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経済政策の在り方
―分け合うことはできるか―

資本主義市場経済の行き詰まり
 現下の日本の経済政策は、資本主義市場経済の行き詰まりの中で、倫理的行動を取り戻せという主張と、それでは経済社会が潰れてしまうという主張がぶつかり動けなくなっている。これはリベラルと保守の対立にも概ね対応しているようである。そして現実には保守的政策が転換ができないまま続いている。以下は、現実の経済政策の問題点の指摘であり、結果としてリベラル指向のものとなる。
 (ここでの「倫理的」とはカントの義務論を念頭に置いたものであり、功利主義的倫理ではない。)

地球温暖化
 地球温暖化対策に関しては、極めて効果のない政策しかとっていない。例えば、我が国の炭素税の税率はCO2の排出1トン当たり289円であるが、フランス2972円、スウェーデン16074円など桁違いの国もある(朝日新聞2016年4月2日、みずほ情報総研資料引用)。こうした炭素税が実現しないとしても、いろいろな面で炭酸ガス排出抑制的な対応が必要であり、交通政策、さらには観光振興政策の実態はかなり危うい。

人口減少
 人口減少への対応に関しては、専ら減少抑制策の議論をしているが、これ自体はかなり困難であろう。むしろ減少により必要性が減少する基盤施設整備の縮小などに目を向ける必要があろう。さらに、地球温暖化対策の面からは、極めて好都合な変化とも言える。各産業分野にあっても人口減少を組み込んで事業展開を企画していく必要があるし、民間企業であれば当然対応している。これに対して行政が関与する社会施策関連事業分野で特に危うい。

雇用
 雇用面に関しては、非正規雇用に対する同一労働同一賃金の議論がなされているが、これは企業経営者であっても人の倫理的行動として当然ではなかろうか。また労働力人口の減少に対して外国人労働力の導入の議論があるが、ここでも同一労働同一賃金が求められ、同時に特定の分野の労働で賃金水準を結果として引き下げるようなことがあってはならない。

金融
 金融に関しては、産業投資拡大のためとして個人の資産運用等を促す施策は、一方で高額所得者に偏って利するものであり、また経済全体の労働分配率を低下させる作用を持つものでもあり、かなり注意して展開される必要がある。
 特に、年少者の投資奨励策など、守銭奴を育てる以外のなにものでもないように思える。少なくとも経済社会の健全な発展を思う気持ちなどなく、自らのより多くの取り分を求めているに過ぎない。

消費行動
 消費者もより安いもの、コストが還元されるものを指向し、これに応えて、ポイント制度が広く普及し、またiPhoneで見られるように価格体系が混乱している。このため、消費者はこうした制度に精通し効果的に利用しないと、高い買い物をすることとなっており、結果として個々人は関心を向け時間を割かざるを得なくなっている。

財政運営
 景気浮揚のための財政出動に関しては、財政が極めて厳して状況にありながら何時までもけじめのある政策が展開されていない。さらには国土強靭化と称して、支出の拡大を図っている面もある。

 以上、現下の多くの経済施策は、非倫理的であり、多様な格差を拡大させるものとなっている。
 経済活動の底割れを招くようなことがあってはならないが、どうも疑問を感じる政策展開が多い。

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(Apr.05,2016)