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第4章 堅実な生活
第2節 安心した暮らし
第2項 高齢者の暮らし

1.高齢者の世帯
―施設依存度は全国並み―

(1) 所属
(2) 同居世帯
(3) 施設

(1) 所属
 国勢調査によって高齢者の年齢階層別に所属する世帯類型の構成を富山県と全国と比較してみると、富山県では多世代同居が多く、単身者の少ないことがわかる。
 また、施設居住者の比率については、各年齢階層それぞれで全国での比率とほぼ同じくなっており、地域として施設依存が低くなっているわけではない。



(2) 同居世帯
 一般世帯に住む後期高齢者(75歳以上高齢者)について、その属する世帯を@他世代親族との同居、A夫婦のみ、B単身・その他(全国で単独世帯85%を含むが、その他兄弟、非親族などを含む)に分けて見ると、富山は@他世代親族との同居が多く55%を超えている。
 @他世代親族との同居が多いのは、山形、新潟、福井、岩手、福島などの北陸・東北の諸県であり、逆に少ないのは、大都市圏の都府県、北海道、九州、四国等の諸県である。


 厚生労働省の「国民生活基礎調査2016年」による、65歳以上高齢者の子供との同居率を見ると、全国の28.5%に対して富山県では50.5%でほぼ半数が子どもと同居している。都道府県の中では5番目に多い。
 さらに同一市町村内での居住(近居)まで含めると、全国の57.2%に対して富山では66.5%でほぼ2/3が同居あるいは近居となっている。これは都道府県の中では4番目に多い。
 ただし、この統計では子どもの同居の状況がわからないものが約1割含まれていることに注意しておく必要がある。


(3) 施設
 他方、施設に住む後期高齢者の比率を都道府県別に見ると、富山は11.7%で多い方から20番目と中程にある。
 10%未満で少ないのは宮城県から兵庫県まで続く太平洋沿岸の大都市地域の都府県であり、12%以上で多いのは、北海道、九州、四国、中国の県となっている。ちなみ石川県は14.0%と多い。
 このように、上述のB単身・その他世帯が多く家族の支えが得難いと考えられる都府県で施設居住が多いと予想されそうだが、太平洋沿岸の大都市地域の都府県では少ない。これは、施設が相対的に不足している結果であろう。逆に、富山などでは家族の支えが期待されそうだが、施設居住がある程度あるのは、施設が相対的にしっかりと整備されている結果であろう。


 現在、介護保険制度では、財政的事情から、施設介護から居宅介護への移行が図られているが、この対応には、このような地域毎の事情が十分に配慮されていく必要があろう。

 (統計データ)

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(Apr.29,2020ReEd.)