2013年9月定例会 一般質問 2013.9

1.1.消費税増税について

 日本共産党の中山雅之です。最初に消費税増税について質問いたします。
 来年4月からの8%への消費税増税は市民生活と地域経済に大きな打撃です。
 消費税増税について各種の世論調査は「日経」8月26日付では、「予定通り」は17%、「柔軟に」と「引き上げ反対」をあわせると79%です。「毎日」でも「予定通り引き上げるべきだ」は21%、「段階的に」と「先送りすべき」、「5%維持」をあわせると76%と、国民の世論動向は明快です。
 内閣官房参与の浜田宏一さん、本田悦朗さんなどの政府関係者からも、予定通りの増税に反対する意見が出され、これまで増税を主張してきた大手新聞の中からも、「『来春の8%』は見送るべきだ」、「読売」8月31日付社説、「消費税増税の環境にない」、「東京」社説などの論調が出されています。 
 今後の税制のあり方として消費税の増税が必要だと考えている方々の中にも、「来年4月の増税は国民生活や日本経済を悪化させることになる」という懸念を持ち、反対の声をあげておられる方々がたくさんいます。そのことは、世論調査にもはっきり表れています。これが、主権者である国民、市民の多数の声です。
 9月8日投開票で行われた定数一の茨城県会議員補欠選挙、日本共産党は自民党との一騎打ちを制して勝利しました。この選挙で消費税増税問題は重大争点の一つとなって、増税にきっぱり反対を貫く共産党への支持と共感が広がりました。
 ①日本共産党は、来年4月からの消費税増税を中止する、この一点で、一致するすべての政党、団体、国民、市民のみなさんが力をあわせることをよびかけるものです。現時点で、4月からの消費税増税について、森市長はどのような見解か伺います。

消費税を増税しても、財政はよくなりません

 増税で景気が悪化すれば、他の税収が消費税増税分以上に落ち込みます。
 1997年に消費税を2%、約5兆円増税したさいにも、消費税以外の税収は、増税後3年目には11.4兆円も減っています。「大不況」で税収が落ち込んだことに加え、「景気対策」として法人税・所得税を減税したためです。歳出でも、「景気対策」の名で大型開発のバラマキが行われました。これらの歳入減と歳出増によって、国と地方の長期債務残高は、増税後3年間で449兆円から600兆円へと拡大し、財政危機悪化を加速する結果となりました。
 今度も、自民党や財界からは、「増税で景気が悪化するのを防ぐため」として、大型公共事業の拡大、法人税の減税を求める声が増税実施前から出ています。景気悪化で税収を減らし、「景気対策」のバラマキに増税分が回る、これでは、過去の失敗を繰り返し、財政をさらに悪化させることになります。

経済政策と公共事業について

・橋梁の点検、維持補修について
 安倍政権の経済政策は、その一つ一つを見れば、消費税増税、社会保障の削減、ゼネコン型の大型開発、大企業や金持ち優遇の減税、「規制緩和」の名による雇用のルール弱体化と、どれも古い自民党政治そのものです。根本にあるのは、財界・大企業の目先の利益確保を優先し、国民の暮らしや日本経済全体の動向は二の次三の次という政治です。
 いま、日本経済に求められているのは、アベノミクスのような「投機とバブル」だのみの虚構の「景気浮揚」ではなく、実体経済にしっかり裏打ちされた、本格的な景気回復の道です。日本経済の6割を占める家計を温め、所得と需要を増やして「デフレ不況」の悪循環から抜け出すことを基本にした経済・産業政策。地域の中小企業応援、国民の暮らしと企業の経済活動にしっかりと軸足を置いた景気対策への転換が求められます。
 わたしはこのような立場で、公共事業は、ゼネコン型大型事業、中心部の重点事業偏重から、生活密着型、耐震や維持補修の重視へ転換を求めてきました。引き続き、この問題を取り上げます。

8月4日のNHKニュース及び、NHKスペシャル”調査報告 日本のインフラが危ない”の報道について

「富山市と浜松市が点検を終えた103の橋について、土木学会による再点検で、51の橋で評価が大幅に誤っている。12の橋で重大な事故につながる損傷など見逃されている」とのNHK報道について、市民のみなさんに不安の声があります。
 橋梁の再点検については、昨日の討論がありましたので、それを踏まえて質問します。
 ②土木学会の橋梁再点検、市が協力して取り組んだのですが、何が明らかになったのでしょうか、とくに問題、課題について伺います。

