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第3章 モノづくり指向の産業
第4節 就業環境

第4項 働く力
―変化する社会に対応する労働―

(1) 弾力的能力の涵養
(2) 地場企業が連携した支援

 急速に変化していく産業社会の中で、働く人はそれぞれの場で、変化に対応していく能力を磨き続けていく必要がある。


(1) 弾力的能力の涵養
 情報通信技術が浸透していく産業社会の変化は第3次産業革命と呼ばれているが、この中では、個々人の生産性の格差が如実に見え、所得格差の一層の拡大が避けがたい。既に1990年代の初めにR.ライッシュは、富の大部分がシンボリックアナリスト(概ね知識労働者)に集中していくと述べている。しかし、総体としての生産性が上がる可能性は十分にあり、いかにして所得・富を分け合うかが人類の課題となっているといえよう。

 それはともかく、労働力人口全体が減少する中で、職業構造は大きく変化しつつあり、個々人にとっては、こうした社会にいかに対応していくかが厳しい課題となっている。
 シンボリックアナリストであれば、基礎力として、情報リテラシー、国際化リテラシーを持ち変化に対応していく必要がある。
 インパーソナルワーカー(対人サービス業者)であれば、コミュニケーション能力を持ち、感受性を磨いている必要がある。
 マニュアルワーカー(ルーティン肉体労働者)にあっても、新技術への転換対応力が求められる。
 (ここでの職業の3分類は、R.ライッシュ『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』,1991)

 2017年調査では職業中分類の統計が発表されていない。
 サービスの中には多様なものが含まれており、介護等は大幅に増加していると推測される。

(Nov.07,2019)




(2) 地場企業が連携した支援
 これまで新たな能力の形成機会は、各企業の中である程度提供されたが、次第に外に出されつつある。これは当然の流れとしても、各企業は、そこで働く人が外部の機会を利用し易い環境を整えていく必要があろう。
 また、各種の学習機会は、地域企業の実際の需要と連携した適切な内容となることが望まれる。公的な職業能力開発サービスでは、地域企業と連携して学習内容を設定していく必要がある。
 また、職業紹介についてもきめ細かく総合的なアドバイスが提供される必要がある。
 これらのためには、県と地場企業が連携して事業を展開していくことが求められる。さらに、労働局の地元化が求められる。

 職業能力の形成は、企業組織から外部に放出されつつあるが、関係者が連携して必要な環境を整備していくことが望まれる。今日、このための体制が非常に弱いのではなかろうか。

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(Dec.30,2014)