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第4章 堅実な生活
第4節 学び続ける暮らし
第2項 知識を得る

2.地域の力
―収容力率約1/2の大学定員―

 富山県の高校を卒業して大学へ進学する人数に対して、県内の大学定員は約半分に留まっており、これが人口の減少や有識者の不足など地域の力を削いでいる。

 富山県内の大学進学者県内収容力指数は、1990年代以降、概ね60%の横這いで推移している。


 さらに県内高校卒業生で大学に進学にする者で県内の大学に進学する者は、20%程度に留まっている。


 また、短大については、2000年以降、概ね70%の横這いで推移している。


 都道府県境を越えた進学の状況については、2つの軸で捉えることができよう。
 一つは県内の大学での自県内出身者の占有率であり、他の一つは自県からの出身者が自県内に留まる残留率である。
 なお2つの軸で図を描くと、原点を通る直線は、それぞれの地域の収容力率(当該県内大学入学者数/当該県出身進学者数)となり、各地域の受入れ・送出しの偏りの程度となる。これについては、大都市地域が受入れ超過に偏っていることは明白である。石川も若干の受け入れ超過となっている。富山県についての収容力率ほぼ50%に留まっている。
 さらに、図の右上から左下への対角は、他地域との交流の度合いとなり、北海道、沖縄が比較的閉じられていることは予想できよう。これに加えて、愛知もかなり閉じた地域となっている。これは、東西に関東・関西があり、それを超えてあえて愛知を選択することが少ないためと考えられる。
 大多数の地域については、交流が相当程度あり、かつ送出し超過となっており、富山もこの中に位置している。
 また、福井と富山を比較すると、福井は交流の程度が富山に比して小さい。


 富山県内の高校卒業生の県外での大学進学先について、関東1都3県では転入がほとんどなく、関西2府3県では、転入が若干あり、新潟・石川・愛知では半分程度の転入となっている。また、長野・岐阜・静岡などについては、転入超過となっている。
 なお、新幹線開設の影響については、2015年の国立大学への進学で、東京が増え、大阪が減少しているが、これだけの統計で変化したと断定はし難い(文部科学省「学校基本調査」)。

 富山県内に、大学は、富山大学、富山県立大学、高岡法科大学、富山国際大学、桐朋学園 の5校がある。
 短大については、富山短期大学、富山福祉短期大学の2校がある。
 さらに、高等専門学校として、富山高等専門学校がある。右のグラフには、高等専門学校は含んでいない。


 富山県の大学、短大の数は、2000ゼロ年代当初の11をピークに減少してきているが、石川、福井では概ね横ばいのままである。


 富山県内の大学短大の学生数については、1990年代の後半にピークを迎え、それ以降減少が進んできた。ただし、大学については、2000ゼロ年代半ばから横ばい、さらには若干の増加に転じている。これは、短大学生数の一層の減少もあるが、専修学校や職業訓練校へ進む者の減少も大きく寄与している。なお、高校卒業で就職する者も一時は大きく減少したが近年は横ばいとなっている。
 さらに、進学は県内に閉じている訳でなく、大学等進学期の人口の移動についても勘案して置く必要がある。


 都道府県別に人口当たり学生数(大学の学部生・大学院生等)を見ると、まず、多いのは、北海道を除いてかつて帝国大学があった6都府県であり、この中に、立命館大学が進出した滋賀及び、旧制第四高等学校のあった石川が加わっている。これらの都府県が全国平均を超えており、一般に大都市圏に位置する県で多くなっている。
 逆に少ないのは、福島、三重、和歌山、長野など、本州で大都市圏のすぐ外側にある県が目立つ。これは、大都市圏に簡単に行くことができる地域で低くなっていると考えられよう。
 また、北海道、四国、九州の諸県は中間に位置している。
 こうした中で、富山は、少ない方から12番目に位置しているが、地理的な位置による結果とも捉えられよう。


 人口当たり教員数は、学生数と相関がありそうだが、京都・東京を別にすれば強い相関は見られない。
 こうした中で、富山県については、学生数から見れば教員数は若干多いとも捉えられるが、それでも都道府県の中で中間程度である。



 このように大学等の収容力率が5割強に留まっている結果、進学を契機に県外へ転出する者が多く、人口減少の大きな要因になっている。

 また、地域社会の在り方の検討で、しばしば県外の有識者を招聘することがある。しかし、地元で普段 から地域の在り方を考え続けている中立的な学識者がより多くいることが望まれる。
 特に、都市計画、土地利用などについて、見識ある学者が不足していることは、地域の在り方を随分誤らせているのではなかろうか。

(統計データ)

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(Dec.31,2015Rev.)