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孤立無業者
─富山県に9,800人─

 玄田有史『孤立無業』(2013年日本経済新聞出版社)によれば、20〜59歳の未婚無業者で孤立している人は、2011年現在で、全国で162万人いるとされている。さらに、このうち富山県は、9,800人となっている。

 ただし、この推計は、総務省「社会生活基本調査(2011年)」の個票を再集計して推計したものであり、個票ベースで全国で1,000人超のものを全人口ベースに拡大推計したものである。この拡大率から逆に見ると、富山県では10人程度の個票となり、都道府県に細分した統計は信頼性が乏しい。

 玄田自身は、この分析の中で、孤立無業者発生率の地域的差異の一定の傾向は認められないとしている。しかし、これを承知の上で、敢えて、地域毎の未婚無業者の比率、未婚無業者が孤立化する比率、そして結果としての孤立無業者の率を都道府県毎に見るとある程度の傾向があるようにも見れる。


 人口の中の未婚で仕事を持たない比率は、地域毎の結婚についての考え方と就業環境が重なって現れており、大都市地域と過疎地域の双方で高くなっているように見える。


 未婚無業者が孤立してしまう比率は、人と人の繋がりが疎遠になっている大都市ばかりでなく、実質的に維持しにくくなっている過疎地域でも高くなっているようである。


 上述の2つの率が重なって、孤立無業者の人口比率は大都市地域と過疎地域の双方で高く、その中間的な地域で低くなっているように見られる。


 富山県の孤立無業者の人口比率は、全国平均よりは小さいが、それでも1万人弱と見積もられ、総人口の1%近くとなっている。こうした事柄は地域で話題となり難いが、地域として対応していくべき課題である。
 実際に、若者サポートセンター(富山労働局)を始め、多様な関係団体が支援を工夫しているところであろう。一般には、地域で多様な活動を行い、人と人が繋がる契機を創っていくことが大切であろう。

(統計データ)

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(Nov.13,2013)