第4章 堅実な生活 第4節 学び続ける暮らし 第2項 知識を得る 2.地域の力
富山県の高校を卒業して大学へ進学する人数に対して、県内の大学定員は約半分に留まっており、これが人口の減少や有識者の不足など地域の力を削いでいる。 |
富山県内に、大学は、富山大学、富山県立大学、高岡法科大学、富山国際大学、桐朋学園 の5校がある。 短大については、富山短期大学、富山福祉短期大学の2校がある。 さらに、高等専門学校として、富山高等専門学校がある。右のグラフには、高等専門学校は含んでいない。 富山県の大学、短大の数は、2000ゼロ年代当初の11をピークに減少してきているが、石川、福井では概ね横ばいのままである。 富山県内の大学短大の学生数については、1990年代の後半にピークを迎え、それ以降減少が進んできた。ただし、大学については、2000ゼロ年代半ばから横ばい、さらには若干の増加に転じている。これは、短大学生数の一層の減少もあるが、専修学校や職業訓練校へ進む者の減少も大きく寄与している。なお、高校卒業で就職する者も一時は大きく減少したが近年は横ばいとなっている。 さらに、進学は県内に閉じている訳でなく、大学等進学期の人口の移動についても勘案して置く必要がある。 都道府県別に人口当たり学生数(大学の学部生・大学院生等)を見ると、まず、多いのは、北海道を除いてかつて帝国大学があった6都府県であり、この中に、立命館大学が進出した滋賀及び、旧制第四高等学校のあった石川が加わっている。これらの都府県が全国平均を超えており、一般に大都市圏に位置する県で多くなっている。 逆に少ないのは、福島、三重、和歌山、長野など、本州で大都市圏のすぐ外側にある県が目立つ。これは、大都市圏に簡単に行くことができる地域で低くなっていると考えられよう。 また、北海道、四国、九州の諸県は中間に位置している。 こうした中で、富山は、少ない方から12番目に位置しているが、地理的な位置による結果とも捉えられよう。 人口当たり教員数は、学生数と相関がありそうだが、京都・東京を別にすれば強い相関は見られない。 こうした中で、富山県については、学生数から見れば教員数は若干多いとも捉えられるが、それでも都道府県の中で中間程度である。 このように大学等の収容力率が5割強に留まっている結果、進学を契機に県外へ転出する者が多く、人口減少の大きな要因になっている。 また、地域社会の在り方の検討で、しばしば県外の有識者を招聘することがある。しかし、地元で普段 から地域の在り方を考え続けている中立的な学識者がより多くいることが望まれる。 特に、都市計画、土地利用などについて、見識ある学者が不足していることは、地域の在り方を随分誤らせているのではなかろうか。 (統計データ) 次頁、 節目次、 章目次、 表紙 (Dec.31,2015Rev.) |