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第4章 堅実な生活
第3節 健やかな暮らし
第3項 人口動態

3.健康寿命
―相対的に短い不健康期間―

(1) 健康寿命
(2) 平均寿命との相関
(3) 健康寿命は平均寿命より10歳前後減少
(4) 健康増進への努力と成果


(1) 健康寿命
 各都道府県の2019年の健康寿命が厚生労働省によって発表された。
 全国で男女それぞれ72.7歳、75.4歳であったのに対して、富山では72.7歳、76.2歳であり、都道府県の中では、18番目、10番目であった。
 なお、各都道府県の男女それぞれの健康寿命の相関はそれほど高くない。

 富山県の健康寿命の変化について、男は全国平均あるいはそれを若干上回って、女は全国平均をある程度上回って推移している。



(2) 平均寿命との相関
 また、健康寿命と平均寿命との相関は殆どない(以下、健康寿命は2016年、平均寿命は2015年統計である)


 健康寿命が検討されるのは、生涯最後の不健康な期間の短縮を狙ってのものである。平均寿命から健康寿命を引いた値は、不健康期間と呼ぶことができるだろうが、この期間は、全国で男女それぞれ、8.6年、12.2年であるのに対して、富山では8.0年、11.7年と相対的に短い。
 ちなみに、平均寿命が伸びる中で健康寿命も同時に伸びているが、不健康期間は若干減少しているようだ。

 なお、この不健康期間は、高齢者の生活に何らかの支援が必要な期間であるが、各都道府県での要介護者数との相関は明確でない。

 いずれにしろ、各地域なりに高齢者が快活に生きていける仕掛けを構築していくことが重要であろう。また、個々人にとっては、仮に身体的支障があるようになっても、知的活動が続けれるように心がけることも必要であろう。といっても確実な方法がある訳ではないのだが。

統計データ

(Mar.12,2018)



(3) 健康寿命は平均寿命より10歳前後減少
―2010年データによる試算―

 高度な技術で延命治療を続けることができるかもしれないが、快適な生活を送れないのでは生き続ける価値が乏しいだろうし、医療費の増大も課題となっている。人生の一定の時期・一定の年齢以降では、個人の選択で延命に拘らない医療もあり得よう。最後は医療にペインクリニックのみを期待することもあり得よう。
 こうした中で、現在では健康寿命に関心が向いている。そして、人生最後の健康でない期間、要介護の期間の短縮が課題となっている。

 「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究班」が都道府県毎の健康寿命を試算している。


 都道府県毎の平均寿命と健康寿命には相関はあまりなく、健康でない期間(平均寿命−健康寿命)には、かなり差がある。富山県の健康寿命は男女とも全国平均を上回っており、非健康期間は全国平均より若干短い。


平均
寿命
健康
寿命
(制限)
健康
寿命
(自覚)
平均
寿命
健康
寿命
(制限)
健康
寿命
(自覚)
全国79.6470.4269.986.3973.6273.32
富山79.7370.6369.4286.7774.3673.72
石川79.7571.1070.1286.8174.5473.18
福井80.5271.1170.2386.9874.4974.34

 非健康期間の短縮は、個々人の課題であり、このための健康習慣として、積極的な生活、運動の持続、食生活などがあげられる。これらは、健康のためというより、これ自体が人生にとって大切な事項でもあろう。
 これらを実践し易い、地域環境を創っていくことも大切であろう。

 健康寿命を平均寿命と比較すると、男で9,10歳、女で12,13歳低くなっている。





 富山の平均寿命は、男女とも全国平均を上回っている。




 行動に制限がでる健康寿命では、富山県は男女とも全国平均を上回っている。



 自覚症状から見た健康寿命は、行動の制限から見た健康寿命より1歳程度短く、富山県の男では全国平均を下回っている。


 世界でも特に高い平均寿命を持ちかつ高齢社会に至っている我が国では、今後は健康寿命の延伸に配慮していく必要があるとされている。
 この方策としては、@適度な運動習慣、A適切な食生活(特に野菜等の摂取、規則正しい朝食の摂取)、B禁煙があげられている。
 これらの事項は、社会の介護負担を軽減する視点から出てきているものであろう。ただし、平均寿命と健康寿命の乖離を縮小する効果について、どこまで科学的に解明されているか定かではない。
 むしろ、価値ある生活という視点から捉えれば、各人各様ではあるが、「人と繋がり合い、活き活きと活動していくことができること」が大切ではなかろうか。これがまた健康寿命の延伸に繋がるとも考えられる。


(統計データ)

(Feb.22,2013)



(4) 健康増進への努力と成果
 医療保険者の健康増進への努力を評価して支給している交付金について、都道府県毎の一人当たり金額を見ると、富山県は4250円で、全国では4番目に大きい。
 最も大きいのは長野県で4688円、最も小さいのは東京都で2599円とかなり差がある。
 富山県が大きいのは、保険者がそれなりに努力しているということだが、これは国の要請に素直に従っているということでもあろう。


 保険者の努力が、健康増進への効果に繋がっているかは疑問があり、各地域の制度による評価点数(交付金額)と健康寿命に相関は見られない。
 健康増進で成果を上げている長野県の点数が高いことから、評価に意味かあるという指摘もあるが、これは、むしろ長野県で行われている努力の内容を評価基準に取り入れている結果とも考えられる。

 政府は医療費を含む社会保障費の削減に必死になっているが、どうも的を得ない政策、否定的側面を持つ政策が散見されるのではなかろうか。


 (統計データ)

(Nov.24,2019)



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(Dec.22,2021Re_ed/Nov.24,2019Rev.)