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第4章 堅実な生活
第4節 学び続ける暮らし
第1項 教え育てる
3.体位・体力 ―概ね良好―
いろいろと議論のある統計だが、富山県の結果は概ね良好な位置にあるといえよう。
同年齢でも体位は個々人によって大きく異なり、どの程度が適切かという議論はできないだろう。しかし、富山県の児童生徒の身長や体重の平均値は全国平均をやや上回り、肥満傾向の発生率もやや低いなど、一般通念からは健康状態は概ね良好といえるのではなかろうか。
(1) 身長体重
富山県の児童生徒の身長の平均値は、各年齢層を通じて、概ね全国平均を上回っている。
ただし、全国平均との乖離は際立って大きなものではない。
体重についても身長と似た傾向がみられる。
都道府県毎の身長・体重の全国平均値との乖離について5-17歳の平均値をとると男女ともかなりはっきりした地域性が見られる。
体格が大きいのは、東北・北海道と北陸であり、体重が前者は大きく、後者は小さい。このことで、北陸3県は肥満も少なく、相対的に健康な体位と評価することができよう。
さらに、身長が大きいが体重が小さいのは首都圏、さらに身長は平均的だが体重が大きいのは北関東、弱に小さいのは関西、身長が小さく体重が大きめなのは九州・四国、身長が若干小さく体重も小さいのは中部、身長・体重ともに小さいのは中国の各都府県となっている。
2022年のスポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」による、富山県の小学5年生、中学2年生の身長、体重の相対的位置は次のとおり。
(2) 肥満弱視
(肥満)
肥満傾向児の出現率を見ると全年齢層でほぼ全国平均を下回っており、体重が不健康なものではないといえそうだ。
ちなみに、秋田、青森では出現率が高くなっている。
2022年のスポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」による、小学5年生、中学2年生の肥満度の分布(各肥満度の構成比(普通を除く))は次のとおり。富山県は概ね全国平均と並ぶものとなっている。
(弱視)
1.0未満視力の児童生徒の比率は、年齢とともに増大し、中学卒業時には50%を超えているが、富山県は全国平均を概ね下回って推移している。
(統計データ)
(3) 体力
スポーツ庁の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」は、小学5年生、中学2年生の男女について、2008年度から実施されてきた。ただし、2011年度、2020年度は実施されていない。 調査結果は、各学年・男女別に各体力種目毎にランク分けした点数を付け、その合計点(体力合計点)で各人の体力の総合評価をしている。
都道府県毎の男女・学年体力合計点平均値については、当然であるがかなり強い相関がある。このため、以下では、この区分毎の内容を逐一ではなく、包括的に検討していく。
体力の都道府県順位
| 小5 | 中2 |
男 | 女 | 男 | 女 |
富山県 | 7 | 7 | 28 | 22 |
石川県 | 3 | 2 | 7 | 8 |
福井県 | 1 | 1 | 1 | 2 |
最初に、富山県の体力の概要を整理しておくと、都道府県の中では、小学5年生はかなり高い位置にあるが、中学生については中ほどとなっている。
なお、石川県、福井県については、両学年とも富山県を上回り一層高い。
小学校では、総じて、日本海沿岸の東北、北陸の高さが目立っている。
これに対して、愛知、東京、大阪などの大都市都府県で低い傾向が見られる。
中学校でも日本海沿岸の東北、北陸は高い傾向にあるが、富山県は中ほどである。
体力の経年変化について、男については、2018年度までは横這いないしは増加傾向で推移していたが、2019年度には低下に転じ、さらに2021、2022年度は大きく低下した。
富山県も同様であるが、全国の中では、高い位置で推移している。
女については、2018年度まで増加傾向で推移していたが、2019年度には低下に転じ、さらに2021、2022年度は大きく低下した。
中学での推移は、男女それぞれ小学校の推移と類似している。
富山県については、男女とも、概ね全国平均と重なっている。
以上のような変化の要因をスポーツ庁は次のように説明している。
○ 低下の主な要因としては、令和元年度から指摘された、
@運動時間の減少
A学習以外のスクリーンタイムの増加
B肥満である児童生徒の増加があり、
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により拍車がかかった。
また、コロナの感染拡大防止に伴い、学校の活動が制限されたことで、体育の授業以外での体力向上の取組が減少したことも考えられる。
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運動の種類別には、富山県そして、石川県、福井県は、全国平均と比較して、総じて、20mシャトルランや反復とびの点数が高い。これらは敏捷性があるということであろうか。
(統計データ)
児童生徒に関連することを全て学校の責任として問い、子供を取り巻く多様な環境、そしてそれを形成する地域住民の責任を棚上げにしがちであるが、もっと総合的な見方が必要なのではなかろうか。学力テストについても、同時に各人の学習状況も調査されており、学力との相関を注意深く検討する必要がある。
幸い、富山の成績は相対的に高い位置にあるが、家族・地域社会組織の崩れは全国同様にそれなりに進んでおり、こうした課題を十分に注視しておく必要があろう。
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(Dec.28,2022Rev./Jan.23,2009Re-Ed.)
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