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近年の富山市の消費支出の変化 ―引き締めから横這いの支出―
(1) 家計消費支出の推移
世帯の消費支出の近年の推移については、まず、実収入が1990年代末から減少しており、2010年代に入りようやく回復ないしは横這いとなっている。2020年は、コロナウィルス感染症の影響で大幅の低下が予想され、今後の動向はすきりしない。
消費支出はこの動向に若干遅れて変動しており、先行きははっきりしない。
食糧費は1990年代半ばから漸減している。
交通・通信費は2000年初まで増加していたが、以降横ばい、そして2010年代半で再び増加気味に推移している。
教養娯楽費は、2000年代に漸減気味である。
光熱・水道は、2000ゼロ年代半ば以降横ばいである。
住居費は変動が激しく、趨勢ははっきりしない。
被服及び履物費は、1990年代当初より減少しているが、2010年代に入って横這いに転じている。
家具・家事用品費は、2000年代入って代に漸減傾向であったが、2010年代に入って、横這いないしは微増の傾向にある。
保健医療費は2000年代に横ばい、2010年代半ばから若干の増加傾向となっている。我が国では医療費の増加が問題となっているが、ここでの変化は勤労者世帯の統計であるためであろう。
食糧費のうち魚介類は大幅の減少が続いいたが、2010年代で横ばいとなった。野菜・海藻、穀類も1990年代半ばから減少を続けていたが、2010年代で横ばいとなった。
肉類は横ばいから、2010年代半ばから増加気味に推移している。
この結果、魚介類は肉類を下回わることとなっている。
果物は1990年代初めから減少していたが、2010年代半ばから回復してる。
乳卵類は、2000年代に入って減少に転換していたが、やはり2010年代半ばから回復してる。
菓子類は、1990年代末に減少した後、増加気味で推移している。
魚介類から肉類への比重の移行、野菜・海藻、果物の減少、菓子類の増加は、全体として捉えれば、自然食指向ではなく、結果としてジャンクフード依存となっているのではなかろうか。
外食費は1990年代半ばまで増加していたが、以降横ばいから減少気味に推移している。
調理食品(主食以外)は1990年代以降横這いであったが、最近増加の兆候が見られる。
電気代は、2000年代に一旦横ばいであったが、2010年に入って増加気味に推移している。
ガス代は、減少気味に推移している。
上下水道料は、2000ゼロ年代半ばから横ばいで推移している。
光熱ガス水道下水道の公共的料金は、削減できず高止まり状態にあると言えよう。
洋服は、1990年代から大幅減少が続いていたが、'00年代後半から横這いなっている。
シャツ・セーター類及び下着類は2000年代のはじめから減少していたが、'10年代に入って横這いとなっている。
被服類は、高級志向からの転換が一段落したということであろう。また、低価格販売の展開に寄るところも大きいであろう。
自動車等関係費は2000ゼロ年代後半にピークを打ったが、その後は乱高下し方向が定かでない。
通信費は2000ゼロ年代半ばから横ばい、ないしは漸増で推移している。
交際費は、1990年代後半から減少している。
仕送り金は、2000年代初めから大きく減少したが、2010年代で横ばい気味となっている。。
通信費の近年の横ばい傾向は、低価格化が背景にあり、実質的消費量は爆発的に増加しているとみられる。
仕送り金の減少については、大学等進学の県内指向やさらには進学断念をもたらしているという説がある。
こづかい(使途不明)は、2000年代に大きく減少している。
こづかいの減少については、支出の自由度がかなり落ちてきていると言えよう。
以上のように、近年、消費支出の規模、構成がマクロ的に見て大きく変化してきているが、2010年代に費目によっては、回復傾向も見られる。しかし、2020年代はコロナウィルス感染症の影響による景気停滞から、逆行することとなろう。
(統計データ)
(Apr.21,2020Rev.)
(2) 消費者物価指数の推移
消費支出額の変化の背景に消費者物価の変化があることに留意が必要である。
1980年代後半からのバブル経済下では、10%以上の物価上昇があり、バブル崩壊で一旦横ばいに、さらに'90年代末に若干の上昇、そして2000ゼロ年代には低下が続き、'10年代に入って上昇と転じている。
近年の変化については、費目ごとに差異があり、上述の消費支出の変化はそれぞれ重ね合わせて捉えておく必要がある。
物価が上昇した費目としては、食料、光熱・水道、保健医療、教育がある。食料、電気代の支出の伸びについては、これが大きく影響している。保健医療支出の変化は高齢化の影響のみではない。
交通・通信の物価は低下ないし横ばいで推移しているが、支出が増加傾向にある。これは実際の利用がかなり伸びていることを意味している。
(統計データ)
(Apr.26,2020)
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(Apr.26,2020Rev.)
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