○昨日の答弁から

神田副市長
「今回の土木学会の調査、全国の地方公共団体が実施している橋梁点検の精度を確認する調査を行いたい、このような申し出が土木学会サイドからありました。
そのことに対して、本市が協力したわけであります。その成果を本市におきましても、今後の点検のあり方、管理のあり方、さらにそれをふまえた橋梁の長寿命化を図る上で、きわめて重要かつ、貴重な知見を得ることができたものと考えております。」
(二つ目に)
「橋梁台帳の不備が重大な事故につながる恐れもあり、管理上きわめて遺憾なことと考えております。重要橋梁224橋について、現地調査の上、台帳図の修正、台帳情報の更新、修繕履歴や点検履歴などの情報の追加など3年程かけて実施したいと考えており、今議会に橋梁台帳更新費用を提案。」
(三つ目に)
 職員の技術力の向上
 全国の自治体が管理する主な橋の97%ですでに点検が行われていますが、今回の調査で、これまでの点検では安全が十分に確保されていない可能性があることが明らかになりました。
 調査を行った土木学会の維持管理に関する委員会の高木千太郎委員長は、「点検率が上がっても、内容が伴わなければ点検を行ったことにならない。2つの市だけでなく、全国で同じような見逃しがある可能性があるので、早急な対応が必要だ」と指摘しています。
(四つ目に)
 委託業者の技術力・専門性の確保、それを保証する補修工事の採算性
 この中で問題視されていましたが、インフラの維持管理に関する費用の積算基準が存在せず、新規建設工事の基準で積算されていることが、地方自治体や各高速道路の維持・修繕工事の応札回避を生んでいます。
 実際に、橋梁の補修工事の積算を試みても、発注者側の積算根拠に疑問符が付く場面も多くあります。維持・修繕工事に関する積算基準が待たれます。
 維持・修繕に特化した技術者や技能者の育成が必要であり、そのためにも、的確な価格による受注が可能な体制の構築が待たれます。
 補修工事の採算が悪いので、入札参加に消極的な建設業者が多くなってきた。これは、工事単価の積算基準が新規工事の実績から算出されたものであり、手間隙を要する補修工事の実態と乖離していることに原因があるのではないでしょうか。
③NHKの8月4日の報道では八田橋が、また8月25日には高熊橋が映像でも取り上げられて、報道内容は大変重大な内容でした。市の見解を伺います。
④必要な対策は急いで具体化を
 具体的に八田橋、高熊橋等についての説明、必要な対策は急いで具体化をと質問を通告していましたが、昨日の答弁がありました。
 高熊橋については、さらなる調査と早期の対策が必要と診断され、現在、詳細な点検を行っている。今年度中には必要な応急修繕を実施し、その後速やかに詳細な調査を行い、長期的な対策について検討していくと。
 必要なことはすぐにやる、そういうことで進めていくということで、よろしいですか。

○昨日の答弁から

 八田橋以外の4橋についても、すぐに通行を規制するような深刻、かつ重大な損傷のある橋梁ではないが、それぞれ対応が必要であるとの指摘を受けました。
 このうち八尾町の井田川にかかる高熊橋については、・・・さらなる調査と早期の対策が必要と診断されました。
 市としましては現在、高熊橋の詳細な点検を行っており、今年度中には必要な応急修繕を実施し、その後速やかに詳細な調査を行い、長期的な対策について検討してまいりたい。
⑤富山市として、土木学会の再点検も踏まえて、橋の点検、維持・補修の現状と今後について、見解を公表して、市民にわかりやすく知らせることが必要ではありませんか、見解を伺います。
→否定する答弁であれば、認められない。
 NHK報道、映像報道の影響の大きさ。市民に説明の責任がある。富山だけの問題ではない。市としての見解をまとめ、公表することは責務。市長見解も問う。
・生活密着型、耐震などの公共事業への転換を求める
生活密着型、耐震などの公共事業への転換を求めてきました。地域の具体的な例で、質問します。
⑥奥田賃貸住宅
 市営奥田賃貸住宅の耐震補強工事については、これまでも繰り返し議会でも取り上げてきました。日本共産党として、2009年に耐震補強の申入れを行いました。2010年度に市が耐震補強工事を行う方針を決めてから、入居者にとっては、長い不安の年月です。今後のスケジュールについて、伺います。
 6月定例会の一般質問では、市立公民館・地区センターの耐震化について
中山「市民生活に密着して要求が強く、市民の生活の安全からもこのような事業を優先して重視すべき」
教育長「厳しい財政状況や市全体の施策のプライオリティを考慮すると、当該施設のすべてを早期に改築することは、難しい」
中山「こういう事業こそ優先して、積極的に取り組むことを重ねて要求します。」
⑦奥田、奥田北公民館について
⑧豊田公民館について
⑨富山市でガラス美術館、県が近代美術館と、豪華な美術館建設を競うような状況です。このような事業を優先して急ぎ、世界に誇るグレードアップに力を入れる。これが県民・市民の要求に応えることになるのでしょうか、もっとくらしの安全、生活に密着した事業を優先にすべきと考えますが、見解を伺います。

