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第4章 堅実な生活
第4節 学び続ける暮らし
第3項 学び続ける ―かなり少ない学習者―
富山県では、学校教育を離れての学習活動は概して低調である。
総務省の「社会生活基本調査」では、人々の生活行動について、「学習・自己啓発・訓練」という項目で調査しており、これとは別に「趣味・娯楽」という項目がある。前者は手段的行動、後者は目的的行動として区分されるのだろうが、実際には対象となる種目で区分されている。以下では、「学習・自己啓発・訓練」について「学習」として整理した。
(1) 学習行動者率
1年間の間に学習活動をした人の割合は、富山県では1/3(33%)に留まっている。
これは、全国の40%比してかなり低く、都道府県の中では35番目であった。
学習活動の行動者比率は、概して大都市圏で高い。例えば東京都53%に対して青森県では25%に留まっている。ただし、これは地域の人口の年齢構成の差が大きく影響していると考えられる。
学習活動の年齢別行動者比率の分布は、富山県では全年齢層を通じて全国平均よりも低く、特に35〜44歳層で相対的に低くなっている。
学習活動の行動者比率の経年変化を見ると、1990年代半ばにある程度の落ち込みがあったが、概ね横ばいで推移している。この落ち込みは、日本の経済社会全般の活力の低下時期と一致しており、各種の生活行動の推移とも共通している。
最新の調査年2021年はコロナ禍の年で落ち込みが予想されたが、全国では、むしろ増加気味で推移している。しかし、富山県を含め4県では減少した。
(2) 学習内容
学習活動の各種目別の行動者率を全国平均と比較すると、いずれも富山県が低く、特に外国語の学習が低くなっている。
各種目別の行動者率を年齢階層別に見ると、10-14歳層は別として、まず若年層で高く、中年層で低下し、高齢層で再度上昇す共通したパターンを持っている。
このような分布は、若年層では手段的学習が主体であり、高年層になって目的的学習に移行していると言えそうである。
ただし、中年層では、情報処理、商業実務が比較的高くなっている。
実際の活動日数を示す行動者率と行動日数の積では、特に大きいのは家政・家事及びパソコンなどの情報処理であった。
富山県で中年層の学習行動者率が低いのは、仕事に忙しく余裕がないということかもしれないが、別の見方をすれば、職業生活が安定してことさら学習の必要がないということかもしれないし、あるいは、進取の気象に乏しいということかもしれない。
(統計データ)
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(Oct.04,2024Rev.)
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