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第4章 堅実な生活
第6節 開かれた生活習慣
第1項 県民生活
1.生活時間 ―有効活用ができていないゆとり時間―
個々人の生活時間は、それぞれのライフステージ、就業の状況などによって大きく異なる。このため、男女、都道府県毎の生活時間の平均値を単純に比較しても、背景にあるそれぞれの属性別構成が現れているに過ぎない可能性が高い。そしてこれを超えて分析することは容易ではない。
以下では、主として子育て中の有業者の平日の平均生活時間について性別に検討するが、その差異が様々な意味での属性を背景に持つことに留意しておく必要がある。
(1) 男女比較
富山県民の生活時間のうち、平日1日当たり60分以上費やしている生活行動は、男については、時間の長いものから順に、仕事、睡眠、食事、休養等、身の回りの用事、テレビ・新聞等が挙げられる。
女の場合は、睡眠、仕事、家事、食事、身の回りの用事、休養等と並び、男の行動項目に、家事が加わり、テレビ・新聞等が落ちる。
費やす時間がある程度大きく、かつ男女差の大きいものとしては、男の長時間の行動は仕事に加えて休養、テレビ・新聞等であり、女の長時間の行動は家事に加えて身の回りの用事である。
費やす時間が1時間以下であるが、男女差の大きな行動について、男の長時間の行動としては、通勤、その他の移動、趣味・娯楽が挙げられ、女の長時間の行動としては、買い物、育児、その他が挙げられる。
富山県での男女の生活行動の時間差をまとめると、男は仕事、通勤・通学に長時間を費やす分を女が家事、買い物、育児に費やしているが、これだけの合計時間差では女の方が大きく、男は残った時間を趣味・娯楽等に費やしているということになろう。
(2) 全国比較
富山県の生活時間を全国平均と比較すると、男で富山県が短いものとしては、まず通勤・通学がある。一方、富山県で長いものは、休養・くつろぎ、テレビ・新聞等である。
他方、女について、富山県が長い行動は、仕事、これに伴う通勤がある。そしてその他の二次、三次時間が短くなっている。
ちなみに「積水ハイム『イクメン白書2019』」では、富山県の子育て中の男の週当たり家事・育児時間は、8.99時間で、都道府県の中では、3番目に少なくなっている。
これは「社会生活基礎調査」の結果とは異なっている。
なお、この結果、富山県のイクメン力は、都道府県の中では38位で芳しくないものとなっている。
(調査の説明は省略する。)
(統計データ)
(Nov.26,2019)
男の通勤時間がかなり少ないことについて、富山県では世帯主の通勤時間が90分以上の世帯比率が都道府県の中でも特に少ない。さらに長期的にかなり減少しているが、これは、人口の都市部への移動、通勤手段の鉄道から自動車への移行、さらに道路の整備等の結果であろう。
(Sep.21,2020)
(3) ライフステージ比較
富山県でのライフステージ別の生活時間を見ても、上述の性差が基本的な特徴として見られる。
(統計データ)
(4) 起床就寝時刻
人々の起床や就寝などの時刻は個人差が大きい。しかし、性別・年齢別の平均時刻は、大まかな傾向としてそれなりの意味を持つであろう。
ただ、地域ごとの統計については、それぞれの年齢、多様な就業状況等の構成がまちまちでであり、その合成した値を相互比較しても、しっかりした意味は捉え難い。さらに地域別に性別・年齢階層別に細分した統計は、標本数が極めて少なくなり、統計的に危ういものとなっている。
以下の内容は、これらの危うさを前提として、大まかな傾向を知る程度のものと理解しておく必要がある。
| 起床時刻 | 就寝時刻 |
男 | 女 | 男 | 女 |
全国 | 6:40 | 6:24 | 23:16 | 23:08 |
富山 | 6:27 | 6:11 | 22:51 | 22:54 |
都道府県順位 | 6 | 2 | 6 | 12 |
2016年の総務省「社会生活基本調査」では、富山県民は全国でも早寝早起きとなっている。
早寝早起きは大都市圏を除く東日本の傾向と言えよう。
ただし、日本は東西に15度程度広がっており、日の出・日の入り時刻に1時間程度の差があることに留意しておく必要がある。これを勘案すると、東西の差異は逆転するかもしれない。
都道府県別年齢別では、統計的振れが大きいが、富山県の起床就寝時刻は概ね全年齢層で全国平均を下回っていると言えよう。
全国平均での起床についての年齢別変化は、男女とも30歳代前半まではが7時を過ぎるが、以降次第に早くなり、概ね50歳代からは6時前後になっている。
全国平均での就寝についての年齢別変化は、男女とも50歳代までは概ね11時台、以降歳とともに早くなっている。
(統計データ)
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(Sep.21,2020Rev.)
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