3.生活保護の引き下げと就学援助について

 生活保護基準の引き下げは、安倍政権の社会保障切り捨て計画の第1弾です。参院選では国民の反撃を恐れて争点隠しに終始し、基準引き下げも選挙後の8月からの実施としました。
 削減額は今年度で150億円。3年間かけて670億円、6・5%、最大では10%もの減額になります。
 今回削られる生活扶助費は、食費、光熱費、衣類などに充てられる生活費そのものです。生活を切り詰める貧困世帯をさらに追い詰めます。
 国民生活の最低ラインを示す生活保護基準は、低所得世帯に対する各種の支援施策の指標としても使われています。基準引き下げにより、就学援助や保育料減免などを打ち切られる世帯が出る可能性があります。安倍政権は「影響が出ないようにする」といいますが、予算措置が行われる保障はありません。
 また、生活保護基準は最低賃金にも連動し、最低賃金の引き上げを阻害する要因にもなりかねません。
 8月からの生活保護基準見直しの影響について、富山市の生活保護の減額影響について、市の推計を報告をお願いしましたところ。3年間で総額7,635万円の減額とのことです。
 今年度は総額2,007万円の減。8月からの減額からさらに、11月から3月に支給される冬季加算、さらに期末一時扶助も減額されます。2014年度は新たに年間3,216万円の減。15年度はさらに新たに2,416万円の減となります。
 国民の所得を引き上げるには、貧困問題の解決、格差の解消へ、低所得の方の底上げを図りながら、全体のくらしの応援が必要です。これに逆行する生活保護の減額は、国民のくらし全体、地域の経済にも重大なマイナス影響となります。このような社会保障の切り捨てに反対します。
⑩そこで、生活保護の引き下げによる、富山市の就学援助制度の利用者に対する影響について伺います。
 この対応について、文科省は「今年4月に就学援助の対象だった要保護者は、8月以降も対象とする。準要保護者については各自治体の判断によるが、同様の取り扱いをお願いしているところだ」と説明しています。
 来年度以降も影響を出さない方針だとしながらも、「予算が確保できない限り、確約はできない」。新たに就学援助を申請する人に対しても、同様の方針だとしています。
⑪富山市の対応について伺います。
国にも働きかけながら、準要保護者についても、影響を出さないように要望します。

4.慰安婦問題について

「慰安婦制度が必要」だったとの橋下徹・日本維新の会共同代表の発言が、内外に波紋を広げました。
 問われているのは橋下氏だけではありません。安倍首相自身が慰安婦問題や侵略戦争などの歴史を否定する動きの先頭に立ってきました。この問題は政治姿勢を問う重大な問題です。
 安倍内閣は、日本共産党の赤嶺衆院議員が提出した質問主意書に対する答弁書で、「慰安婦」問題に関して日本軍による強制連行を示す証拠が政府の発見した資料の中にあることを初めて認めました。
 赤嶺氏は、安倍内閣が2007年の答弁書で、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」としていることについて、「『政府が発見した資料』とは何か」と質問。答弁書は、日本軍による強制連行を示す資料である「バタビア臨時軍法会議の記録」があることを認めました。
 同記録は、日本軍がジャワ島セマランほかの抑留所に収容中のオランダ人女性らを「慰安所に連行し、宿泊させ、脅すなどして売春を強要するなどした」と明記。答弁書は「ご指摘のような記述がされている」と認めています。
 政府が発見した資料の中に、法務省のバタビア臨時軍法会議の記録があることを認めた以上、第1次安倍内閣が2007年に閣議決定した「強制連行 資料なし」との答弁書が誤りであったことは明白です。
 東京裁判関係文書の中にも、インドネシア、中国、ベトナム3か国、8点等の強制連行の証拠書類が残されていることが判明しています。
 「私らを日本軍俘虜(ふりょ)収容所事務所へ連れて行きました」との被害女性の証言や、日本陸軍中尉の宣誓陳述書など「軍の直接関与、被害女性に対する強制、脅迫が具体的に記述されている」ものです。
   森市長は2009年9月定例会で、わたしの質問に対して、以下のように、答弁されています。
「従軍慰安婦というものの存在は確認されていない」「官権による強制を示す資料はなかったとされており、現在に至るまで発見されていないと認識しています。」「軍の関与があったのか、なかったのか、議論の中心はここにある」と。
⑫改めて森市長に伺います。
 数々の歴史的文書が軍や官憲による強制を示しており、その上で河野談話は物的証拠がなくても被害女性の証言によって強制性を認定したものです。戦争犯罪の事実を重く受け止めることを求めます。
 「慰安婦制度が必要」だった等の橋下徹・日本維新の会共同代表の発言。「強制連行を示す証拠はなかった」との2月7日の衆院予算委等での安倍首相の主張について、どのように受け止められていますか、見解を伺います。
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